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誘蛾灯
まるで蛾ね、と彼女──漆原桃子は言った。
梅雨を控えて湿気を含んだ空気に、長袖のブラウスでは少々汗ばむようになってきた昼下がり。中庭のベンチに座ってお弁当を食べていたわたしの隣から、抑揚の欠けた声が聞こえてきた。
わたしは玉子焼きを口に入れる寸前で動きを止めて、そのまま口に入れるか少し迷い、結局箸を下ろした。“蛾”という単語に僅かながら食欲が減退したのだ。
その原因を作った相手を見ると、彼女はいつもの涼しい顔をしていた。ノンフレーム眼鏡の奥にある長いまつげをやや伏せて、一口サイズに切り分けたコロッケを口に入れている。緩く束ねられた艶やかな黒髪はいつもなら右肩に流しているのだが、食事の際は邪魔になるようで、今は後ろに下ろされていた。
そのため、普段ならほとんど見ることのない、彼女の白くほっそりとした首筋に浮かぶ二つの黒子が、彼女の咀嚼中もじっとこちらを見つめている。
「……蛾?」
わたしの問いかけに、桃子はゆっくりと嚥下してから口を開いた。
「そう。さっきの光景って、電灯に群がる蛾みたいだったでしょう?」
彼女の言う“さっき”とは中間テストの順位が貼り出された直後のことだろう。
他所はどうか知らないが、自称進学校の我が校では、生徒の向上心を高めるという名目で、定期考査のたびに上位五十名の名前が各学年の掲示板に貼り出されている。その一番上に桃子の名前が載っているのを見たクラスの数名の女子が、賞賛の言葉と共に彼女を取り囲んだのである。普段、あいさつくらいしか言葉を交わさない女子たちがここぞとばかりに集まっている様は、確かに似ていると言えなくもないのだが。
「蛾はひどいんじゃない?」
わたしは至極まっとうな苦言を呈した。学年首席を頂戴する桃子のことだ。他にましな比喩くらいいくらでも思いつくだろうに。普段、人を遠ざけるようなオーラを発している彼女と話しをするチャンス掴みに行った、勇気ある少女たちがさすがに不憫である。
しかし、隣に座る女はわたしの言葉など聞こえなかったように話を続ける。
「蛾には正の走光性を持つ種類が多いでしょう。あれは月明かりのない夜になると、蛾に見える光が紫外線だけになるからなのだけど、それと同じで人間も、凡百の中にいると特に優秀な個体に群がる習性があるのではないかしら? 内心にどういった感情を抱えているのかは知らないし、興味もないけれど、迷惑な話よね」
「……桃子って、自己肯定感の塊だよね」
わたしは返答に困って、とりあえずそう返した。わたしもその凡百の一人であり、中間テストの順位は中のやや下といった感じであるので、反論のしようもない。
そんなわたしの反応をどう解釈したのか、桃子は少し考えてからため息をついた。
「そうね。優秀な個体っていうのは確かに言い過ぎね。たかだか年に数回ある定期考査で一度首席を取ったくらいで、自分を過大評価しすぎてしまったわ。これでは恥さらしもいいところね」
「いや、そこまで言ってないけど」
「私が優れているわけではなくて、彼女たちが愚かなのよね?」
「言ってませんけど!?」
「けれど、愚かなことは悪いことはないわ。……ただ、哀れなだけ、でしょう?」
「したり顔で、さもわたしがそう思ってるみたいに言わないで!?」
わたしの反論など聞こえなかったかのように、桃子は何度か頷いてから昼食の続きを始めた。
涼しげに、けれど満足そうな顔をして。
漆原桃子はわたしの従妹であり、幼馴染であり、クラスメイトである。
彼女はワーカホリック気味な両親の間に生まれ、幼少期から仕事を理由にわたしの家に預けられることが多かった。そのため、一緒に育った彼女はわたしにとって、従妹というより限りなく妹に近い存在である。
だが当然、桃子はそうは思っていないだろう。彼女が他人に興味がないのは昔からで、実の両親に対してさえ、冷淡に思えるほど無関心だった。
あれは確か、小学三年生の時。わたしはたまたま見たニュースで一組の芸能人夫婦が離婚したことに衝撃を受けた。芸能人に詳しくないわたしでも知っている二人で、結婚した時もお似合いだと思っていたのである。しかも、離婚の理由が「仕事が忙しさからお互いにすれ違ってしまったから」だったため、さらに仰天した。今にしてみれば、当たり障りのない理由で事実かどうかも分からないし、驚くようなことでもないのだが、当時のわたしには大問題だったのだ。
居ても立ってもいられなくなり、大急ぎで書斎で本の虫になっていた桃子のもとへ飛んで行った。もしかしたら、桃子の両親も離婚をしてしまうかもしれない。そう思ったのである。
