どうも魔法少女(おじさん)です。 異世界で運命の王子に溺愛されてます

志麻友紀

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どうも魔法少女(おじさん)です。【2】~聖女襲来!?~おじさんと王子様が結婚するって本当ですか!?

【20】狂信者のマーチ その1

   



 第6王子といえば、コウジに一度絡んできたオレンジの魔法少女のパートナーだった。当然、二人ともあの災厄の卵討伐の一度目の失敗で死んだ。
 少女は元世界へと戻り、第6王子は王位継承権を失った訳だが。

 その第6王子の顔もうろ覚えだ。四十五人もいれば、覚えられなくて当たり前だが、しかし、どれもまあ、自分に多少は関わり合いがあるわけだ。

「もしかして、俺はトラブルメーカーか?」
「もしかしなくたってそうよ。自覚なかったの?」

 すかさずシオンのツッコミが入った。

 再度の円卓会議の間だ。メンツは三王子にそれぞれのパートナーに王様、そしてロンベラス将軍。
 宰相と副議長の顔がないのは「お前達は外に出ろ。宰相は書類仕事でもしておれ」とフィルナンド王に部屋から追い出されたからだ。たしかに国政のトップはいまや、行政執行官たるコンラッドではある。

 軍のトップは最高軍事顧問官ジークで、ロンベラス将軍は追い出された宰相と副議長を思えば、同じように退出すべきなのだが、王は将軍には去れとは言わなかった。
 ようは有事のときに使いものになるか、ならないかの違いだ。会議室に入ったときから青ざめて、なんの打開策もない、後ろ向きな慎重論しか言わない“役立たず”は追い出したと。

 そして、ピート王子は報告のあとに「手遅れでしたね」と苦笑した。
 報告の内容は先日元老院議長を辞任したクルノッサからの聞き取りだ。

 コウジを直接襲ったのは第10王子と第11王子ではあるが、もともと複数の王子とその後ろ盾の主家の関与は、一連の事件で疑われていたのだ。
 それを不問としたのは、準妃ロジェスティラが関わっていたこと、そしてクルノッサがすべての泥を被って自分一人がやったことと、元老院議長を辞任。隠居したからだ。

 二人の王子の主家預かりとクルノッサが表舞台から去ったことで、他の者達には十分な牽制になったと、あのときのフィルナンドもジークもコウジも思っていたのだ。
 そもそも、ほとんどの大物貴族が背後にある王子達が関わっていたのだから、これを粛正しようとすると大規模なものになりすぎる。一気にそれだけの家を処分などすれば、逆に王家やジークやコウジに敵意が向く。叛乱とはいかないまでも、第二、第三の襲撃や暗殺騒ぎなどゴメンだった。

 ならば、今回は見逃してやると恩を売っておいて、相手が迂闊な動きなど出来ないようにクギを刺しておいたほうがいい。
 今回はそれが裏目に出た。

 いや、まさか“聖女”だなんてイレギュラーな存在が出てくるとは、予測もつかない話だ。
 ジークとコウジの襲撃、暗殺の陰謀に関わった者達のことは、自分一人の罪として墓まで持って行くつもりのクルノッサだが、王直々の書面とこの国の危機に、あっさりと陰謀に荷担した王子達の名前をあげた。

 まあ、予想通りのメンツだったわけだが。

「つまり、元序列4位から11位までは全滅ってわけか? それ以下はぽちぽちと消息不明があると」

 卓上におかれた王子達の序列リストをコウジは眺める。
 クルノッサの話を受けて、陰謀に荷担した王子達のところには直ちに、身柄を拘束するべく憲兵が送られた。
 が、すべての王子達の消息は不明。念のためと陰謀に荷担していない、部屋住みの王子達も確認すれば十名ほど姿を消していた。

 「あ、全滅ではありませんよ」とピートが口を開く。

「序列9位のラドゥ兄様は陰謀に関与していませんし、マリーン男爵令嬢と来月ご結婚の予定ですから」

 この王子様、その男爵令嬢と幼なじみで淡い恋心をお互い寄せ合っていた。しかし、災厄の予言と異世界からやってくる魔法少女とパートナーとなる王子の将来から、お互いに想いを確認しあうことはなかったという。
 が、災厄は去って魔法少女達も三王子のパートナーを残して異世界に帰ってしまった。
 二人の想いの障害はなくなったと、晴れて結ばれたという話だ。

「他の残った王子達もラドゥ兄様のように純愛ではなくとも、同様の理由ですね。みんな他家の令嬢との結婚が決まっていて、安定した将来を捨ててまでこの“叛乱”に加わる必要はないと」

 ピートがさらりと口にした言葉にフィルナンド王が「叛乱じゃと」と苦々しく言う。百年に一度の災厄に襲われるとはいえ、フォートリオンの王政は安定してきた。大貴族であっても強大な王権に逆らうことなど考えられなかった。
 「他国の神へと信仰を移し、その宗主たる聖女をあがめているのです。これを叛逆と言わなくてどう言います?」とピートが告げるのに、フィルナンド王は深いため息を一つ「たしかにその通りだな」と答える。
 「もっとも兄様方も叛乱なんて起こすつもりはなかったでしょうね」とピートは続ける。

 序列の上位にあり、母方の家名の高い王子達は元の序列の復活と、王族としての生涯の地位を求めてのことだろうと。
 元々気位の高い彼らからすれば、いまさら爵位を名乗って臣下の身分にくだるなど、その矜持が許さなかったというわけだ。

 対して序列が低い部屋住みの王子達としては、このまま婿入り先が決まらなければ、一代限りの子爵として王宮から放り出される。
 子供に爵位が引き継がれない一代貴族のところなどに、騎士階級の娘といえど嫁にも来ないのだろう。国から支給される細々とした年金を頼りに田舎に引っ込むか、王都の商家の屋根裏の一室を借りてのわび住まいか……ともあれあまり将来には期待出来ない。

 実際、王宮から姿が消えた王子達のすべてが、婿入り先が決まっていない者ばかりだった。彼らとしても、自分達の王子としての地位の維持と今後の王宮暮らしの生活の保障の要求と……そんなところだろう。





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