馬花

hamiru

文字の大きさ
67 / 78
2章 熊と人

103 カクテルな雨

しおりを挟む


「ここがハミルの家か」
「そうだ」
「変わった色だな」
「空の家だ」
「青」
「外敵から気付かれないように」
「空色に合わせたのか」
「そうだ、上がってくれ」
「あゝ、すまない」


「畳か」
「そうだ、和室が好きなんだ」
「落ち着くな」
「お茶飲むか」
「あるのか、もらおう」
「待て」
「ああ」

ほうじ茶を淹れるハミル
畳で胡座を組むナオト

「茶だ」
「ありがとう」
「ふう」
「食いもんはどうしてる」
「この時期はブナの実だな、あとは団栗だったり胡桃も食べる。葡萄や梨も生ってるし、向こうの川まで行って鮭や鱒を獲ることもある」
「そうか、結構豊富なんだな」
「そうだ、俺たちは雑食性だ。人間と同じでなんだって食べれるんだ」
「そうか」
「そうそう、この前人間が落としていったアイスクリームっていうのか。白くて冷たくて美味しかったな」
「アイスもいけるのか?それバニラだな、きっと」
「もう一度、食べたいな」

うっとりする熊

「酒は?」
「酒?呑んだことないな」
「いってみるか」
「あるのか!」
「よし」

バックから何本かの酒を取り出すナオト

「おいハミル、お前いくつだ。齢」
「15だ。人間で言うと45歳くらいだ」
「そうか、まあいいだろ」
「お前はいくつだ、ナオト」
「45だ」

小さなキッチンでシェイクする、ナオト

「これはな、エメラルドだ。お前の青と森の緑を足すとエメラルドグリーンという色になるんだ」
「エメラルド・・・」
「そうだ、お前の色だ」
「いろ・・」
「飲め」



「うまい、うまい」
「ゆっくりだ、カクテルって言うんだ。ゆっくり味わって飲むんだ」



「ぷはぁー!」
「早いっての!」
「ゆっくり飲んだんだけどな」
「一口がでかいのか」
「エメラルドか」

笑みが浮かぶハミル

「いいか、ハミル。エメラルドには石言葉ってのがある」
「石言葉」
「あゝ、宝石言葉だ。いいか、覚えろよ。一回しか言わないぞ」
「うん」

幸福、希望、愛だ

キャトンとするハミル
「うん、わかった」
「分かってないだろ」
「わかったテェ~」
「お前酔ってるのか」
「幸せでござんす~」
「おまえ・・・」


(なあ、いつか降らしてやろうな)

(うん)

(エメラルドの山だよ)

(この山か)

(そうだ)

(そんなことできるのか)

(心。だよ)

(なんだっけ、石言葉。ヒック)

(どしゃぶりにするんだ)



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

処理中です...