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第二章 新たな出会い-5
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「そう焦るな。今度は陸での修行だ。カイン、お前にはカペックなんて小動物は規模が小さすぎる。倒して捕まえるのは、ジョールだ」
ヤムの一言を聞いてカインは目を見開く。
「ジョールだと!?」
「ヤムさん! カペックぐらいなら俺一人でも倒せたけど、ジョールはさすがにカイン一人では無理があるよ!」
ジョールという言葉にハザードも口を挟む。
「そうか。そうか。カインの力では無理か。どうせ二人で一つだもんな。お前たちにはジョールは無理か。そんなもんか。わかった。それなら、二人で……」
「待て! やってやる! ジョールの一匹や二匹、俺一人で十分だ。ハザード。お前は手を出すな。これは俺とヤムの戦いだ」
ハザードは「だけど……」と言葉を紡ごうとしたが、カインの眼差しはヤムに向かっていた。
「ほぅ。なら、ジョールを倒して、ここに連れてくるんだな。頑張れよ!」
ヤムはカインへの挑発をやめることはなかった。
「やってやる! やってやるさ!」
カインは洞窟を抜けてジョールがはびこる辺り一帯に歩を進める。
「おや、見ない顔だな。貴様」
現れたのは鋭い爪に大きな羽を持つジョールの姿だった。
「見つけたぜ! ジョールめ」
カインはここぞとばかりに剣を鞘から抜き、構える。
「ん? 貴様、俺たちを知ってるのか?」
ジョールは顔を前に出して、カインの顔をじっと見つめる。
「問答無用! 消え失せろ!」
カインはそんな様子のジョールを構いもせず、剣を振り下ろす。ジョールは前に出していた顔を素早くスッと引っ込めると、大きな羽で風を巻き起こす。砂埃でカインの前は見えなくなる。
「くそっ! こざかしい!」
この間、ジョールを倒したときはハザードの援護があった。しかし、今度は一人だ。何とかしないといけないが、カインはハザードほど頭の回転が速いわけでもない。
「どうする。この砂埃ではジョールの姿さえ見えない。剣を闇雲に振ったところで当たる確率なんてゼロに近い。あいつの姿を拝む方法はないのか」
カインはとにかく考え続ける。そうしていると、ジョールの爪がカインに襲いかかってくる。
「くっ」
カインは間一髪で一歩後ろに下がって爪の一撃はよけた。しかし、服は少し破れてしまった。
「このやろう。俺の大事な服が破れちまったじゃねーか!」
カインは意地でもこのジョールを倒してヤムのところへ持って行くことを決意する。
「ザーギンさんなら、リュージェ様ならこういうときどうする? 持っているものは剣一つだ」
カインは剣の柄を少し持ち直した。そのとき、カインの頭にアイデアが浮かんでくる。
「そうか! この方法ならもしかしたら!」
「どうした? どうした? 手も足も出ないか? ならこの爪でやられるんだな!」
ジョールの爪は砂埃の中からまたカインに忍び寄る。カインは後ろに下がると、剣の柄を軸にグルグルと回し始める。遠心力で自然と起きる風の影響で砂埃はジョールの方に流れていく。
「ちっ。なんだ! 目に砂が!」
ジョールは巻き起こした砂が自分の目に入ってしまっていた。それがカインの狙いだった。カインはその隙を見つけた瞬間に剣を持ち直し、ジョールの喉元を一突きして、その命を奪った。
「ふぅ。なんとか一匹倒せたか。ヤムの元に持って行くか」
カインは殺したジョールを担いで洞窟へと戻っていくのだった。
「ほぅ。よくあれだけ臨機応変に戦えたものだ。すばらしいぞ、カイン。俺も洞窟に戻らないとな」
ヤムは密かにカインの後をつけて、その様子を見ていた。カインがジョールを倒したのを確認すると同時に急いで洞窟内へと戻るのだった。
「カインさん大丈夫かな?」
「スーピー」
リンネとハザードは洞窟の中で二人が帰ってくるのを待っていた。しかし、ハザードはリンネの隣で寝息を立てていたのだった。
「まったく。ハザードさんはカペックに塗った睡眠薬が効き過ぎてますね。まぁあたしたちにとっては都合がいいですけど」
