精霊のジレンマ

さんが

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オオザの崖のゴブリン

39.ソースイとルーク

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凹むソースイ、しばらくは立ち直れないと悠長な事は言っていられない。

ゴブリンジェネラル戦の前に、大人数を相手に接近戦を経験した事は正解だった。

魔法の世界では少数でも、広範囲魔法があれば、多数の相手を圧倒してしまう。

ゴブリンジェネラル100体の群れをカバーするほどの広範囲魔法は使えない。

ブロッサのポイズンミストのように、侵入出来ない壁をつくる。直接相手にする人数をなるべく減らすのが鉄則なのだろう。

唯一のチャンスは、ゴブリンジェネラルを倒せば良いという事。


もちろん、良い点もあった。

ソースイとルークの組み合わせは良かった。
上手くソースイの背後に入ったルークは、死角になるゴブリンを零距離射撃して倒していく。

サンダーボルトは、発動後のスピードが速い。
ウィンドカッターやファイヤーボールなら射出されて加速するまでに時間がかかるが、サンダーボルトは断然に速い。
ゴブリンメイジのウィンドカッターより後から放ったサンダーボルトだったが、押し込まれてはいなかった。

その反面、軌道が直線的だったり、時間差を付けたりとテクニカルな撃ち方は難しい。

素人目ではあるがソースイとルークは、なかなかに息のあったコンビだと思う。

「今回の作戦も、真向勝負。ソースイとルークのコンビで行くぞ!」

また機会を与えられるとは思っておらず、声も出ないソースイ。
それに反して声は出ないが、ソースイの上を旋回して飛び回り、喜びを表すルーク。

「いつまでも、落ち込んでる暇は無いぞ。上手く行けば、ゴブリンジェネラルも何とかなると思うぞ!」


正面に、ゴブリンの群れが見えてくる。前と同じで、ゴブリンキャプテンとメイジが率いる30体の群れ。

前回のように、なるべく隠れて近くまで接近はしない。
ある程度で発見してもう。これくらい出来なければ、ゴブリンジェネラルには届かない。

ゴブリンがソースイに気付き騒ぎ出す。相変わらず何を言っているかは分からない。
迷い人の俺が分からない言葉は誰も分からないだろう。

「よし、ソースイ、ルーク、突撃!」

ソースイが全力疾走でゴブリンの群れに突入する。ルークはソースイの背中に張り付くようにして飛んで行く。

メーンとカンテが、サンダーボルトで弓を構えるゴブリン倒していく。

ブロッサはポイズンボムを放つ。スピードこそ遅めだが着弾した後に、毒の霧を撒き散らす。
倒すだけでなく、ソースイに近づいてくるゴブリンを牽制したり邪魔したりする意味合いもある。

ムーアは完全に援護。ストーンバレットで攻撃すのではなく、アースウォールでソースイの周りに土壁をつくっていく。

そして俺は、2枚のマジックシールドを左右に展開する。

「リーフ」

マジックシールドが細かく細分化されていく。

そしてゴブリン達が弓を構えて矢を放ってくるのを待つ。
今回はある程度の距離でゴブリン達に発見させているので、だいたい似たタイミングで矢を放ってくる。

「バーレッジ」

放たれた矢は、俺のマジックシールドの弾幕で、落とされるか軌道を変えて反れていく。

その頃には、ソースイとルークはゴブリンの最前列に到着する。

ソースイとゴブリンの体格差は大きい。身長だけでも1.5倍以上。
ハンドアックスによる攻撃よりも、体当たりや盾で殴り飛ばされているゴブリンの方が多いかもしれない。

ルークは零距離射撃でゴブリンを倒していくが、今回は皆の援護のおかげで、前回ほどではない。

そして、ソースイがゴブリンキャプテンを視界に捉える。

ゴブリン達から2射目の矢が放たれる。まだ生き残っているゴブリンもいるが、お構い無しで矢を放ってくる。

そしてゴブリンメイジの杖の先端に、炎の玉が見える。
森の中でファイヤーボールを放つつもりみたいだ。

「バーレッジ」

残りの1枚のマジックシールドで、再度弾幕を張る。

ファイヤーボールが、マジックシールドの弾幕を通る時に、魔力が分散する。
炎の形を維持出来ずに、熱風と変わる。

援護を貰ったソースイとルークは、更にキャプテンへと近付く。

「グラビティ」

正面に向かって、全力で魔法を放つ。

魔法抵抗の少ないゴブリンキャプテンは、体重が倍になり上手く体を動かせない。

そこへ雷を纏ったルークが、ゴブリンキャプテンへと体当たりする。

一瞬で、ゴブリンキャプテンの体が魔石を残して消える。

「これなら、何とかなりそうだな」
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