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第五章 その後の~
竜二の前世と愛しい家族
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子供の頃からよく見る夢
俺は何処かの国の王子で婚約者がいる。
その女性と俺ともう一人の男が幼馴染みという夢だ。
その夢で、俺はある少女と知り合うが、幼馴染みのヤツがその少女を気に入り…
とまぁ概ねこんな内容だった気がするが、よく覚えてはいない。
だけど、今目の前にいる女性の事は分かる。
彼女こそ俺が求めていた存在。
くさい言い方をするなら、彼女に会った時、俺の魂が震えたんだ。
俺は無我夢中で紗羅さんを口説き落とし、彼女の父親の桜木さんに結婚を前提にお付き合いをさせて欲しいと告げた。
その後、紗羅との交際は順調だったが、俺には懸念材料があった。
それは澤村さんの存在だ。
彼女に対して、俺は庇護欲を感じはするが、紗羅に会った時の様な感情は沸かなかった。
澤村さんとの付き合いを有耶無耶にし、自然消滅を狙っていた最低な俺だった。が、澤村さんの事故の話を翌日会社で聞いた日の夜。
俺は強烈なフラッシュバックに襲われた。
それはいつも見ていた夢と同じだったが、ただの夢ではなく、前世の記憶だった事が分かった。
前世の婚約者は紗羅
幼馴染みは斉藤君
その幼馴染みが愛した少女は澤村さん
こんな偶然なんて絶対無いと思ったが、前世の記憶だと分かった途端、紗羅に会った時のあの衝撃の意味も澤村さんに感じた感情にも辻褄が合った。
前世の記憶が甦ってから、俺は澤村さんの病室を訪れた。
そこには澤村さんの同期の斉藤君が、愛おしそうに彼女の髪を撫でながら、意識の無い彼女に話しかけている。
あぁ、やっぱり斉藤君はアイツだった。俺は確証を得る為に態と彼を挑発すると、夢の中の幼馴染みと同じ反応を返してくる。
彼はきっと前世を思い出している。そして、かつて愛した少女の生まれ変わりであろう澤村さんを愛している。
なら、俺がすべき事は一つ。
澤村さんの意識が戻ったと聞いた俺は、病室を訪れ、空気を読まない男を演じた。
案の定、斉藤君は「コイツは俺のなんで。」と言ってきた。
澤村さんからも、俺を拒絶する発言を貰い少しだけ凹んだが、全ては俺の計画どおり。
まさか俺が王子の生まれ変わりだとは、彼等二人には分かりはしないだろう。
これでいい。
病院を出て、澤村さんの病室を仰ぎ見る。
「良かったな、ロイ。今度こそアイリーンと幸せになれ!」
俺の声が彼等に届く事はないだろうが……。
「パ~パ。」
胡座の中の愛娘に頬をペチペチ叩かれ、再び意識が戻される。
「ごめん、ごめん。」
と、綾菜に謝っていたら、沙羅から俺達に声がかかる。
「竜二さん、綾菜、ご飯にしましょう。」
俺は綾菜を抱き上げ、ダイニングへと歩いて行く。
綾菜用の椅子に綾菜を座らせ、沙羅の頬にありがとうのキスをする。
「あーちゃんもパパとチューするの~。」
と、俺に向かって両手を伸ばす最愛の娘の頬にもキスをする。
幸せだと思った。
そう言えば、ロイ…いや、斉藤君達も結婚したんだったな。
(幸せになってくれ。今世こそ……)
心の中でそう願わずにはいられなかった。
俺は何処かの国の王子で婚約者がいる。
その女性と俺ともう一人の男が幼馴染みという夢だ。
その夢で、俺はある少女と知り合うが、幼馴染みのヤツがその少女を気に入り…
とまぁ概ねこんな内容だった気がするが、よく覚えてはいない。
だけど、今目の前にいる女性の事は分かる。
彼女こそ俺が求めていた存在。
くさい言い方をするなら、彼女に会った時、俺の魂が震えたんだ。
俺は無我夢中で紗羅さんを口説き落とし、彼女の父親の桜木さんに結婚を前提にお付き合いをさせて欲しいと告げた。
その後、紗羅との交際は順調だったが、俺には懸念材料があった。
それは澤村さんの存在だ。
彼女に対して、俺は庇護欲を感じはするが、紗羅に会った時の様な感情は沸かなかった。
澤村さんとの付き合いを有耶無耶にし、自然消滅を狙っていた最低な俺だった。が、澤村さんの事故の話を翌日会社で聞いた日の夜。
俺は強烈なフラッシュバックに襲われた。
それはいつも見ていた夢と同じだったが、ただの夢ではなく、前世の記憶だった事が分かった。
前世の婚約者は紗羅
幼馴染みは斉藤君
その幼馴染みが愛した少女は澤村さん
こんな偶然なんて絶対無いと思ったが、前世の記憶だと分かった途端、紗羅に会った時のあの衝撃の意味も澤村さんに感じた感情にも辻褄が合った。
前世の記憶が甦ってから、俺は澤村さんの病室を訪れた。
そこには澤村さんの同期の斉藤君が、愛おしそうに彼女の髪を撫でながら、意識の無い彼女に話しかけている。
あぁ、やっぱり斉藤君はアイツだった。俺は確証を得る為に態と彼を挑発すると、夢の中の幼馴染みと同じ反応を返してくる。
彼はきっと前世を思い出している。そして、かつて愛した少女の生まれ変わりであろう澤村さんを愛している。
なら、俺がすべき事は一つ。
澤村さんの意識が戻ったと聞いた俺は、病室を訪れ、空気を読まない男を演じた。
案の定、斉藤君は「コイツは俺のなんで。」と言ってきた。
澤村さんからも、俺を拒絶する発言を貰い少しだけ凹んだが、全ては俺の計画どおり。
まさか俺が王子の生まれ変わりだとは、彼等二人には分かりはしないだろう。
これでいい。
病院を出て、澤村さんの病室を仰ぎ見る。
「良かったな、ロイ。今度こそアイリーンと幸せになれ!」
俺の声が彼等に届く事はないだろうが……。
「パ~パ。」
胡座の中の愛娘に頬をペチペチ叩かれ、再び意識が戻される。
「ごめん、ごめん。」
と、綾菜に謝っていたら、沙羅から俺達に声がかかる。
「竜二さん、綾菜、ご飯にしましょう。」
俺は綾菜を抱き上げ、ダイニングへと歩いて行く。
綾菜用の椅子に綾菜を座らせ、沙羅の頬にありがとうのキスをする。
「あーちゃんもパパとチューするの~。」
と、俺に向かって両手を伸ばす最愛の娘の頬にもキスをする。
幸せだと思った。
そう言えば、ロイ…いや、斉藤君達も結婚したんだったな。
(幸せになってくれ。今世こそ……)
心の中でそう願わずにはいられなかった。
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