堕ちた双子

ゆきみまんじゅう

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なんとかしてやる

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2学期が始まってしばらくしたあと、海斗の様子に異変を感じた。

高校生になった頃から、双子ということを利用して、たまに入れ替わって高校に通っていた。
海斗から頼まれてやっていたわけだが、決して嫌ではなかった。

しかし最近では、まったく誘ってこない。
それに時折、何か思い悩んでいる姿が見られた。
何度か理由を尋ねてみたが、ごまかすばかりだった。

それでもやはり心配だったので、とうとう我慢できなくなり、今朝問いただしてみた。
すると渋々、海斗は語り出した。

海斗の高校は、家から距離があるため、電車に乗って通学している。
その電車内で、最近見知らぬ男に付き纏われているというのだ。

初めは気のせいだと思っていたが、いつもとなりにやってきたそうだ。
その男は冴えないサラリーマンのようで、常にいやらしい目で見つめてくるという。
気にしなければいい、そう思っていたようだ。

しかしとうとう、疑念から確信に変わる出来事が起きた。

いつものように無視していたらしいが、お尻のあたりに違和感があった。
後ろに目をやると、例の男がお尻を撫でていたらしい。

つまり、海斗は痴漢に遭ったのだ。
内気な海斗なら、その場で声を上げることなどできなかっただろう。

俺はその男に対して、強い憤りを感じた。
警察に相談しようにも、現行犯でなければ、証拠もないのでとりあってくれない。
そこで俺はある考えを思いついた。

「海斗、制服貸せ。俺が電車に乗る。」

それは海斗の代わりに痴漢に遭い、その男を捕まえるというものだった。

俺の身を案じてか海斗は反対したが、このままにしておけるわけがない。
一歩も引かない俺に、とうとう海斗は根を上げた。

制服を交換した後、鏡を見て確認してみる。
そこには海斗が映っていた。

大丈夫、俺たちは双子なのだ。
ばれるはずがない。
そう心に言い聞かせ、玄関へと向かった。

扉に手をかけたあと、心配そうに見つめる海斗に笑みを浮かべた。

「大丈夫だ。兄ちゃんにまかせろ。」

出来るだけ明るい声でそう告げた。
そして俺は駅へと向かった。
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