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オヤの街のハーフリングとオーク
214.吸収スキルと口臭ブレス
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ジワジワと湿地帯から後退しているが、オークは一定の距離を保って追いかけてくる。
「水掻きのある手足して、動きは普通なんだな」
『元は陸上の魔物よ。水中に潜んでる事がおかしいのよ!』
オークと半魚人の合の子のような体ならば、地上と水中のどちらに適正があるのだろうか?せめて、地上で少しでも退化したところがあればと期待したが、歩く様子は俺達と何も変わらない。
「草原に食事しにきてるから、やっぱりそうなるよな」
『でも、今はどっちか得意なのかしら?』
「まだ余裕で歩いてるからな。まず、あの笑みを消してからだろう」
赤いオークの吸収スキルはかなり強く、ウィプス達のサンダーストームだけではダメージは与えられていない。
吸収スキルは口に入ったものだけしか吸収出来ていない。だから、オークの体で弾けたサンダーストームは、バチッと音を立てると煙を上げて皮膚を焦がす。効果はあるのだが、その後に一瞬で回復されてしまい、体には傷痕すら残らない。
それならばと、ウィプス達を援護するように、ウィンドカッターやファイヤーボールを放ってみたが、凄い吸引力で引き込まれてしまう。
ストーンキャノンは警戒されていて、青いオークが口臭ブレスを放ってくる為に使えない。このブレスが放たれると、異臭の濃度が上がり消臭範囲もジワジワと削られてしまう。
「あれだけサンダーストームを受け続ければ、体も相当な熱さのはずだろ」
『オークの焼け焦げる臭いも、相当なものね』
「いくら回復するっていっても、痛みは感じるし体に熱は蓄積する。限界なんてないのか···」
赤いオークは痛みや熱さを全く感じさせず、感覚のないスケルトンやゾンビ達を彷彿とさせる。ただ死霊達と違うのは笑みを浮かべて、しっかりとした足どりで歩いてくる。殺気を感じさせないにこやかな笑みが、オークの異様さをさらに際立たせる。
そして青いオークは、赤いオークに守られるように後ろに隠れている。時折見える顔は、赤いオークとは違って全く笑みは見えない。
「どうだ、ブロッサ。間に合いそうか?」
「後もう少しだけ待っテ」
せめて消臭範囲だけでも広がれば、戦うにしても逃げるにしても選択肢が広がる。今は行動範囲が狭いために、複数で攻撃しても赤いオークの正面からしか攻撃出来ない。
「旦那、どうしやす?」
「今は、もう少し待て」
「やっぱり、化物ですぜっ。死霊どもの方が、まだマシっすよ」
チェンが愚痴ると、今まで動かなかった青いオークが反応する。
「ヴアアアァァァーーーッ!」
大きな叫び声を上げながら、口臭ブレスを放つ。
今までにない反応を見せるが、それは想定していた事でもあり、前面に展開したマジックシールドで受け止める。
無属性のマジックシールドは、腐食も劣化する事もなくブレスを受け止めてくれるが、そこでブレスは一旦滞留しただけで、口臭ブレス自体は全く消滅していない。
そして、滞留したブレスは湖から吹く風に流されて、再び風下にいる俺達の方へと流れ始める。
「ウィンドトルネード」
少しでもブレスを風上へと押し戻す為に攻撃へと転じるが、青いオークはもう赤いオークの後ろに隠れてしまっている。
そしてブレスを散らす為に、誰もいない空間に向けてウィンドトルネードを放つが、赤いオークもそれを黙って見過ごしてはくれない。
大きく息を吸い込むと、徐々にウィンドトルネードが揺れ動く。そして次第にオークの方へ曲がり軌道を変えて、オークの口へと引き寄せられてゆく。
「やっぱり、そうなるよな」
『どうするの?何か手があるんでしょ』
「ちょっとだけ、味付けしてみるさ!」
マジックシールドが青いオークの口臭ブレスに対抗出来たならば、赤いオークの吸収スキルにも有効なはず。
口臭ブレスも吸収スキルも原理は同じで、触れたものは腐食や劣化させられ、その後に魔力そのものへと還元されている。それならば、口臭ブレスに耐えたマジックシールドには吸収スキルは通用しない。
俺が笑みを見せると、赤いオークの笑みも変化する。にこやかな笑みから獰猛な笑みに変わり、やれるならやってみろと言っているのだろう。
「バーレッジ」
