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どうも魔法少女(おじさん)です。【3】~魔王降臨!!おじさんの昔のオトコ!?~
【22】戦いすんで日が暮れて※ その1
しおりを挟む「ジークとの一騎打ちに負けたら、お前はこの世界を諦めて、魔界に帰るって約束したよな?」
コウジの言葉にフィラースは「そうだったな」とくくく……と笑う。
その上空に浮かぶ魔王城の後ろの空間に、ビシリビシリと亀裂が走り、割れた向こうには渦巻く時空がのぞいていた。神としてしばられた魔王に対して、早くも魔界の次元が固定されようとしているのだ。
「これ以上あがくのも無様というものか」
「そうだ。神様になった魔王様よ。あんたはあんたの世界に帰れ」
コウジがフィラースに向かい一歩歩み寄って、シッシッと犬でも追い払うように手を振る。「どこまでも思い通りにならない男よ」とフィラースはつぶやく。
「では再び会う日までさらばだ」
「二度と会うことはねぇと思うけどな」
「まったく、こんな別れの時にさえ、つれない」
「さようなら、魔王様」とコウジが背を向けた瞬間に、フィラースの腕が伸びて手首を掴んだ。「コウジ!」とジークが駆け寄ってくる。
魔王城が時空に呑み込まれるままに、魔王たるフィラースの身体も上空へと吸い込まれる。コウジの身体もまたふわりと浮く。
ジークが手を伸ばす。それにむかいコウジも手を伸ばした。彼ではなく腰の漆黒の聖剣に。
本来ジーク以外には応えないはずのグラフマンデが、このときは飛んでコウジの手に収まった。コウジが繋がった手に聖剣を振り下ろす。
漆黒の剣は空を切った。フィラースが手を放したからだ。彼は「さらばだ、また会おう!」と声をあげて笑いながら、次元の亀裂に吸い込まれる魔王城とともに消えた。
一旦浮き上がったコウジの身体はすとんと落ちて、ジークに横抱きにされた。キツく抱きしめられるのに「苦しいぞ」とぽんぽんとその腕を叩く。
「あなたは自分の腕を斬るつもりだったのか!?」
めずらしくも感情を露わに問い詰めるジークに、コウジは面食らう。一瞬、目を泳がせて次に苦笑しながら。
「何、言ってんだ。フィラースの腕を切り捨てるつもりだったさ。だからあっちが手を放しただろう?」
そう言えば、ジークは無言でじっとこちらの顔を見つめる。ああ、こりゃ“バレてるな”とは思うが。
「ま、戦いは終わったんだ。お家に帰ろうぜ」
コウジは締めくくったのだった。
◇◆◇ ◆◇◆ ◇◆◇
次元の向こうに吸い込まれると同時に、フィラースは魔王城の中へと転移していた。その前にはデクスが片膝をついてひざまづき、頭を垂れている。
「勝手なことをいたしました……」
魔王城から砲撃を放ったのはデクスなのはわかっていた。一騎打ちに横やりをいれた行為に、どのような厳罰も受けるという表情の側近に、フィラースは苦笑する。
「お前は私の身を守ろうとしただけのことだ。それを咎める理由はない」
「フィラース様」
こちらを見上げるデクスに「立て、これから忙しくなるぞ」と告げる。
フォートリオンの侵略に失敗したのは事実だ。魔王が神の座に復権したことなど、魔界の者達には関係ない。これでフィラースの力が弱まったと、魔界の宗主の座を狙って動き始める者も多いだろう。
しばらくはそれを叩きつぶすのに時間をとられる。所詮は力こそ正義の世界。修羅の道だ。
それからすればデクスを許す行為さえ、他の者からみれば“甘い”と見られるかもしれないが。
────実際、私も甘くなったか。
最後の最後のあがきで、連れて行こうとした男を思い出す。あのとき黒い聖剣は迷うことなく、フィラースが掴む、自分の手首を切り捨てようとしていた。
フィラースの腕ではなくだ。
だから、思わずその手を放してしまった。
「まったく、甘い男だ」
それはコウジに対してなのか自分に対してなのか。フィラースは再び苦笑して、後ろのデクスに「行くぞ」と告げた。
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