双剣使いの極狼零竜《バースト・ゼローグ》

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『強敵2』

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「なー。もっと速く行けないの?」
狼竜はクロと話していた。
『落ちちゃうよ?』
「そう簡単には落ちん」
『そうです?じゃあ少し速くしますね』
そういい、クロはスピードを速めた。


           ☆


「はっ。アイヴェルヘルムの名が泣くぞ」
「黙っ・・・れ」
サクラは抵抗を続ける。
「おいおい・・・。そう俺を楽しませるな。虐めたくなるだろう?」
(この男が!狼竜さえ来れば終わりなのに・・・)
「狼・・・竜」
サクラは気を失った。
この男が屋敷に来て10分。すべての護衛や、ミラを倒した。
「まぁ、今から助っ人が来ようが俺には勝てん」
男はそう言い放ち、サクラとミラを抱えどこかに消えた。
ただ、屋敷で隠れていたヨミは、その光景を見ていた。
「ど、どうしよう・・・」


            ☆


「おい、クロ。もっとあげろ。何か悪い予感がする」
『これ以上は、本当に・・・落ちますよ!』
「そうなったらそうなったで対処するから。急げ」
(やばい。何か絶対サクラにあったな)
『大丈夫だろ。あの子は強い』
王牙だ。
「いや、弱いよ。まだ自分の身は守れない。モンスターは単純だけど、人はそうは行かない。しかも、能力[スキル]使いなら」
『そうか』
クロは速く行ってくれている。落とさないようにバランスを保ちながら。
タイミングが悪く、強そうなドラゴンがいるのに、攻めてくる鳥型モンスター。
『狼竜さん!』
「あぁ」
王牙を手に取り、構える。
「ほんとタイミング悪いよ」
抜刀術・月羅[つきら]。
「死ななくてすむのにな」
王牙を鞘にしまう。
『狼竜さん。そろそろ着きます』
「分かった」
確かに屋敷は見えてきた。
『では降りますよ!』
クロは翼でバランスを取りながら降りる。
地面に足が着くと、狼竜は駆け出した。
「サクラ!」
門を開けると、たくさんの護衛の人達が倒れていた。
「ッ!やっぱりなんかあったんだ・・・!」
屋敷に入ると、部屋の中はボロボロだった。
「サクラ!ミラ!」
(いない?連れ去られか?)
「うわぁあああ!」
「ッ!?」
横からの刺客。刃物の気配もある。
刺してくる手を掴み、背面投げの要領で、投げ飛ばす。
「かっ、はっ!」
投げ飛ばしたところは、ベッドだったらしく、余り痛くはないようだ。
「って、ヨミ!?」
「え?あ、狼竜・・・さん?」
どうやら屋敷を荒らした輩の、追い討ちと思ったらしい。
「良かった。ヨミは無事だったか、サクラはどこに行った!?」
「ごめんなさい、見てないんです。私だけ、隠れてて。最初はサクラちゃんと居て、ミラさんがやられてるのを見て、耐えられなくなったのか、飛び出して。いるのはサクラちゃんだけだと思われたのかは知りませんが、気づかれませんでした」
「そうか、ごめんね」
「いいえ」
(サクラを探さねければ。敵も敵で、ミラを倒すなら手練だろう。あのやり方では探せない)
「分かった。とりあえず、ヨミは大きな物はいいから、ガラスとかを拾って待っていてくれ」
「そんな!?私も行きます!」
「だめだ」
気迫が篭った声。ヨミもびっくりする。
「敵はきっと強い。しかも相当だろう。戦いながら、ヨミを守れるかの保証は出来ない。だから、待っててくれ」
(そりゃあ行きたいだろうな。もし、これでも行くって言ったら、連れていこう)
「分かり・・・ました」
「そうか」
「でも、誰も戻って来ないと、泣いちゃいますからね」
「おう。任せておけ」
そう行って、屋敷を出た。
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