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「....すみません、宗教の話はちょっとー」
「何でですか、しっかりと聞いてください。大事な前章なんですからね」
いや、だって思ったよりスケールでかかったんだもん。自分の知ってる異世界ものってもうちょっとふわってしてたもん。
「これでもずいぶんと簡略したのですよ。しっかりと説明するならば本が十冊ほど必要なんですから」
「....ちなみにさっきの説明だとどのくらいの冊数になりますか?」
「絵本レベルですね」
まぁ、そうでしょうね
「さて、どのように我らが主が世界を救ったかは省かせていただきますが」
「え、そこ一番重要じゃないんですか?」
「十冊ほどご用意しましょうか?」
「あ、いいです」
と、そこへ扉を開けてルイスが入ってきた。
「紅茶のお代わりを持って来ました」
そろそろお代わりが欲しいと思った頃に来る彼のタイミングの良さに驚く。が、
「ルイス、ノックをしなさい」
「あ」
再び目の前で行われる漫才じみた行為に笑いがこらえきれない。本当に彼は妙なところで抜けているらしい。
「これ、いつもやってるんですか?」
「いつもじゃないです!!三回に一回くらいです!!」
「それを人はいつもと言うのですよ」
しょげたように帰っていく彼の姿にやはり笑いがこぼれてしまう。
「何故彼が来るといつも話が逸れてしまうのでしょうか」
「なんか彼、つい話しかけたくなる雰囲気もってますよね」
少しため息をついた彼は気を取り直すような表情で口を開いた。
「話を戻しましょうか。どうしてここが厳密には異世界とは違うのかご理解いただけましたか?」
「この世界が元々私たちと同じ世界だったからですかね。異世界というよりはパラレルワールドに近いような」
「その認識で構いませんよ」
再び入れられた紅茶を口に運び、受け皿へと戻す。私の受け皿からかちりとなった音を合図に彼は口を開いた。
「戦争を期にこの世界とあなたの世界は違う歴史を辿り始めました」
「どんな風にですか?」
「例えば国際関係の変化ですね。ユナイテッドキングダムのことについて言及させていただくと、盟主がスコットランドに変わりました」
「ぶほぉっげほっ!!」
「どうしました?」
「いえ、すみません....。思ったよりタイムリーな話だったもので」
スコットランド独立する手間が省けたな
「あと、ロシアが没落しましたね」
「何で⁉」
唐突な没落宣言
「変わりといっては何ですが、スペインが大国に返り咲きましたね」
「どうやって⁉」
「ちなみに現在最も力のある大国はイタリア帝国ですね」
「ファ?!?!?!」
何でだよ。こっちの世界じゃあ2国とも仲良くPIGS(ヨーロッパの経済がやばい国)やってるんだけど。というかイタリア帝国ってなんじゃそれ。ヘタリアがヘタリアしてないんですけど。
「まぁ、大体の国が多かれ少なかれあなたの知っているものとは変わっていますね」
「いや、大分変わってるんですけど!!」
「ところでこの没落した国と力をつけた国。双方にはある点で決定的に違うものがあるのですが、お気づきになりましたか?」
「....?」
イングランドとロシア。スコットランド、スペイン、イタリア。彼の口振りからして恐らくその相違点がその国の将来を決定付けさせたのだろう。
「宗教ですよ」
答えの出ない私に諭すように彼が答える。
「大国となりえた国はどれもカトリック系の国でした。それに比べて没落していったのはプロテスタントやそれ以外の宗教が主となる国です」
「どうして宗教なんかが....」
「先程も言いましたがこの世界は神様によって救われました。ならば神への信仰が大きくなるのは必然でしょう。それはつまり人々の宗教に対する価値の増大に他なりません」
「最終的に国の明暗を決めるほどの価値を持ってしまったということですか」
「そういうことです」
宗教への信頼が喪失した世界とこれ以上ないほどに増大した世界。
「私達の世界を救ったのはどうやらカトリックの信仰する神様らしいですよ。だからカトリック系の国が力を持ったと言われています」
「へぇー」
宗教を従来の聖書通りに戻そうとしたプロテスタントじゃなくてカトリックが戦争に勝っちゃったのか。
「といっても単純に宗教によらない変化もありましたがね」
と言って彼は紅茶のカップが置かれた目の前のテーブルに手を置いた。
「例えばですね、この机も戦争の終結後に新しく開発された技法を使って製造されています」
言われて目の前のテーブルに目を写す。よく歴史の教科書で見掛けるアンティークじみた見た目だが、言われて見れば私の知っている造りではないような気がする。
「この城などもそうですね。ルネサンスやバロック様式とは別の造りになっています」
「へぇー」
ここで目が覚めてからも何度となくこの豪華さに驚かされたが、どうやら私の知っている城の造りとは違うらしい。が、そう言われたとしても自分が入ったことのある城などシンデレラ城ぐらいしかないので、比較のしようがないが。