リンネは焚き火に当たりながら、ハザードの上に座って羽を休めていた。
「おい! ヤム! どこだ!」
カインが洞窟に着くとヤムの姿はそこにはなかった。リンネとハザードは焚き火の近くで小さく寝息を立てている。
「くそっ!」
捕まえてきたジョールを地面に「ドシン」という大きな音と共に下ろすと、カインはヤムの姿を探すため洞窟の外へ出る。
「どこだ? どこへ行きやがった」
カインはキョロキョロと辺りを見渡す。
「海の方か?」
カインは歩みを海へと進める。すると、断崖絶壁の場所に一人、あぐらをかいて座る人物がいるのを見つけた。
「ヤム! あいつ、あんなところでなにしていやがる!」
カインは崖下からヤムの居る場所まで駈け上がる。
「カインか。よく来たな」
「よく来たなじゃねーよ。ハザードとリンネほったらかしで、何してやがる!」
カインの言葉を静かに聞きながらヤムは座禅を組んだまま目を瞑っている。
「聞いてんのか!」
カインは反応しないヤムの態度に腹が立ち始める。
「来たか。カイン、こっちだ!」
ヤムは立ち上がると同時にカインの手を引く。カインは急に手を持って行かれて体が反動でこけそうになったが、思ったよりも体は順応する。
「ここいら一帯の仲間がやられていると聞いたが、ヤム、お前の仕業か。ん? そっちのガキはなんだ?」
二人は今まで相手をしてきた中で一番強そうなジョールを目の前にする。
「ヤム、こいつは?」
「ここら一帯のジョールの親玉だ。俺らの手で仲間が減っていってるのに気付いて動き始めるだろうと俺も睨んでたんだが。ここまででかいとは思わなかった。カイン、力を貸せ」
確かに今までのジョールとは比べものにならないくらい羽も大きくて、爪も鋭い。なにより体がでかい。
「力を貸せってったって、俺はまだ修行の身。ヤムの手助けが出来るかどうか」
カインは明らかに今までと違う敵を目の前に弱気になってしまう。
「いつもの負けん気はどうした? カイン。大丈夫だ。俺の指示に従え。まずは、剣を捨てろ」
「なに!?」
ヤムはカインを鼓舞するかと思えば唯一の武器である剣を捨てろと耳を疑うような言葉を発したのだ。
「何をガタガタ言ってやがる! 俺たちの仲間の仇、今討たせてもらう!」
ジョールは大きな羽を振るわせながらカインとヤムの方へやってくる。
ヤムの一言を聞いてカインは目を見開く。
「ジョールだと!?」
「ヤムさん! カペックぐらいなら俺一人でも倒せたけど、ジョールはさすがにカイン一人では無理があるよ!」
ジョールという言葉にハザードも口を挟む。
「そうか。そうか。カインの力では無理か。どうせ二人で一つだもんな。お前たちにはジョールは無理か。そんなもんか。わかった。それなら、二人で……」
「待て! やってやる! ジョールの一匹や二匹、俺一人で十分だ。ハザード。お前は手を出すな。これは俺とヤムの戦いだ」
ハザードは「だけど……」と言葉を紡ごうとしたが、カインの眼差しはヤムに向かっていた。
「ほぅ。なら、ジョールを倒して、ここに連れてくるんだな。頑張れよ!」
ヤムはカインへの挑発をやめることはなかった。
「やってやる! やってやるさ!」
カインは洞窟を抜けてジョールがはびこる辺り一帯に歩を進める。
「おや、見ない顔だな。貴様」
現れたのは鋭い爪に大きな羽を持つジョールの姿だった。
「見つけたぜ! ジョールめ」
カインはここぞとばかりに剣を鞘から抜き、構える。
「ん? 貴様、俺たちを知ってるのか?」
ジョールは顔を前に出して、カインの顔をじっと見つめる。
「問答無用! 消え失せろ!」
カインはそんな様子のジョールを構いもせず、剣を振り下ろす。ジョールは前に出していた顔を素早くスッと引っ込めると、大きな羽で風を巻き起こす。砂埃でカインの前は見えなくなる。
「くそっ! こざかしい!」
この間、ジョールを倒したときはハザードの援護があった。しかし、今度は一人だ。何とかしないといけないが、カインはハザードほど頭の回転が速いわけでもない。
「どうする。この砂埃ではジョールの姿さえ見えない。剣を闇雲に振ったところで当たる確率なんてゼロに近い。あいつの姿を拝む方法はないのか」