マジックシールドが飛散したように分裂すると、ウィンドトルネードに巻き込まれる。後は、赤いオークの吸収スキルによって口の中へと導かれるだけ。
「ガハッ、ガハッ、ガハッ」
「水掻きのある手足して、動きは普通なんだな」
『元は陸上の魔物よ。水中に潜んでる事がおかしいのよ!』
オークと半魚人の合の子のような体ならば、地上と水中のどちらに適正があるのだろうか?せめて、地上で少しでも退化したところがあればと期待したが、歩く様子は俺達と何も変わらない。
「草原に食事しにきてるから、やっぱりそうなるよな」
『でも、今はどっちか得意なのかしら?』
「まだ余裕で歩いてるからな。まず、あの笑みを消してからだろう」
赤いオークの吸収スキルはかなり強く、ウィプス達のサンダーストームだけではダメージは与えられていない。
吸収スキルは口に入ったものだけしか吸収出来ていない。だから、オークの体で弾けたサンダーストームは、バチッと音を立てると煙を上げて皮膚を焦がす。効果はあるのだが、その後に一瞬で回復されてしまい、体には傷痕すら残らない。
それならばと、ウィプス達を援護するように、ウィンドカッターやファイヤーボールを放ってみたが、凄い吸引力で引き込まれてしまう。
ストーンキャノンは警戒されていて、青いオークが口臭ブレスを放ってくる為に使えない。このブレスが放たれると、異臭の濃度が上がり消臭範囲もジワジワと削られてしまう。
「あれだけサンダーストームを受け続ければ、体も相当な熱さのはずだろ」
『オークの焼け焦げる臭いも、相当なものね』
「いくら回復するっていっても、痛みは感じるし体に熱は蓄積する。限界なんてないのか···」
赤いオークは痛みや熱さを全く感じさせず、感覚のないスケルトンやゾンビ達を彷彿とさせる。ただ死霊達と違うのは笑みを浮かべて、しっかりとした足どりで歩いてくる。殺気を感じさせないにこやかな笑みが、オークの異様さをさらに際立たせる。
そして青いオークは、赤いオークに守られるように後ろに隠れている。時折見える顔は、赤いオークとは違って全く笑みは見えない。
「どうだ、ブロッサ。間に合いそうか?」
「後もう少しだけ待っテ」
せめて消臭範囲だけでも広がれば、戦うにしても逃げるにしても選択肢が広がる。今は行動範囲が狭いために、複数で攻撃しても赤いオークの正面からしか攻撃出来ない。
「旦那、どうしやす?」
「今は、もう少し待て」
「やっぱり、化物ですぜっ。死霊どもの方が、まだマシっすよ」
チェンが愚痴ると、今まで動かなかった青いオークが反応する。
「ヴアアアァァァーーーッ!」
大きな叫び声を上げながら、口臭ブレスを放つ。
今までにない反応を見せるが、それは想定していた事でもあり、前面に展開したマジックシールドで受け止める。
無属性のマジックシールドは、腐食も劣化する事もなくブレスを受け止めてくれるが、そこでブレスは一旦滞留しただけで、口臭ブレス自体は全く消滅していない。
そして、滞留したブレスは湖から吹く風に流されて、再び風下にいる俺達の方へと流れ始める。
「ウィンドトルネード」
少しでもブレスを風上へと押し戻す為に攻撃へと転じるが、青いオークはもう赤いオークの後ろに隠れてしまっている。
そしてブレスを散らす為に、誰もいない空間に向けてウィンドトルネードを放つが、赤いオークもそれを黙って見過ごしてはくれない。
大きく息を吸い込むと、徐々にウィンドトルネードが揺れ動く。そして次第にオークの方へ曲がり軌道を変えて、オークの口へと引き寄せられてゆく。
「やっぱり、そうなるよな」
『どうするの?何か手があるんでしょ』
「ちょっとだけ、味付けしてみるさ!」
マジックシールドが青いオークの口臭ブレスに対抗出来たならば、赤いオークの吸収スキルにも有効なはず。
口臭ブレスも吸収スキルも原理は同じで、触れたものは腐食や劣化させられ、その後に魔力そのものへと還元されている。それならば、口臭ブレスに耐えたマジックシールドには吸収スキルは通用しない。
俺が笑みを見せると、赤いオークの笑みも変化する。にこやかな笑みから獰猛な笑みに変わり、やれるならやってみろと言っているのだろう。
「バーレッジ」
マジックシールドが飛散したように分裂すると、ウィンドトルネードに巻き込まれる。後は、赤いオークの吸収スキルによって口の中へと導かれるだけ。
「ガハッ、ガハッ、ガハッ」
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