堕ちた双子

ゆきみまんじゅう

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運命の歯車が完全に狂う時

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仲間と共に、陸斗を凌辱し尽くしたあの日から約一週間後。

黒髪で冴えない印象の男、春藤誠司は、陸斗に連れられて、あるペンションを訪れていた。

実は今朝、陸斗から連絡があり、2人で行為を行う場所を指定してきたのだ。

陸斗によると、いつも電車の中か、ホテルでしか行っていないので、たまには気分転換に他の場所でしたいとのことだった。

このペンションというのは、数年前に閉業しておりながら、未だ取り壊しの目処がないらしい。

何故そんな場所を知っているのか、何故わざわざそこを指定したのか、いささか頭に引っかかったが、初めて陸斗から誘われたことへの喜びが勝り、誠司はその提案を快諾したのだった。

2人で落ち合った後、電車を乗り継ぎ、バスに乗り換え、岬にあるペンションに着いた頃には、すでに日が傾きかけていた。

そのペンションは二階建てであり、青い屋根に白い壁面が、爽やかさを感じさせる外観だった。

そして、夕日を背に佇むその光景はとても幻想的で、とても営業していないとは思えないほどだった。

しかし陸斗はそんな景色に構うことなく、ペンションへと歩を進め、扉へと手をかけた。

するとあっけなく扉は開き、埃っぽい臭いが鼻についた。

中は薄暗く、ところどころ蜘蛛の巣が張っていた。

長なく人の出入りなどなかっただろうペンション内に、何の躊躇いもなく入っていく陸斗を見て、誠司は少しの疑念を持った。

ペンション内に入った陸斗は、振り返ることも迷う素振りを見せることもなく、2階へ続く階段を上っていく。

そして階段を上り切った後、右手前の部屋の扉を開けた。

そこには埃を被ったベッドが2つ並んでいるだけの宿泊部屋だった。

部屋に入るなり、陸斗は真っ先にカーテンを開き、窓を開けた。

すると薄暗かった部屋が夕日に照らされ、憂いに満ちた表情を浮かべている陸斗が目に焼きついた。

「ここは、家族とよく泊まりに来た、思い出の場所なんだ。」
「へえ……。そうなんだ………。」

唐突にそんな事を話され、誠司は戸惑い、応答することしか出来なかった。

「俺はな、父さんも母さんも好きだったんだ。でも、今の俺にはどうでもいいことだ。」

そう話しながら、陸斗は徐に左手でシャツを捲ると、空いている手で、左乳首に軽く触れた。

「今はもう、気持ち良くなるしか考えられない。だから、このペンションでの家族との思い出を、快楽で上書きしたいんだ。」

その目は真っ直ぐと誠司を捉え、欲望を覗かせていた。

今まで見たことのない陸斗の様子に、誠司は息を呑んで呆然と見つめていた。

そんな誠司に見かねたのか、陸斗はゆっくりと歩を進めると、目と鼻の距離まで詰め寄った。

「なあ……。俺をこんな風にしたのはお前だろ?だったら、責任取れよ。」

誠司の口元でそう囁いた陸斗は、そのまま唇を奪い取った。

口内に侵入し、舌を絡め取ってくる陸斗に、次第に誠司は欲情していった。

そして気づけば、陸斗を抱き寄せて、今度は自らが陸斗の口内に舌を忍ばせていった。

そのまま勢いに合わせて、陸斗の服を脱がそうと背に手を伸ばした時に、ある違和感に気づいた。

思わず唇を離した誠司は、陸斗の顔をじっと見つめた。

「君は、まさか──」

誠司が何か言おうとした時、突然の腹部の激痛に襲われた。

「………え…っ……?」

首を下に向けてみると、腹部にはナイフが突き刺さっていた。

「お前がさ、全部悪いんだから……、責任取って、死んでくれ。」

陸斗は抑揚のない声でそう言うと、ナイフを勢いよく引き抜いた。

「うっ……!………ぐは…っ……!!」

あまりの激痛に声も出せず、誠司は腹を押さえながらその場に踞った。

するとすかさず陸斗が、強引に誠司を押し倒して、馬乗りになった。

そして頭上に両手でナイフを掲げると、再び腹部目掛けて振り下ろした。

「うがっ…!!……や…やめ……っ…あがっ!!」

誠司の静止の言葉に耳を貸すこともなく、陸斗は何度もナイフを突き立てていく。

「ぐああぁっ!あ……っ…あああああっ!!」

度重なる誠司の周りは血の海となり、返り血を浴びた陸斗も体中を赤く染めていった。

「今まで散々酷い仕打ちをしてきたんだから、文句の言いようもないよな。………なあ、返せよ、俺たちの平穏だった日々を。」

しかし誠司は返答することはなく、代わりに口からは血がゴボゴボと溢れていた。

そしてとうとう、誠司は白目を剥いたまま、力尽きた。

それを静かに見届けた陸斗は、不敵な笑みを浮かべた。
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