【完結】極道聖女

志麻友紀

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【36】待~て、待~て、ステイ! ステイ! ※

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 だからなんでヘソなのか? 

「や、やめっ! くすぐってぇ~ひゃっひゃっひゃああぁぁ!!」

 どうしてなんでヘソなのか? 

「へ、ヘソの穴に舌入れるなぁ! つうか、そこは腹筋の溝だっ! あははは!」

 笑っちゃうのは仕方ないだろう? 
 だってヘソ舐められているんだぜ? 
 ヘソだけじゃなくて、シグアンの舌先はちろちろと、もちろんくっきり割れているジョウの腹筋にまで遡ってきた。さらにはシックスパックの一つ一つを肉食獣みたいなぶ厚い舌でぺろんぺろん。
 いや~マニアックなプレイ? だなぁ。足といい、さてはこいつ、ペロペロ魔か? 
 昔、組で飼っていたドーベルマンを思い出す。あいつも怖い顔して、ペロペロ魔だった。ジョウも顔中をペロペロされた。ヘタすると耳までペロペロしてきて「くすぐってぇ~」と叫んだが、それでも【チビ】にはそれを許した。人間の男の形をしたヘンタイなら、そいつの耳をそぎ落としていたところだ。
 【チビ】って? ドーベルマンの名前だよ! ジョウの命名ではない、組長である父親オヤジが付けたのだ。将来デカくなるなんて、誰も言わなかった。組長の言うことは絶対だからな。
 そんなこと思い出しながら、腹のくすぐったさに耐え、いや、耐えきれずに「ひゃあ!」だの「あははっ! やめっ!」だの言いながら、手を伸ばしてシグアンの白い頭を撫でてやった。
 それこそ、犬にするみたいにくしゃくしゃとかき混ぜてやる。ああ~この毛並みは【チビ】のあとに飼った【ハイジ】を思い出す。まっ白な毛並みのグレート・ピレニーズだった。命名はもちろん、オヤジだよ! 
 そんな愛犬たちの記憶を考えていたら、くすぐったさも和らいだような気がしたが、なにやら下腹部がもったりと熱いのに嫌な予感を覚える。さらにはヘソから上を舐めていたシグアンが、今度はヘソの下、微妙なラインへと。
 上半身はもちろん裸だ。だから下半身を守るのはゆったりとしたパンツ一枚だ。だからなんで脱いだ? とあのときの自分に問いたい。
 太いベルトもだ。あれはヘソ? とおパンツで隠れたセンシティブなゾーンを守る貞操帯? でもあったんだぞ! 
 なんで脱いだ!? 自分!? 
 だって、あの勢いで脱がなきゃ、極道として格好つかねぇだろうが! 

『若、酔っぱらってもいないのに、その脱ぎグセなんとかなりませんか? 血の気の多い奴らには目に毒ですぜ』

 お付きの壮年の幹部がいつもぼやいていたのを思い出す。おいおい、大暴れからの返り血の白いスーツ脱ぎ捨ててからの、背中の百合と観音見せなくてどうするんだ? 
 そうじゃなきゃ、仏花のジョウじゃねぇ。
 誰だ? 白百合のおジョウ様ってつぶやいた奴は? そいつの舌は一人残らず、引っこ抜く! 
 とにかく脱いでこそ、極道!? だ! 
 だから、脱いだことに後悔なんかしない! 

「ストップ! ストーップ! 待て! 待てだ! シグアン!」

 超大型犬? は最初の躾が肝心だ。ジョウは【チビ】と【ハイジ】にしていたように、くっきりと一言ずつわかる様に区切って命令し、両手を突き出して『ダメ』を示すハンドサインをした。
 すると下腹をぺろぺろ舐めながら、パンツをずり下ろそうと手をかけていたシグアンがぴたりと止まって、少し離れた。

「よ~し、イイ子だ」

 グッドボーイまで言いかけてやめた。一応目の前の大型犬は人の形してる聖者様だしな。
 身を起こしたジョウは気になっていた自分の股間を見て、軽く絶望した。
 いや、見なくとも分かっていた。
 反応していた。
 目の前の大型犬にヘソをペロペロされて。
 新しい扉開いちゃった! 
 隅っこで膝を抱えてしんみりお通夜モード、萎えるまで放っておいてくれと、落ち込みたいところだが、それも出来ない状況だった。
 大型犬じゃない、シグアンがハアハアしている。
 興奮というより苦しそうだ。
 自分のヘソ舐めたぐらいじゃ今回の【蝕】の穢れは祓えていないらしい。
 シグアンの黒の衣はほこりっぽさが目立つが自分のように乱れていない。ま、ジョウの場合は自分から脱いだんだが。
 そして、じっとこちらを見て『待て』して我慢してる大きなワンコの下半身を見て思った。
 大きいな。おい。
 黒い布を押し上げて、それは見事なテントを作っていた。
 ジョウのヘソをペロペロしながら、こいつも興奮していたのだ。
 このヘンタイめ! 
 だが己の口許に苦笑が浮かぶのにジョウは不思議な気分だった。
 自分が欲望の対象になっているなんて、他の奴だったら絶対に受け入れられないのに。

────仕方ねぇな。

 いや、仕方ないはマズイだろう? と思いつつ、シグアンのベルトに手を伸ばした。奴の手が伸びて自分の手首をむんずと掴むのに。

「『待て』だ、シグ」
「…………」

 そういえば、そう呼べって言われていたなと、口すれば奴はのろのろと、手を離した。
 ベルトを外し、チュニックの合わせの前をはだける。鍛えられた見事な胸元から腹筋が露わになる。まあ、ハマムで見慣れているけどな。
 あれからも幾度かハマムで蒸されて、一緒にデカい浴槽にはいる仲だ。
 それから黒のズボンに手をかけ下ろすと。
 勢いよく飛び出してきたすでに臨戦態勢のそれを握りしめた。






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