しかし、わたしの話を聞いていた桃子は文字を目で追いつつ、短く「そう」とだけ言った。
「そうって……心配じゃないの? 叔父さんも叔母さんもいっつも仕事で忙しいって言って、全然桃子に会いに来ないし……」
幼い桃子は大人のようにため息をついた。
「心配したところでなるようにしかならないでしょう。あの人たちにはあの人たちの人生があるし、利害関係が成立しなければ別れもするでしょう。それに──」
特に興味はないわ。
桃子の、本のページを捲る音は、ひどく乾いていた。
その時のわたしには彼女の言っていることがよく理解できなかった。そして、彼女のその達観というには冷めきった態度に、ただただ呆然とした。
「……はあ……」
桃子のため息が聞こえた。いつの間にか下を向いていたわたしが顔を上げると、本に視線を落としていたはずの彼女と目が合った。
「あなたの頭には脳が入っていないのではないかと常々疑ってはいたけれど、本当に無脳ね。脳が無い、と書いて無脳」
そう言われても仕方のないような、よほど間の抜けた顔をしていたのだろう。桃子は呆れたように、いい?と人差し指を立てた。
「想像力が著しく低いあなたでも理解しやすいように説明してあげるけれど、まず、あの二人をそこらにいる一般的な夫婦と同じだとは思わないで。あの二人はね、ナルシストなのよ。それも重度なね。三度の飯より自分が大好きなの。夫は『有能で、家族のために身を粉にして働く俺、かっこいい』って思ってるし、妻は『家庭と仕事両立する有能な私、すてき』」って思っているのよ。そんな人たちが自己評価を落とすような真似をすると思う?」
そこまで言うと、話は終わったとでもいうように桃子は再び、紙面に目を落とした。
わたしはかける言葉が見つからず、その場に立ち尽くすだけだった。
「そういえば、小学生の頃」
お弁当を食べ終わり、ぼんやり過去の出来事を思い出していると、隣で文庫本を開いていた桃子が唐突に口を開いた。思考を読まれたのかと思って、わたしは激しく動揺した。
「な、なに?」
「いえ、非常にどうでもよいことなのだけれど。あなたって、子供の頃から事あるごとに私のところへ飛んできていたわよね。それこそ蛾のように」
「蛾って……。そこはせめて蝶とか言ってくれない?」
「それで、さっきの蛾の話なのだけれど」
「流された」
「別に蛾はね、好きで火や電灯に向かって飛んでいるわけではないの。蛾は日中、太陽や月の光が翅に対して直角に当たるように飛んでいるの。そうすれば、地面に対して平行に飛べるから、次第に習性としてそうなっていったのでしょうね。その後、人類が火を使い始めたり、電灯を作ったりするのだけど、太陽や月の光線が地面に対して平行である一方で、電灯などの光線は放射線状に広がるから、翅に対して直角に光が当たるように飛ぼうとすると、蛾は自然と円を描きながら光源に向かって飛んで行ってしまう、というわけ。だから、」
別に好きで飛んで行っているわけではないのよ。
そう締め括って、桃子は再び読書に戻った。いつものように、涼しげな横顔で。
それなのに、いつもと同じに見えないから、わたしの脳はやはりポンコツなのかもしれない。
「いたらどうする?」
「──え?」
珍しく桃子の目がわたしの顔を素早く捉える。わたしは“何が”とは言わず、ただ黙って彼女を見つめた。桃子は初めは怪訝そうにわたしを見て、それからその真意を問うように目を眇めた。なんとなく目は逸らしてはいけない気がして、わたしはその瞳をまっすぐ見つめ返す。
どれくらい、そうしていただろう。
桃子はゆっくりと目を閉じ、そのまま正面に向き直った。文庫本を閉じた瞬間、昼休みの終わりを告げるチャイムが響く。
「戻りましょう」
そう言って立ち上がった彼女は、いつもの漆原桃子だった。ちなみに、最近では蛾と蝶に生物学的な違いはないとされつつあるわ、などと意地の悪いことまで言ってくる始末だ。
しかし、そんな桃子の様子にわたしは少なからずほっとしていた。知らぬ間に肩に力が入っていたようで、息を吐くと身体が脱力してベンチから立ち上がるのが億劫になった。桃子は当然私のことなど気にかけることなく、校舎の入り口へと歩いて行く。
──もういっそ、このまま午後の授業をサボってしまおうか。
遠ざかっていく背中を目で追っていると、バカだと思うわ、と桃子の声がかろうじて聞こえた。
「そんな蛾がいたら、相当なバカだと思う」
いつもより微かに柔らかい声音。その声に誘われてわたしはゆっくり立ち上がり、彼女の背中の後に続く。
