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弟
犠牲
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目の前で起きた事が、現実だとはすぐには受け入れられなかった。
海斗が、遥華に殺さそうになっていた。
それを見た俺は、咄嗟に海斗の名前を叫んだ。
その次の瞬間、今度は遥華が海斗に襲われ、そして……殺された。
全て、俺のせいだ。
海斗が狂ったのも、遥華、両親たちが死んだのも、全て俺が原因だ。
どんなに後悔しても、過去は変えられない。
それでも、これからの海斗の暴走を止めることは、できる。
手っ取り早いのは、俺が警察や誰かに、海斗の罪を伝える事だろう。
けれども、海斗には捕まってほしくないと思っている自分がいる。
いくら海斗が、殺人鬼であっても、俺に対して歪んだ愛情を持っているとしても、やはりかけがえのない弟には違いなかったからだ。
だったら、どうすればいい……?
………。
……………。
…………………殺そう。
「…………海斗。」
返り血を浴びて汚れた服を着替え、身支度を整えた海斗が、少し落ち着かない様子で振り返る。
「…………。」
返事はない。
今、海斗が何を考えているのかは分からない。
それでも、俺がやる事に変わりはない。
俺は動悸が激しくなるのを感じながら、海斗に歩み寄り、海斗の息がかかるほど、顔を近づけた。
ほんの一瞬躊躇ったが、俺はそれを振り切ると、海斗の唇にキスをした。
「……っ⁉︎」
海斗はビクッと反応し、目を見開いたまま動かない。
それでも構わず、俺は海斗の口をこじ開けて、舌を絡める。
何度も、何度も……。
「んっ…んっ……はぁ…ッ……んっ…。」
一通り海斗の口内を舐め回した後、俺は唇を離し、顔を上げた。
「に……兄さん………?」
海斗は頭が混乱し、言葉が続かない様子だった。
俺は一度深く息を吸うと、海斗の瞳をじっと見つめた。
心臓の鼓動が、一層激しくなる。
この言葉を口にしたら、俺は、俺自身を捨てる事になる。
全てを、海斗に捧げる事になる。
それでもこうする事で、海斗がこれ以上罪を増やす事が無くなるなら、自分の事なんて、どうでもいいと思えた。
「俺は……俺は、海斗の物になる。だから、もう、誰も殺さなくていいんだ。」
そう言って再び、海斗の顔に、自分の顔を近づける。
「………海斗、愛してる。」
そしてもう一度、海斗の唇にキスをした。
今度は、さっきより長く、深く、唇を重ね、舌を絡めた。
そうして俺は、自らの心を殺していった。
海斗が、遥華に殺さそうになっていた。
それを見た俺は、咄嗟に海斗の名前を叫んだ。
その次の瞬間、今度は遥華が海斗に襲われ、そして……殺された。
全て、俺のせいだ。
海斗が狂ったのも、遥華、両親たちが死んだのも、全て俺が原因だ。
どんなに後悔しても、過去は変えられない。
それでも、これからの海斗の暴走を止めることは、できる。
手っ取り早いのは、俺が警察や誰かに、海斗の罪を伝える事だろう。
けれども、海斗には捕まってほしくないと思っている自分がいる。
いくら海斗が、殺人鬼であっても、俺に対して歪んだ愛情を持っているとしても、やはりかけがえのない弟には違いなかったからだ。
だったら、どうすればいい……?
………。
……………。
…………………殺そう。
「…………海斗。」
返り血を浴びて汚れた服を着替え、身支度を整えた海斗が、少し落ち着かない様子で振り返る。
「…………。」
返事はない。
今、海斗が何を考えているのかは分からない。
それでも、俺がやる事に変わりはない。
俺は動悸が激しくなるのを感じながら、海斗に歩み寄り、海斗の息がかかるほど、顔を近づけた。
ほんの一瞬躊躇ったが、俺はそれを振り切ると、海斗の唇にキスをした。
「……っ⁉︎」
海斗はビクッと反応し、目を見開いたまま動かない。
それでも構わず、俺は海斗の口をこじ開けて、舌を絡める。
何度も、何度も……。
「んっ…んっ……はぁ…ッ……んっ…。」
一通り海斗の口内を舐め回した後、俺は唇を離し、顔を上げた。
「に……兄さん………?」
海斗は頭が混乱し、言葉が続かない様子だった。
俺は一度深く息を吸うと、海斗の瞳をじっと見つめた。
心臓の鼓動が、一層激しくなる。
この言葉を口にしたら、俺は、俺自身を捨てる事になる。
全てを、海斗に捧げる事になる。
それでもこうする事で、海斗がこれ以上罪を増やす事が無くなるなら、自分の事なんて、どうでもいいと思えた。
「俺は……俺は、海斗の物になる。だから、もう、誰も殺さなくていいんだ。」
そう言って再び、海斗の顔に、自分の顔を近づける。
「………海斗、愛してる。」
そしてもう一度、海斗の唇にキスをした。
今度は、さっきより長く、深く、唇を重ね、舌を絡めた。
そうして俺は、自らの心を殺していった。
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