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迷いの森の精霊
121.揺らぐ価値観
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ガーラの宣言により、ユニコーンの縄張りの主はガーラへと代わった。
今はガーラや俺達の存在があるからこそ縄張りが守られているが、いつまでもこの状況が続くわけではない。
「ガーラ、縄張りの主になってどうするんだ?俺達はずっと居られないけど、ここに留まるのか?」
「今の私の居場所はブレスレットの中。この森ではない」
「じゃあ、どうするんだ?縄張りを放置して行くのか?」
「私達がこの森に居る間は大丈夫。それに常に主が居る必要はない。後はユニコーン達の問題。時間は十分ある」
「だけど結果がダメだった時はどうするんだ?」
「それがこの森のルール。結果に従うだけ。私はもう1度機会を与えただけ」
結果がダメな場合は、俺と契約するという選択肢もある。もちろん、ユニコーン達だけではなく、ガーラやブロッサが納得出来ればの話になるが、ユニコーンは自らを孤高の存在としてきただけに、複数の精霊と共存する事は難しいだろう。
そしてガーラはユニコーン達には妥協する事を許さなかった。この森で生き、最後までこの森のルールに従うという選択をさせた事になる。
「厳しい世界だろうけど、ガーラもドライだよな」
そこに右手の人差し指を立てて軽く振りながらムーアが近付いてくる。
『後はあなた次第なのよ!未知の存在のヒト族は、精霊なのか魔物なのか。それとも別の何かなのか?』
「そんな事言われても、俺は精霊と魔物の違いも分からないし、赤い目をしていれば魔物くらいの知識しかないんだけどな。俺が何だなんて、待っていても答えなんて出ないかもしれないぞ」
『答えが出ないから、精霊達は警戒して動かない。だけど、あなたはこの森の価値観や認識を大きく変えてしまうだけの力を秘めていると思うわ。それはガーラも一緒よ!』
「力とは何かって話か。そんなに経ってはないけど、懐かしい言葉だな」
縄張りにユニコーン達を残して、再び迷いの森を目指して進む。
ガーラの先導でそれぞれの精霊達の縄張り縫うようにを森の中を進むと、森の様子が突然変わる。
広葉樹が生い茂る森から、針葉樹の森へと変わる。マツやスギの木のような幾つかの種類があるのだが、木々の幹や枝葉のどれもが全て黒い。
日の光が当たらない中程でも葉が茂り、それが余計に日の光を遮っている。
暗く冷たい森には、精霊どころか動物の気配も感じられない。
「ガーラ、ここは不気味な森だな。ここを通るのか?」
「精霊達は近寄らない森。だからここを通る」
「近寄らないには理由があるんだろ。大丈夫なのか?」
「魔力だまりの森の魔樹。木々の糧は魔力。日の光は不要」
『魔樹が魔物をポップアップしないように、魔力だまりを吸収してくれているのね』
「魔樹が魔物のポップアップを防いでくれるが、危険性のある森には近付きたくないってところか」
確かに意識すれば、木々が魔力を吸い上げているのは分かる。しかし魔力だまりから魔力を吸収しているといっても、俺の身長くらいで成長が止まり枯れてしまっている木々も多い。
何気なしに枯れている枝の1本を折ってみようとしたが、指ほどの太さしかない枝でも硬くて折る事が出来ない。
精霊化した身体は、身体能力も高く力は強い方だと思う。それなのに、思いっきり力を込めても曲がりもしない。よく見れば風になびく事もなく直立不動で立っている。
俺が枝を折れずにいると、ダークがマジックソードを振るう。“パキンッ”と音がして、切れたというよりは折れたに近い感覚で枝が落ちる。
枝の断面は樹皮とは違い真っ白で、触った感触は木の質感とは違い石のような感じがする。
未知の素材に引き寄せられてきたホーソンだが、いつもは口数が多くなり五月蝿くなるはずが、今は折れた木の枝を眺めて黙って考え込んでいる。
「ホーソン、魔樹が気になるのか?」
「ええ、どこかで見たことがあると思ったのですが・・・」
「どうした、こんな目立つ変わった木はヒケンの森でも見当たらなかったぞ。何か心当たりでもあるのか?」
「これは、石柱と同じ素材じゃないでしょうか?廃鉱が関係して、何らかの鉱石だと思って調べていたので分かりませんでした。だけど、これが木なら納得できます」
