『200字に満たない希望』

凛七星

文字の大きさ
上 下
16 / 16

その16

しおりを挟む
 



 引っ越して、もう三年。生まれて初めて街中を離れた郊外の暮らしだ。近くの小川には鴨の一群が年中のんびり餌を探し、驚くほど大きい鯉が何匹も水面をゆらす。
 そういえば岸辺に立派な桜の樹があったが、散った花の掃除がたいへんと言う近隣住民がいて、昨年の冬に切り倒されてしまった。なんとも残念なことだった。
 秋が兆すと夜は虫の音が高らかだ。この自然が豊かな、すばらしい環境が、いつまでも変わらずにあってほしい。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...