269 / 329
オヤの街のハーフリングとオーク
269.終わりの願い
しおりを挟む
精霊達が一斉にロードへと襲いかかるが、ロードはそれを待ち構えて動こうとしない。
「なぜ、動かない?」
手にした槍は振るわず、ウィプス達のレーザービームをそのまま体で受け止める。それから魔法吸収し体を回復させる。それは草原で見せた攻撃的な動きとは違う、守護者のような守備的な動き。そして、ダークの紫紺の刀とフォリーが来るのを待ち構える。
まず先にダークがロードの喉元にある魔石を狙って襲いかかり、それをロードは黒槍で受け止める。その間に、フォリーの詠唱が始まる。
「全ては陰となり、全ては陰に消えん。循環せし輪から外れ永遠に彷徨う術を与えん」
クオカの洞穴で見せた時とは、明らかに規模が違うフォリーの陰魔法シェイドは、右肘を越え右腕全体を覆う程までに成長し大きな黒い球体をつくる。普段は表に出て力を行使する機会のないフォリーだが、真の力を発揮した場合の破壊力は召喚ハンソをも超える。
「シェイドーーッ」
ロードや黒槍の魔法吸収スキルも、魔石の位置も一切関係のなく、大きな球体となったシェイドはロードの全身を包み込むように飲み込む。黒い球体の中では、シェイドの嵐が吹き荒れている。光の無い世界限定の力ではあるが、この力を見てしまえば、ダークもフォリーには逆らうことが出来ないのも良く分かる。
そして徐々に黒い嵐が収まり、中の様子が見えてくる。しかしそこには、体の至るところは消滅しボロボロとなってはいるが、しっかりと立ちダークの紫紺の刀を受け止めているロードの姿がある。
『流石に消滅はしてないのね』
「でも回復の速度を上回る、圧倒的な攻撃的だな。想像以上だよ」
『徐々に回復はしているけれど、あの状態なら復活には時間がかかるでしょうね』
「壊せ、小僧。魔物ならば躊躇わないのだろ」
「んっ、ロードの声?」
「早くしないと、崩れ落ちるぞ!」
さらにロードからの感情の声が聞こえる。ボロボロになっているのはロードだけでなく、ロードの持つ片鎌の黒槍も同じで、そこからは黒い靄が漏れ出している。そこから僅かに見えるのは、小さくはあるが間違いなくオークキングの魔石。
「一体何をさせたい?」
「想像した以上の魔法の威力だが、まだもう少し力が足らん。死にたくないなら、早く魔石を砕く事だ」
「砕けばどうなる?それが目的なのか?」
さらに槍から漏れ出す靄の勢いが増し、ロードの答えを待つ余裕はない。槍の中の魔石を狙い、マジックソードを突き刺す。
カンッ
しかしボロボロになっているとはいえ、岩オニの金棒にも耐えることの出来る黒槍を簡単に貫くことは出来ない。
「何をしている、小僧。守護者の魔石を壊した力はどうした?」
「慌てるなよ。まだここで死ぬつもりはない」
右腕に魔力を集め、再度マジックソードを突き刺す。
カンッ
再び同じ音がしてマジックソードは弾かれるが、そこから斬撃が飛び出し魔石を貫く。そしてパキンッと割れる感触と、いつもの感覚が俺の中に流れ込む。それは、いつもの古の滅びたスキルを吸収する感覚で、守護者を倒した時とは明らかに違う。
「確かに、オークキングで間違いない」
『ええ、靄も消えてゆくわ』
「結局、真相は何も分からずじまいか」
目の前のロードの体が崩れ始める。キングの存在が消滅したことが、ロードにも何らかの影響を与えているのか、感情の声も聞こえなくなってしまう。するとロードは最後の力を振り絞って、槍を叩きつけるような素振りを見せてくる。
『カショウ、いいの?』
「心配ない、大丈夫だ」
ゆっくりと振り下ろされてくる槍を、マジックシールドで受け止める。その槍には、警戒するような力や殺気も込められていない。
「俺に魔石を壊させたいんだろ。フォリーの魔法が強すぎて、少し計画が狂ってしまったか」
やはりロードの心の声は聞こえない。しかし、首が僅かに頷く。それに応えるように、黒翼が大きく広がる。
