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『渺茫として』※雑誌『抗路』11号掲載・連作短歌
しおりを挟む瀝青を裂いて戦げる雑草の渺茫としてブルースを聴く
胸の奥しまう口惜しさ揺り返し笑顔の底に舞い上がる澱
革命も暴動もなき饐えた世のタイムセールの遅い夕食
しくじったテロリストは捕らわれて「殺せ!」の声が雑賀崎に舞う
深淵は覗きたくない覗かない覗かれたくない安住の繭
婉曲な「向こうの人」と言う声が背に貼りついて五十年すぎ
千万の言の葉の森さざめきをすり抜け向かう未生(みせん)の道を
生きてきた跡形を知るのはただ愛した者と愛された者と
「凛さんは好きだけどね…」の続き聞き月はどっちに出てると笑う
抵抗と反逆できる心身を鍛えるための今日の筋トレ
洞を乗せ島と別れる船が出るマイナー和音で汽笛を鳴らし
「チョーセン」の呪いの箍を外せずにいた朋よ眠れ解き放たれ
白柩の貌はいくらかふくよかで此の悔恨を知らず眠れる
我に撃つ用意はあるか問うている逝った者らの褪せた写真よ
ミルフィーユのように記憶は重なって過去は一つも過去ではあらず
斃れたる戦禍の跡の幼児の眼窩の深く底なき晦冥
流血に虚ろな瞳した兵士らよ誰が為に鳴る鐘は聴こえるか
真実は少女の目に在る戦場の言えないままのサヨナラだけだ
リゾームが分断された知の森は枯れて現るAI社会
なるようにならんほんならなるべくはラララたまらんスキップを踏む
詞書〈関東大震災、そして虐殺から百年をおもい五首〉
十五円五十銭で奪われた命の数はいまだ不明で
そしてまた「朝鮮人が井戸に毒」うすら笑いがネットへ流す
追悼にヘイトスピーチ浴びせられ小池百合子はしらばっくれる
無邪気に愉しめなかった誕生日九月一日その惨劇に
『福田村事件』に涙する客にどこへ向けてと問いたくもあり
日本語が癖あることに嘲笑と怒声響かす客の口角
幻想の「日本すごい!」に酔う甘い綿菓子のごと言葉ふくらみ
韓国の客に毒入り飲み水を出した銀座の店の弁解
「朝鮮人を殺せ!」アジった党首を支持す者が選ぶ歌壇よ
この道をちょん髷わらじで歩いてたころと変わらぬ攘夷の顫音
どの国が好きですかとか無邪気にも投げつけてくる錆びたナイフを
人生のほとんど怒りまくってたわたしの中の朝鮮人は
徴用の子孫の部落は放火され冬ざれに記憶の墓標よ
どれくらいルサンチマンは闘える?カラータイマー点滅をして
爺はんの幼名もろた歌詠みにグレートベアが今夜も吠える
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