そんな自分が本当に蛾になったように思えて、なんだか笑ってしまった。
梅雨を控えて湿気を含んだ空気に、長袖のブラウスでは少々汗ばむようになってきた昼下がり。中庭のベンチに座ってお弁当を食べていたわたしの隣から、抑揚の欠けた声が聞こえてきた。
わたしは玉子焼きを口に入れる寸前で動きを止めて、そのまま口に入れるか少し迷い、結局箸を下ろした。“蛾”という単語に僅かながら食欲が減退したのだ。
その原因を作った相手を見ると、彼女はいつもの涼しい顔をしていた。ノンフレーム眼鏡の奥にある長いまつげをやや伏せて、一口サイズに切り分けたコロッケを口に入れている。緩く束ねられた艶やかな黒髪はいつもなら右肩に流しているのだが、食事の際は邪魔になるようで、今は後ろに下ろされていた。
そのため、普段ならほとんど見ることのない、彼女の白くほっそりとした首筋に浮かぶ二つの黒子が、彼女の咀嚼中もじっとこちらを見つめている。
「……蛾?」
わたしの問いかけに、桃子はゆっくりと嚥下してから口を開いた。
「そう。さっきの光景って、電灯に群がる蛾みたいだったでしょう?」
彼女の言う“さっき”とは中間テストの順位が貼り出された直後のことだろう。
他所はどうか知らないが、自称進学校の我が校では、生徒の向上心を高めるという名目で、定期考査のたびに上位五十名の名前が各学年の掲示板に貼り出されている。その一番上に桃子の名前が載っているのを見たクラスの数名の女子が、賞賛の言葉と共に彼女を取り囲んだのである。普段、あいさつくらいしか言葉を交わさない女子たちがここぞとばかりに集まっている様は、確かに似ていると言えなくもないのだが。
「蛾はひどいんじゃない?」
わたしは至極まっとうな苦言を呈した。学年首席を頂戴する桃子のことだ。他にましな比喩くらいいくらでも思いつくだろうに。普段、人を遠ざけるようなオーラを発している彼女と話しをするチャンス掴みに行った、勇気ある少女たちがさすがに不憫である。
しかし、隣に座る女はわたしの言葉など聞こえなかったように話を続ける。
「蛾には正の走光性を持つ種類が多いでしょう。あれは月明かりのない夜になると、蛾に見える光が紫外線だけになるからなのだけど、それと同じで人間も、凡百の中にいると特に優秀な個体に群がる習性があるのではないかしら? 内心にどういった感情を抱えているのかは知らないし、興味もないけれど、迷惑な話よね」
「……桃子って、自己肯定感の塊だよね」
わたしは返答に困って、とりあえずそう返した。わたしもその凡百の一人であり、中間テストの順位は中のやや下といった感じであるので、反論のしようもない。
そんなわたしの反応をどう解釈したのか、桃子は少し考えてからため息をついた。
「そうね。優秀な個体っていうのは確かに言い過ぎね。たかだか年に数回ある定期考査で一度首席を取ったくらいで、自分を過大評価しすぎてしまったわ。これでは恥さらしもいいところね」
「いや、そこまで言ってないけど」
「私が優れているわけではなくて、彼女たちが愚かなのよね?」
「言ってませんけど!?」
「けれど、愚かなことは悪いことはないわ。……ただ、哀れなだけ、でしょう?」
「したり顔で、さもわたしがそう思ってるみたいに言わないで!?」
わたしの反論など聞こえなかったかのように、桃子は何度か頷いてから昼食の続きを始めた。
涼しげに、けれど満足そうな顔をして。
漆原桃子はわたしの従妹であり、幼馴染であり、クラスメイトである。
彼女はワーカホリック気味な両親の間に生まれ、幼少期から仕事を理由にわたしの家に預けられることが多かった。そのため、一緒に育った彼女はわたしにとって、従妹というより限りなく妹に近い存在である。
だが当然、桃子はそうは思っていないだろう。彼女が他人に興味がないのは昔からで、実の両親に対してさえ、冷淡に思えるほど無関心だった。
あれは確か、小学三年生の時。わたしはたまたま見たニュースで一組の芸能人夫婦が離婚したことに衝撃を受けた。芸能人に詳しくないわたしでも知っている二人で、結婚した時もお似合いだと思っていたのである。しかも、離婚の理由が「仕事が忙しさからお互いにすれ違ってしまったから」だったため、さらに仰天した。今にしてみれば、当たり障りのない理由で事実かどうかも分からないし、驚くようなことでもないのだが、当時のわたしには大問題だったのだ。
居ても立ってもいられなくなり、大急ぎで書斎で本の虫になっていた桃子のもとへ飛んで行った。もしかしたら、桃子の両親も離婚をしてしまうかもしれない。そう思ったのである。
しかし、わたしの話を聞いていた桃子は文字を目で追いつつ、短く「そう」とだけ言った。