「それが本当なら、何がどこまで関係しているの?この森は?精霊は?エルフ族は?」
急にクオンが反応する。
“何か来る”
今はガーラや俺達の存在があるからこそ縄張りが守られているが、いつまでもこの状況が続くわけではない。
「ガーラ、縄張りの主になってどうするんだ?俺達はずっと居られないけど、ここに留まるのか?」
「今の私の居場所はブレスレットの中。この森ではない」
「じゃあ、どうするんだ?縄張りを放置して行くのか?」
「私達がこの森に居る間は大丈夫。それに常に主が居る必要はない。後はユニコーン達の問題。時間は十分ある」
「だけど結果がダメだった時はどうするんだ?」
「それがこの森のルール。結果に従うだけ。私はもう1度機会を与えただけ」
結果がダメな場合は、俺と契約するという選択肢もある。もちろん、ユニコーン達だけではなく、ガーラやブロッサが納得出来ればの話になるが、ユニコーンは自らを孤高の存在としてきただけに、複数の精霊と共存する事は難しいだろう。
そしてガーラはユニコーン達には妥協する事を許さなかった。この森で生き、最後までこの森のルールに従うという選択をさせた事になる。
「厳しい世界だろうけど、ガーラもドライだよな」
そこに右手の人差し指を立てて軽く振りながらムーアが近付いてくる。
『後はあなた次第なのよ!未知の存在のヒト族は、精霊なのか魔物なのか。それとも別の何かなのか?』
「そんな事言われても、俺は精霊と魔物の違いも分からないし、赤い目をしていれば魔物くらいの知識しかないんだけどな。俺が何だなんて、待っていても答えなんて出ないかもしれないぞ」
『答えが出ないから、精霊達は警戒して動かない。だけど、あなたはこの森の価値観や認識を大きく変えてしまうだけの力を秘めていると思うわ。それはガーラも一緒よ!』
「力とは何かって話か。そんなに経ってはないけど、懐かしい言葉だな」
縄張りにユニコーン達を残して、再び迷いの森を目指して進む。
ガーラの先導でそれぞれの精霊達の縄張り縫うようにを森の中を進むと、森の様子が突然変わる。
広葉樹が生い茂る森から、針葉樹の森へと変わる。マツやスギの木のような幾つかの種類があるのだが、木々の幹や枝葉のどれもが全て黒い。
日の光が当たらない中程でも葉が茂り、それが余計に日の光を遮っている。
暗く冷たい森には、精霊どころか動物の気配も感じられない。
「ガーラ、ここは不気味な森だな。ここを通るのか?」
「精霊達は近寄らない森。だからここを通る」
「近寄らないには理由があるんだろ。大丈夫なのか?」
「魔力だまりの森の魔樹。木々の糧は魔力。日の光は不要」
『魔樹が魔物をポップアップしないように、魔力だまりを吸収してくれているのね』
「魔樹が魔物のポップアップを防いでくれるが、危険性のある森には近付きたくないってところか」
確かに意識すれば、木々が魔力を吸い上げているのは分かる。しかし魔力だまりから魔力を吸収しているといっても、俺の身長くらいで成長が止まり枯れてしまっている木々も多い。
何気なしに枯れている枝の1本を折ってみようとしたが、指ほどの太さしかない枝でも硬くて折る事が出来ない。
精霊化した身体は、身体能力も高く力は強い方だと思う。それなのに、思いっきり力を込めても曲がりもしない。よく見れば風になびく事もなく直立不動で立っている。
俺が枝を折れずにいると、ダークがマジックソードを振るう。“パキンッ”と音がして、切れたというよりは折れたに近い感覚で枝が落ちる。
枝の断面は樹皮とは違い真っ白で、触った感触は木の質感とは違い石のような感じがする。
未知の素材に引き寄せられてきたホーソンだが、いつもは口数が多くなり五月蝿くなるはずが、今は折れた木の枝を眺めて黙って考え込んでいる。
「ホーソン、魔樹が気になるのか?」
「ええ、どこかで見たことがあると思ったのですが・・・」
「どうした、こんな目立つ変わった木はヒケンの森でも見当たらなかったぞ。何か心当たりでもあるのか?」
「これは、石柱と同じ素材じゃないでしょうか?廃鉱が関係して、何らかの鉱石だと思って調べていたので分かりませんでした。だけど、これが木なら納得できます」
「それが本当なら、何がどこまで関係しているの?この森は?精霊は?エルフ族は?」
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