Tune the Rainbow

媛貴

文字の大きさ
6 / 12

05「キスの日」と聞いて。

しおりを挟む

月翔「えっ、キスの日?」
羊「あたしたちは…今さらというか何というか…ねぇ、初めてのキスって覚えてる?」
月翔「そうだなぁ…僕たちが付き合いでして初めて羊を家まで送った時だっけ?」
羊「………違うもん」
月翔「えっ」
羊「告白よ。月翔が告白してくれとその後したもの」
月翔「そ、そうだったっけ?ごめん」
羊「確かに送ってくれた後のキスってドキドキしたわ。
いつお母さんに見つかるか、ちょっとハラハラしたのもあったけど」
月翔「あ、うん、それは確かに。多分その印象が強いんだと思う……
ごめん、怒ってるよね?」
羊「うん。私にとって初めてのキスだったのに」
月翔「僕にとってもその…初めてだったよ」
羊「だから……仕方ないから許してあげる。キスして。いっぱい」
月翔「ホント?それでいいの?」
羊「うーん、ちょっとショックだったけれど……
何だろ、月翔って嘘がつけないし真面目だし、とっても素敵なあたしのスパダリだから…ふふふっ。いっぱいサービスしてくれるんなら許してあげる…なんてね。……それだけあたしたち、たくさんの思い出とキスを積み重ねてきたってことじゃないかな」
月翔「あ、うん…そうなんだ?
中学の時からだから…10年だよね。結婚してからはまだ1年ちょいほどなのに…」
羊「…あっ、待って、やだ。鎖骨はくすぐったいって言ってる…んっ」
月翔「えー。いっぱいサービスしてって言ったのに」
羊「もう。これじゃご飯どころじゃなくなっちゃう…ベッドに行く?」
月翔「そうだなぁ…さっきのお詫びってわけじゃないけど…キスの日って聞いたら、俄然羊にいっぱいキスしたくなっちゃった。唇じゃ足らないくらい」
羊「うふふ。今日の月翔はちょっと積極的ね。嫌いじゃないわ」
月翔「だってキスの日ですから」



寿城「…俺のファーストキス?」
蓮美「うん。どんなのだったかなぁって」
寿城「…いや、まぁ…初めて付き合った子と、普通に…だよ」
蓮美「どんな子だった?」
寿城「んーー…同じ海上保安学校の女子でさ。サバサバして男勝りなヤツだったよ。本能的に恋愛してるっていうか…ロマンチックなムードとかあんまりなかったかな。キスして終わり、セックスして終わり…あ、いや、なんでもない」
蓮美「えっ?」
寿城「と、とにかく…お前とは、蓮美とは正反対で…あんまり『恋愛してた』って感じがなかったんだよ。ホント、なんか衣食住、三大欲求を日常的に済ませるだけ、みたいな」
蓮美「食欲、睡眠欲、性欲?」
寿城「そこはもういいって…お前こそ、どうだったんだよ」
蓮美「それこそ私は、前に付き合っていた職場の先輩だったわ。私のほうも…うーん…なんていうか職場で求められることが多かったから、キスも海水の、しょっぱい思い出しかなくて」
寿城「えっ」
蓮美「だ、だってだって…仕事中に他のスタッフから見えない、水槽の死角になっているところでキスされたことあったもの…ドキドキなんてものじゃなかったわ」
寿城「……」
蓮美「…だから言ったじゃない…私の初めて、全部寿城にもらってもらいたかったって」
寿城「…ごめん…」
蓮美「あ、ううん。私こそごめんね…もう過ぎたことなのに…あっ」
寿城「どうした?」
蓮美「あの高校生カップル…」
寿城「うん?…んっ」
蓮美「マスク越しに…キス、ししてたね」
寿城「…そうだよな、今のご時世、マスク越しのキスなんて当たり前だよな」
蓮美「私たちも、しよ?」
寿城「えっ…ちょ…ここ、駅前だぞ?人通りもそこそこあるし…」
蓮美「ダメ?」
寿城「……一回だけだぞ」
蓮美「…」
寿城「…」
寿城(……やっぱり…蓮美の『香り』は濃厚だ…こんな至近距離じゃ、クラクラする)
蓮美「…ふふふっ…皆見てるね」
寿城「…お前がしようって言ったんだろ…」
蓮美「あっ。寿城、耳まで赤くなってる」
寿城「…うるせぇ…」
蓮美(寿城の『音』はいつもとても大きくて激しい…けど、とっても優しいの…聞いてて寿城が何を考えているか、だいたい分かる気がする。
口にしてることはどこかぶっきらぼうだけど、根はとても優しくて繊細…)
蓮美「寿城」
寿城「うん?」
蓮美「大好き」
寿城「…………」
蓮美「どうしたの、ため息なんてついて」
寿城「…蓮美、耳貸せ」
蓮美「うん?」
寿城「……俺も、好きだよ」
蓮美「………。ふふっ、うん、好き。大好き…うふふっ」



蔵人「キスの日、ねぇ…零韻の初キスっていつ?」
零韻「うわ、何も脈絡なく妹にそんなこと聞くかな…
ホント兄さんでデリカシーない。この変態」
蔵人「変態はひどい。俺は純粋に妹の恋愛事情を心配してるだけだ」
零韻「放っておいてくれ。それこそ過保護なプライバシー侵害だ。
私がいつ、誰とキスとようと勝手だろう」
蔵人「キスしてくれる人、いたんだ」
零韻「中学の時に一回…あっ」
蔵人「え、一回?もしかしてあの時?」
零韻「くそっくそっくそっ…悔しい…こんな誘導尋問に引っかかるなんて」
蔵人「安心しろ、誘導も尋問もしてないから。
……よりによって、あの時かよ」
零韻「い、いや…あの、ごめん。忘れて。あれはその…私が悪いんだ。
私が油断したから…」
蔵人「油断も何もないだろ。女の子に暴力振るうような男は来世でフンコロガシにでもなればいいんだよ」
零韻「………」
零韻(あの時、兄さんが来てくれなきゃ…私、何されてたか分からない…嫌なこと、思い出し…)
蔵人「嫌なこと、思い出させちゃったな」
零韻「えっ」
蔵人「手、震えてんだよ」
零韻「…兄、さん…?」
蔵人「…呪いの苛まれるお姫様へ、王子さまからのプレゼント」
零韻(……手の甲への、キス…)
蔵人「眠れなかったら俺に言え。怖かったら俺を呼びな。いつでも、どんな時も、俺はずっとずっとお前の傍にいるから。お前の心も身体も、全部守ってやるから」
零韻「……ありがとう、兄さん。母さんの手伝い、しなきゃ」
蔵人「…」
蔵人(締まんないな…あの時から、零韻は恋愛に臆病になってる。『俺のことを含めて』。なぁ零韻…どんな形でもいい。俺はお前に幸せになって欲しいんだよ…そう、どんな形でもいいんだ。
生きててくれさえすれば…それでいい)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

春に狂(くる)う

転生新語
恋愛
 先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。  小説家になろう、カクヨムに投稿しています。  小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/  カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...