カインはとにかく考え続ける。そうしていると、ジョールの爪がカインに襲いかかってくる。
「くっ」
カインは間一髪で一歩後ろに下がって爪の一撃はよけた。しかし、服は少し破れてしまった。
「このやろう。俺の大事な服が破れちまったじゃねーか!」
カインは意地でもこのジョールを倒してヤムのところへ持って行くことを決意する。
「ザーギンさんなら、リュージェ様ならこういうときどうする? 持っているものは剣一つだ」
カインは剣の柄を少し持ち直した。そのとき、カインの頭にアイデアが浮かんでくる。
「そうか! この方法ならもしかしたら!」
「どうした? どうした? 手も足も出ないか? ならこの爪でやられるんだな!」
ジョールの爪は砂埃の中からまたカインに忍び寄る。カインは後ろに下がると、剣の柄を軸にグルグルと回し始める。遠心力で自然と起きる風の影響で砂埃はジョールの方に流れていく。
「ちっ。なんだ! 目に砂が!」
ジョールは巻き起こした砂が自分の目に入ってしまっていた。それがカインの狙いだった。カインはその隙を見つけた瞬間に剣を持ち直し、ジョールの喉元を一突きして、その命を奪った。
「ふぅ。なんとか一匹倒せたか。ヤムの元に持って行くか」
カインは殺したジョールを担いで洞窟へと戻っていくのだった。
「ほぅ。よくあれだけ臨機応変に戦えたものだ。すばらしいぞ、カイン。俺も洞窟に戻らないとな」
ヤムは密かにカインの後をつけて、その様子を見ていた。カインがジョールを倒したのを確認すると同時に急いで洞窟内へと戻るのだった。
「カインさん大丈夫かな?」
「スーピー」
リンネとハザードは洞窟の中で二人が帰ってくるのを待っていた。しかし、ハザードはリンネの隣で寝息を立てていたのだった。
「まったく。ハザードさんはカペックに塗った睡眠薬が効き過ぎてますね。まぁあたしたちにとっては都合がいいですけど」
リンネは焚き火に当たりながら、ハザードの上に座って羽を休めていた。
「おい! ヤム! どこだ!」
カインが洞窟に着くとヤムの姿はそこにはなかった。リンネとハザードは焚き火の近くで小さく寝息を立てている。
「くそっ!」
捕まえてきたジョールを地面に「ドシン」という大きな音と共に下ろすと、カインはヤムの姿を探すため洞窟の外へ出る。
「どこだ? どこへ行きやがった」
カインはキョロキョロと辺りを見渡す。
「海の方か?」
カインは歩みを海へと進める。すると、断崖絶壁の場所に一人、あぐらをかいて座る人物がいるのを見つけた。
「ヤム! あいつ、あんなところでなにしていやがる!」
カインは崖下からヤムの居る場所まで駈け上がる。
「カインか。よく来たな」
「よく来たなじゃねーよ。ハザードとリンネほったらかしで、何してやがる!」
カインの言葉を静かに聞きながらヤムは座禅を組んだまま目を瞑っている。
「聞いてんのか!」
カインは反応しないヤムの態度に腹が立ち始める。
「来たか。カイン、こっちだ!」
ヤムは立ち上がると同時にカインの手を引く。カインは急に手を持って行かれて体が反動でこけそうになったが、思ったよりも体は順応する。
「ここいら一帯の仲間がやられていると聞いたが、ヤム、お前の仕業か。ん? そっちのガキはなんだ?」
二人は今まで相手をしてきた中で一番強そうなジョールを目の前にする。
「ヤム、こいつは?」
「ここら一帯のジョールの親玉だ。俺らの手で仲間が減っていってるのに気付いて動き始めるだろうと俺も睨んでたんだが。ここまででかいとは思わなかった。カイン、力を貸せ」
確かに今までのジョールとは比べものにならないくらい羽も大きくて、爪も鋭い。なにより体がでかい。
「力を貸せってったって、俺はまだ修行の身。ヤムの手助けが出来るかどうか」
カインは明らかに今までと違う敵を目の前に弱気になってしまう。
「いつもの負けん気はどうした? カイン。大丈夫だ。俺の指示に従え。まずは、剣を捨てろ」
「なに!?」
ヤムはカインを鼓舞するかと思えば唯一の武器である剣を捨てろと耳を疑うような言葉を発したのだ。
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