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兄
困惑と戦慄
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お昼休みになり、私はカイくんに連れられて屋上にやってきた。
そして適当な場所を見つけると、カイくんは弁当を広げ始めた。
「あれ?遥華ちゃん、弁当忘れたの?」
忘れたというよりも、用意しなかったという方が正しかった。
とても何かを食べるような気分にはなれなかったのだ。
「だったら、僕の弁当、少し食べる?」
きっとそれは、リッくんが用意したものだろう。
それこそ、今の私には喉に通らなかった。
なので私は首を横に振った。
「そう……。わかった。」
カイくんは少し困った顔をした後、唐揚げを一つ口にした。
「………ねえ、リッくん、あの後どうだった?」
私は恐る恐るカイくんの顔を覗き込んだ。
「別に、何もなかったよ。」
その言葉が嘘だということに、すぐに気がついた。
あれだけ気にしていた様子だったのに、平気だったわけがないからだ。
「それよりも、兄さん、遥華ちゃんの事を心配してたよ。一体、何があったの?」
どうやらリッくんは、昨日の事をカイくんには話していないようだった。
きっと、気を使ったに違いなく、カイくんには優しいなと思った。
「………それはもういいの。それより、お願いがあるの。」
そこで私は、思い立ったことを話すことにした。
「私、昨日のことで分かったことがあるの。私じゃリッくんの力になれないってことが。だから、カイくんがリッくんの事を支えてあげてほしいの……。」
カイくんなら、どうしてリッくんが学校に来ないのか理由を知っているはずだ。
私には話してもらえない以上、カイくんにそう頼むしかなかった。
するとその時、カイくんが目の色を変えた。
空気もなんだか、重苦しくなった気がして、私は息を呑んだ。
「へえ……。やっと分かったんだ。自分じゃなんの役にも立たないってことが………。」
口元は笑っているのだが、その目はまるで私を見下しているようだった。
そこには私の知っているカイくんはおらず、見ていると背筋が凍りそうだった。
「…………えっ、何……?」
その目に射抜かれた私は、思考が止まってしまい、ロクな言葉も出なかった。
「でもさ、安心してよ。僕が兄さんを救って見せるから。」
カイくんは不敵に笑うと、食べていた弁当を私に差し出した。
「やっぱりさ、これ、食べなよ。夕べから何も食べてないんでしょ?体持たないよ。」
言葉は優しいものなのだが、その目はまるで弱いものに情けをかけているようだった。
でも恐怖に支配された私は、断れずに弁当を受け取った。
そして卵焼きを一つだけ食べて、すぐにカイくんに戻した。
「もういいの?遠慮しなくてもよかったのに。」
そう言うとカイくんは黙々と弁当を食べ始め、カイくんはいつもの調子に戻った。
だけどそれが、かえって不気味で怖かった。
その後家に帰っても、あの笑顔が頭から離れず、さっきの出来事が、失恋したショックよりも重くのしかかっていた。
このままじゃ心が押し潰れそうだと思い、私はある人物に電話をかけた。
そして適当な場所を見つけると、カイくんは弁当を広げ始めた。
「あれ?遥華ちゃん、弁当忘れたの?」
忘れたというよりも、用意しなかったという方が正しかった。
とても何かを食べるような気分にはなれなかったのだ。
「だったら、僕の弁当、少し食べる?」
きっとそれは、リッくんが用意したものだろう。
それこそ、今の私には喉に通らなかった。
なので私は首を横に振った。
「そう……。わかった。」
カイくんは少し困った顔をした後、唐揚げを一つ口にした。
「………ねえ、リッくん、あの後どうだった?」
私は恐る恐るカイくんの顔を覗き込んだ。
「別に、何もなかったよ。」
その言葉が嘘だということに、すぐに気がついた。
あれだけ気にしていた様子だったのに、平気だったわけがないからだ。
「それよりも、兄さん、遥華ちゃんの事を心配してたよ。一体、何があったの?」
どうやらリッくんは、昨日の事をカイくんには話していないようだった。
きっと、気を使ったに違いなく、カイくんには優しいなと思った。
「………それはもういいの。それより、お願いがあるの。」
そこで私は、思い立ったことを話すことにした。
「私、昨日のことで分かったことがあるの。私じゃリッくんの力になれないってことが。だから、カイくんがリッくんの事を支えてあげてほしいの……。」
カイくんなら、どうしてリッくんが学校に来ないのか理由を知っているはずだ。
私には話してもらえない以上、カイくんにそう頼むしかなかった。
するとその時、カイくんが目の色を変えた。
空気もなんだか、重苦しくなった気がして、私は息を呑んだ。
「へえ……。やっと分かったんだ。自分じゃなんの役にも立たないってことが………。」
口元は笑っているのだが、その目はまるで私を見下しているようだった。
そこには私の知っているカイくんはおらず、見ていると背筋が凍りそうだった。
「…………えっ、何……?」
その目に射抜かれた私は、思考が止まってしまい、ロクな言葉も出なかった。
「でもさ、安心してよ。僕が兄さんを救って見せるから。」
カイくんは不敵に笑うと、食べていた弁当を私に差し出した。
「やっぱりさ、これ、食べなよ。夕べから何も食べてないんでしょ?体持たないよ。」
言葉は優しいものなのだが、その目はまるで弱いものに情けをかけているようだった。
でも恐怖に支配された私は、断れずに弁当を受け取った。
そして卵焼きを一つだけ食べて、すぐにカイくんに戻した。
「もういいの?遠慮しなくてもよかったのに。」
そう言うとカイくんは黙々と弁当を食べ始め、カイくんはいつもの調子に戻った。
だけどそれが、かえって不気味で怖かった。
その後家に帰っても、あの笑顔が頭から離れず、さっきの出来事が、失恋したショックよりも重くのしかかっていた。
このままじゃ心が押し潰れそうだと思い、私はある人物に電話をかけた。
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