堕ちた双子

ゆきみまんじゅう

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幼馴染の少女

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「遅いなー。どうしたんだろう?」

いつもの待ち合わせ時間から10分も経っている。
彼、時間にはきちんとしているはずなんだけどな。

私の名前は七瀬遥華。
趣味は妄想することです。

なんて、考えている場合じゃなかった。
もしかして、彼に何かあったのかもしれない。

とりあえず私は、彼に連絡を取ろうと、スマホを取り出した。

「悪い、待たせた!」

やっと来たと安心したが、すぐに違和感に気づいた。

「あの…、もしかして、カイくん?」
「えっ…。どうして…?」

私は彼に近づき、胸元を指さした。

「ほら、ブレザーのボタン、閉めてるでしょ?リッくんだったら、いつも全開だよ。」

しまったという表情を浮かべた彼に対して、さらに指摘してみることにした。

「それに、シャツのボタンも全部閉めてる。リッくんなら、第一ボタンを外してるでしょ?」

頭を掻きながら苦笑いする彼に釣られて、私も微笑んだ。
たった1ヶ月くらいしか会わなかったはずなのに、その笑顔がとても懐かしく感じた。

「久しぶり。今までどうしてたの?」
「それは…。歩きながら話そう。」

私たちは佐久高等学校に向かって歩き出した。


私とリッくんとカイくんは、幼い頃からの幼馴染だ。

中学の頃までは、遊ぶ時はいつも一緒だったくらい、仲が良かった。

カイくんが別の高校に通うことになってからは、遊ぶ機会がなくなったけれど、今でも私たちは親友だ。

もちろん2人が、両親を事故で亡くしたことも知っている。
まさかよりによって、結婚記念日に亡くなってしまうだなんて。
さぞ、2人は辛かっただろう。

なのに2人は弱音を一切吐くことなく、今もそれぞれが努力している。
それはとてもすごいことなのだけど、少しは私に弱さを見せてほしかったなと、今でも気にしていた。

「そうなんだ。そんなにテストばっかりだったら、息抜きなんてできないね。」

カイくんの通う高校は、この県の中でも名門校だ。
この前、カイくんにテストを見せてもらったけれど、とてもじゃないけど、私にはついていけないほどの内容に度肝を抜かした記憶があった。

「いや、それがさ。兄さんが、『たまには息抜きがてらに、俺の高校に忍び込んでみないか』って言ってくれたんだ。だから今日、こっちに来たんだ。」

さすがリッくんは優しいなと、私は尊敬した。
いつもカイくんのことを第一に考えて行動している彼には、頭が上がらない。

私だったら、いくらかわいい弟がいても、やっぱり自分のことも大事にしちゃうと思うからだ。

「そういうことなら、今日はうんと付き合うからね。覚悟してね!」
「それは、すごく頼もしいな。…、よろしくね。」

リッくんには悪いけど、今日はカイくんと楽しんじゃおう。

テンションが上がった私は、カイくんの手を引っ張って走り出した。
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