「そうって……心配じゃないの? 叔父さんも叔母さんもいっつも仕事で忙しいって言って、全然桃子に会いに来ないし……」
幼い桃子は大人のようにため息をついた。
「心配したところでなるようにしかならないでしょう。あの人たちにはあの人たちの人生があるし、利害関係が成立しなければ別れもするでしょう。それに──」
特に興味はないわ。
桃子の、本のページを捲る音は、ひどく乾いていた。
その時のわたしには彼女の言っていることがよく理解できなかった。そして、彼女のその達観というには冷めきった態度に、ただただ呆然とした。
「……はあ……」
桃子のため息が聞こえた。いつの間にか下を向いていたわたしが顔を上げると、本に視線を落としていたはずの彼女と目が合った。
「あなたの頭には脳が入っていないのではないかと常々疑ってはいたけれど、本当に無脳ね。脳が無い、と書いて無脳」
そう言われても仕方のないような、よほど間の抜けた顔をしていたのだろう。桃子は呆れたように、いい?と人差し指を立てた。
「想像力が著しく低いあなたでも理解しやすいように説明してあげるけれど、まず、あの二人をそこらにいる一般的な夫婦と同じだとは思わないで。あの二人はね、ナルシストなのよ。それも重度なね。三度の飯より自分が大好きなの。夫は『有能で、家族のために身を粉にして働く俺、かっこいい』って思ってるし、妻は『家庭と仕事両立する有能な私、すてき』」って思っているのよ。そんな人たちが自己評価を落とすような真似をすると思う?」
そこまで言うと、話は終わったとでもいうように桃子は再び、紙面に目を落とした。
わたしはかける言葉が見つからず、その場に立ち尽くすだけだった。
「そういえば、小学生の頃」
お弁当を食べ終わり、ぼんやり過去の出来事を思い出していると、隣で文庫本を開いていた桃子が唐突に口を開いた。思考を読まれたのかと思って、わたしは激しく動揺した。
「な、なに?」
「いえ、非常にどうでもよいことなのだけれど。あなたって、子供の頃から事あるごとに私のところへ飛んできていたわよね。それこそ蛾のように」
「蛾って……。そこはせめて蝶とか言ってくれない?」
「それで、さっきの蛾の話なのだけれど」
「流された」
「別に蛾はね、好きで火や電灯に向かって飛んでいるわけではないの。蛾は日中、太陽や月の光が翅に対して直角に当たるように飛んでいるの。そうすれば、地面に対して平行に飛べるから、次第に習性としてそうなっていったのでしょうね。その後、人類が火を使い始めたり、電灯を作ったりするのだけど、太陽や月の光線が地面に対して平行である一方で、電灯などの光線は放射線状に広がるから、翅に対して直角に光が当たるように飛ぼうとすると、蛾は自然と円を描きながら光源に向かって飛んで行ってしまう、というわけ。だから、」
別に好きで飛んで行っているわけではないのよ。
そう締め括って、桃子は再び読書に戻った。いつものように、涼しげな横顔で。
それなのに、いつもと同じに見えないから、わたしの脳はやはりポンコツなのかもしれない。
「いたらどうする?」
「──え?」
珍しく桃子の目がわたしの顔を素早く捉える。わたしは“何が”とは言わず、ただ黙って彼女を見つめた。桃子は初めは怪訝そうにわたしを見て、それからその真意を問うように目を眇めた。なんとなく目は逸らしてはいけない気がして、わたしはその瞳をまっすぐ見つめ返す。
どれくらい、そうしていただろう。
桃子はゆっくりと目を閉じ、そのまま正面に向き直った。文庫本を閉じた瞬間、昼休みの終わりを告げるチャイムが響く。
「戻りましょう」
そう言って立ち上がった彼女は、いつもの漆原桃子だった。ちなみに、最近では蛾と蝶に生物学的な違いはないとされつつあるわ、などと意地の悪いことまで言ってくる始末だ。
しかし、そんな桃子の様子にわたしは少なからずほっとしていた。知らぬ間に肩に力が入っていたようで、息を吐くと身体が脱力してベンチから立ち上がるのが億劫になった。桃子は当然私のことなど気にかけることなく、校舎の入り口へと歩いて行く。
──もういっそ、このまま午後の授業をサボってしまおうか。
遠ざかっていく背中を目で追っていると、バカだと思うわ、と桃子の声がかろうじて聞こえた。
「そんな蛾がいたら、相当なバカだと思う」
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どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。