「カショウ様、後のことは私めにお任せ下さい」
「ラガートか、勝手に返事しておいて今さらそれないだろ」
「共存することは、問題ないかと思います。決して不利益になるような事はありません」
「俺は精霊を探してはいるけど、魔物は集めてはいないぞ」
『でも、オリジナルのスキルも手に入るわよ♪』
皆の視線が俺に集まる。どのような強化になるかは分からないが、魔物の力が無ければ切り抜けれなかった場面があることを否定は出来ない。
「ハーピーにゴブリン、それにオークが増えても大して変わりはないか」
「なぜ、動かない?」
手にした槍は振るわず、ウィプス達のレーザービームをそのまま体で受け止める。それから魔法吸収し体を回復させる。それは草原で見せた攻撃的な動きとは違う、守護者のような守備的な動き。そして、ダークの紫紺の刀とフォリーが来るのを待ち構える。
まず先にダークがロードの喉元にある魔石を狙って襲いかかり、それをロードは黒槍で受け止める。その間に、フォリーの詠唱が始まる。
「全ては陰となり、全ては陰に消えん。循環せし輪から外れ永遠に彷徨う術を与えん」
クオカの洞穴で見せた時とは、明らかに規模が違うフォリーの陰魔法シェイドは、右肘を越え右腕全体を覆う程までに成長し大きな黒い球体をつくる。普段は表に出て力を行使する機会のないフォリーだが、真の力を発揮した場合の破壊力は召喚ハンソをも超える。
「シェイドーーッ」
ロードや黒槍の魔法吸収スキルも、魔石の位置も一切関係のなく、大きな球体となったシェイドはロードの全身を包み込むように飲み込む。黒い球体の中では、シェイドの嵐が吹き荒れている。光の無い世界限定の力ではあるが、この力を見てしまえば、ダークもフォリーには逆らうことが出来ないのも良く分かる。
そして徐々に黒い嵐が収まり、中の様子が見えてくる。しかしそこには、体の至るところは消滅しボロボロとなってはいるが、しっかりと立ちダークの紫紺の刀を受け止めているロードの姿がある。
『流石に消滅はしてないのね』
「でも回復の速度を上回る、圧倒的な攻撃的だな。想像以上だよ」
『徐々に回復はしているけれど、あの状態なら復活には時間がかかるでしょうね』
「壊せ、小僧。魔物ならば躊躇わないのだろ」
「んっ、ロードの声?」
「早くしないと、崩れ落ちるぞ!」
さらにロードからの感情の声が聞こえる。ボロボロになっているのはロードだけでなく、ロードの持つ片鎌の黒槍も同じで、そこからは黒い靄が漏れ出している。そこから僅かに見えるのは、小さくはあるが間違いなくオークキングの魔石。
「一体何をさせたい?」
「想像した以上の魔法の威力だが、まだもう少し力が足らん。死にたくないなら、早く魔石を砕く事だ」
「砕けばどうなる?それが目的なのか?」
さらに槍から漏れ出す靄の勢いが増し、ロードの答えを待つ余裕はない。槍の中の魔石を狙い、マジックソードを突き刺す。
カンッ
しかしボロボロになっているとはいえ、岩オニの金棒にも耐えることの出来る黒槍を簡単に貫くことは出来ない。
「何をしている、小僧。守護者の魔石を壊した力はどうした?」
「慌てるなよ。まだここで死ぬつもりはない」
右腕に魔力を集め、再度マジックソードを突き刺す。
カンッ
再び同じ音がしてマジックソードは弾かれるが、そこから斬撃が飛び出し魔石を貫く。そしてパキンッと割れる感触と、いつもの感覚が俺の中に流れ込む。それは、いつもの古の滅びたスキルを吸収する感覚で、守護者を倒した時とは明らかに違う。
「確かに、オークキングで間違いない」
『ええ、靄も消えてゆくわ』
「結局、真相は何も分からずじまいか」
目の前のロードの体が崩れ始める。キングの存在が消滅したことが、ロードにも何らかの影響を与えているのか、感情の声も聞こえなくなってしまう。するとロードは最後の力を振り絞って、槍を叩きつけるような素振りを見せてくる。
『カショウ、いいの?』
「心配ない、大丈夫だ」