「何でですか、しっかりと聞いてください。大事な前章なんですからね」
いや、だって思ったよりスケールでかかったんだもん。自分の知ってる異世界ものってもうちょっとふわってしてたもん。
「これでもずいぶんと簡略したのですよ。しっかりと説明するならば本が十冊ほど必要なんですから」
「....ちなみにさっきの説明だとどのくらいの冊数になりますか?」
「絵本レベルですね」
まぁ、そうでしょうね
「さて、どのように我らが主が世界を救ったかは省かせていただきますが」
「え、そこ一番重要じゃないんですか?」
「十冊ほどご用意しましょうか?」
「あ、いいです」
と、そこへ扉を開けてルイスが入ってきた。
「紅茶のお代わりを持って来ました」
そろそろお代わりが欲しいと思った頃に来る彼のタイミングの良さに驚く。が、
「ルイス、ノックをしなさい」
「あ」
再び目の前で行われる漫才じみた行為に笑いがこらえきれない。本当に彼は妙なところで抜けているらしい。
「これ、いつもやってるんですか?」
「いつもじゃないです!!三回に一回くらいです!!」
「それを人はいつもと言うのですよ」
しょげたように帰っていく彼の姿にやはり笑いがこぼれてしまう。
「何故彼が来るといつも話が逸れてしまうのでしょうか」
「なんか彼、つい話しかけたくなる雰囲気もってますよね」
少しため息をついた彼は気を取り直すような表情で口を開いた。
「話を戻しましょうか。どうしてここが厳密には異世界とは違うのかご理解いただけましたか?」
「この世界が元々私たちと同じ世界だったからですかね。異世界というよりはパラレルワールドに近いような」
「その認識で構いませんよ」
再び入れられた紅茶を口に運び、受け皿へと戻す。私の受け皿からかちりとなった音を合図に彼は口を開いた。
「戦争を期にこの世界とあなたの世界は違う歴史を辿り始めました」
「どんな風にですか?」
「例えば国際関係の変化ですね。ユナイテッドキングダムのことについて言及させていただくと、盟主がスコットランドに変わりました」
「ぶほぉっげほっ!!」
「どうしました?」
「いえ、すみません....。思ったよりタイムリーな話だったもので」
スコットランド独立する手間が省けたな
「あと、ロシアが没落しましたね」
「何で⁉」
唐突な没落宣言
「変わりといっては何ですが、スペインが大国に返り咲きましたね」
「どうやって⁉」
「ちなみに現在最も力のある大国はイタリア帝国ですね」
「ファ?!?!?!」
何でだよ。こっちの世界じゃあ2国とも仲良くPIGS(ヨーロッパの経済がやばい国)やってるんだけど。というかイタリア帝国ってなんじゃそれ。ヘタリアがヘタリアしてないんですけど。
「まぁ、大体の国が多かれ少なかれあなたの知っているものとは変わっていますね」
「いや、大分変わってるんですけど!!」
「ところでこの没落した国と力をつけた国。双方にはある点で決定的に違うものがあるのですが、お気づきになりましたか?」
「....?」
イングランドとロシア。スコットランド、スペイン、イタリア。彼の口振りからして恐らくその相違点がその国の将来を決定付けさせたのだろう。
「宗教ですよ」
答えの出ない私に諭すように彼が答える。
「大国となりえた国はどれもカトリック系の国でした。それに比べて没落していったのはプロテスタントやそれ以外の宗教が主となる国です」
「どうして宗教なんかが....」
「先程も言いましたがこの世界は神様によって救われました。ならば神への信仰が大きくなるのは必然でしょう。それはつまり人々の宗教に対する価値の増大に他なりません」
「最終的に国の明暗を決めるほどの価値を持ってしまったということですか」
「そういうことです」
宗教への信頼が喪失した世界とこれ以上ないほどに増大した世界。
「私達の世界を救ったのはどうやらカトリックの信仰する神様らしいですよ。だからカトリック系の国が力を持ったと言われています」
「へぇー」
宗教を従来の聖書通りに戻そうとしたプロテスタントじゃなくてカトリックが戦争に勝っちゃったのか。
「といっても単純に宗教によらない変化もありましたがね」
と言って彼は紅茶のカップが置かれた目の前のテーブルに手を置いた。
「例えばですね、この机も戦争の終結後に新しく開発された技法を使って製造されています」
言われて目の前のテーブルに目を写す。よく歴史の教科書で見掛けるアンティークじみた見た目だが、言われて見れば私の知っている造りではないような気がする。
「この城などもそうですね。ルネサンスやバロック様式とは別の造りになっています」
「へぇー」
ここで目が覚めてからも何度となくこの豪華さに驚かされたが、どうやら私の知っている城の造りとは違うらしい。が、そう言われたとしても自分が入ったことのある城などシンデレラ城ぐらいしかないので、比較のしようがないが。
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