僕は僕と結婚する

hamiru

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小学6年生
僕は12歳だ

千葉県船橋市の雀小学校に通っている
6年2組
今日もいつもの4人で過ごす
今日は金曜日だから土日は友人には会えない
と言うか、武志に会えない
僕はタケシのことが好きだった

大熊武志は4年生の頃に転校してきた
とはいっても
神奈川からの転校だったので文化的な混乱は一切ないから、一度仲良くなってしまえば幼少の頃から親しかった奴らとなんら変わりはない
5年生の時の2組で教室を共にした
最初、武志は雄介と仲良くなった
雄介は僕の幼馴染で、それこそ幼稚園の前から、3歳時の頃に共に戯れあった記憶もかすかに残っているくらいだ
それくらいの関係だと、お互いに一度距離を置いてみましょう、というような暗黙の心の張り合いがあったりするようなものだが、僕らはずっと友人でいられた

夏休みが過ぎて2学期が始まると、武志と雄介が突然2人の距離を詰めていた
雄介から聞いた話によると、親に無理矢理行かされた塾の夏期講習で武志と一緒になったのだという
武志は勉強がよくできる子だった
当然、塾の類には行っているとは予想はしていたが、武志も夏期講習だけで平素は塾には行っていないということだった
仲良くなってから、武志本人から聞いた

武志は勉強が好きだと言う
それは、塾の類いではなく、学校の授業でもなく、自ら勉強に取り組むと言うことだと話した
勉強というよりは、知識の吸収という感じらしい
何が違うのかはよく分からないが、確かに武志は物事をよく知っていた
勉学ではなく、強い好奇心が原動力となって、その好奇心や欲求を満たすための行動をとっているだけなのだろう
日常の世界ではそれを平たく勉強という
勉強にも色々と種類はあるだろうが、特に我々の小学校の時分では、勉強は勉強なのだ

僕も勉強は嫌いではないし、隠すことなくそうした雰囲気を醸し出すことに成功していた
取り敢えず、そんな雰囲気は体裁が良く大人たちの受けも良いから、僕は"君は大丈夫"のチームに編成されていた

僕、智哉に武志と雄介、あとは悟を加えた4人がいつものメンバーだ
事がある時、子供たちの意志が何かしらの編成に優先される時は、言葉などいらない、自然と四角形の輪を作った

今日は悟が休みだった
担任の黒田が朝礼で軽く悟の体調が芳しくない旨のことを仄めかした

給食を食べて昼休みに入った
自然と3角形の和を作った

「なあ、悟どうしたんだろうな」
雄介が口火を切った
「あゝ、体調悪いのかな」
武志が心配を徐に出した
「見舞いでも行ってみる?」
僕は続いた
「いや、やめておいたほうがいいだろ。体調悪いんじゃ。行っても会えるかわからないし、悟のことだから無理して会おうとするかもしれない。迷惑になりたくないだろ」
雄介が至極真っ当な意見を述べる」
「うん、そうだな。来週になれば元気に学校に来るかもしれないし、様子見てみよう」
「うん、そうだな」
武志に同調した、僕

僕は武志の意見にはいつも同調して、否定するようなことはしない。否定をするようなことがあったとしても、それを挟むことで武志の意見が引き立つような言い方をするように気をつけていた
例えば、武志があの国語の授業わかりづらかったな、というようなことを言えば、
"そうかな、あの文章?僕はそんなことなかったけどな。うーん、武志はたぶん頭が良すぎて深読みしてしまうんだよ。天才の言うことは凡人には理解できないっていうけど、当然、凡人の文章は天才には理解できないんだよ"
宮沢賢治に申し訳ないと思いながら、この旨の返答をした
僕は宮沢賢治が好きなのに、武志を持ち上げることだけに集中してるから、己の意にそぐわない言葉を発したりする

ふーん

武志はそれしか言わなかった

武志は気付いていたと思う
この頃には、
僕がある種の感情をタケシに抱いていたことを。
それが愛とか恋とか難解で説明し難い類のものなのか、それとも少し大袈裟な友情なのか
そこまでの判別がされていたのかは、わからない






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