ゆっくりと振り下ろされてくる槍を、マジックシールドで受け止める。その槍には、警戒するような力や殺気も込められていない。
「俺に魔石を壊させたいんだろ。フォリーの魔法が強すぎて、少し計画が狂ってしまったか」
やはりロードの心の声は聞こえない。しかし、首が僅かに頷く。それに応えるように、黒翼が大きく広がる。
「カショウ様、後のことは私めにお任せ下さい」
「ラガートか、勝手に返事しておいて今さらそれないだろ」
「共存することは、問題ないかと思います。決して不利益になるような事はありません」
「俺は精霊を探してはいるけど、魔物は集めてはいないぞ」
『でも、オリジナルのスキルも手に入るわよ♪』
皆の視線が俺に集まる。どのような強化になるかは分からないが、魔物の力が無ければ切り抜けれなかった場面があることを否定は出来ない。
「ハーピーにゴブリン、それにオークが増えても大して変わりはないか」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
悪魔になったらするべきこと?
ファウスト
ファンタジー
剣と魔法の世界。そこで魔法を教える学校に通う主人公ルナ・フラウステッドは魔法使いに憧れてる女の子。次の進級で実技に行く段階になった彼女だったがどうしてか魔法を上手く使えない落第生となってしまった。そんな時、偶然にも雇われた家庭教師の先生が言う方法に運命を任せたところ・・・。
「悪魔になっちゃった!?」
悪魔に変化!だけでも中身はそのままの彼女の運命やいかに!
彼女を狙う影、彼女の体の行く末、それを見守る保護者たち。
彼女はいったいどうなってしまうのだろうか。
これは悪党から両親と自分の将来を守るために悪魔になった少女がその身の上と体の特殊さから
様々な騒動に巻き込まれるお話である。
異世界勇者のトラック無双。トラック運転手はトラックを得て最強へと至る(トラックが)
愛飢男
ファンタジー
最強の攻撃、それ即ち超硬度超質量の物体が超高速で激突する衝撃力である。
ってことは……大型トラックだよね。
21歳大型免許取り立ての久里井戸玲央、彼が仕事を終えて寝て起きたらそこは異世界だった。
勇者として召喚されたがファンタジーな異世界でトラック運転手は伝わらなかったようでやんわりと追放されてしまう。
追放勇者を拾ったのは隣国の聖女、これから久里井戸くんはどうなってしまうのでしょうか?
現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~
はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。
病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。
これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。
別作品も掲載してます!よかったら応援してください。
おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
異世界に召喚されたので、好き勝手に無双しようと思います。〜人や精霊を救う?いいえ、ついでに女神様も助けちゃおうと思います!〜
月城 蓮桜音(旧・神木 空)
ファンタジー
仕事に日々全力を注ぎ、モフモフのぬいぐるみ達に癒されつつ、趣味の読書を生き甲斐にしていたハードワーカーの神木莉央は、過労死寸前に女神に頼まれて異世界へ。魔法のある世界に召喚された莉央は、魔力量の少なさから無能扱いされるが、持ち前のマイペースさと素直さで、王子と王子の幼馴染達に愛され無双して行く物語です。
※この作品は、カクヨムでも掲載しています。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる