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ちびすけ
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領地までは馬車で3日間の旅になる。
馬車に揺られながら、ぼんやりと移り変わる景色を眺めた。
イザックと出会ったのはまだ幼い頃。
7,8歳の頃か…もっと小さかったかもしれない。
私は王宮のガーデンパーティーに初めて連れて行ってもらった。
そこで見つけたのが一匹の白猫だった。
ほっそりとしたしなやかな身体に青い瞳が美しい猫で、私は一目で心を奪われた。
白猫の首輪には、折りたたんだ紙が挟んであった。
(もしかしたら宝の地図かもしれない!)
当時、宝探しをする冒険小説を読んでいた私は、白猫の後を追いかけた。
白猫は子供の私でも追いかけられる速さで、ゆっくりと歩いていく。
太陽の光を浴びて、白猫が歩くたびに毛並みが濡れたようなツヤを放つ。
とてもきれいだ。
私が追いかけているのに気付いているのか、白猫は時々私の方を振り向いて立ち止まり、意味深な顔をした。
本当ならば捕まえて首輪から宝の地図を奪いたいところだけれど、あいにく私は猫を飼ったことが無かった。
どうやって捕まえて良いのかわからず、ただ後をつけていく。
「おい、ちびすけ、何をしている?」
突然、頭の上から声が聞こえた。
見上げると、大きな木があり、太い木の枝に男の子が座っていて、私を見下ろしていた。
“ちびすけ”とは、私のことだろうか?それとも白猫?
「あの猫を追いかけているの」
身振りを交えて伝える。
私は見失わないよう、それだけ言って猫の後を追った。
木の間を潜り抜け、厩舎を通りバラのアーチを抜けると小屋があった。
白猫は小屋に入ると、棚の上に置かれた布の中で体を丸めた。
チャンスだと思い、私は手を伸ばす。
しかし微妙に猫の寝ている棚が高く、手が届かない。
近くにあった箱を踏み台にし、どうにか猫の首輪から紙を引き抜くことができた。
(ついに宝の地図を手に入れたわ)
まだ地図を手に入れただけ。
これから宝探しの冒険が始まるのだ。
高鳴る心臓を押さえ、ワクワクしながら紙を開いてみたけれど、小屋の中は薄暗くて読めなかった。
光を求めて小屋の外に出た私は、戸惑い茫然とした。
ここがどこか分からなかったのだ。
見たことのない風景が広がっている。
どうやって来たのか、まるで覚えていない。
宝の地図のことなどすっかり忘れて、途方に暮れた。
どうにか少し前の記憶を思い出す。
バラの間を潜り抜けたはずだと思い、バラの咲いている方に向かおうとした。
けれどバラはそこかしこに咲いていて、どれが正解のバラか分からない。
なんとなく一番多く咲いている方に向かう。
不安の中腕を見ると、腕には細かいひっかき傷ができていた。
今まで全く感じなかったのに、急に腕がひりひりしてきたように感じる。
腕を気にして視界に入ったドレスには、そこら中に土がついていた。
今日初めて着るドレスを泥だらけにしてしまった。
この日のために作ったミントグリーンの半袖ドレスは、私の瞳の色に合わせて作られている。
世界に1つだけのドレスなのに…。
このままでは怒られると思い、慌ててドレスを手でたたいたけれど手が汚れていたせいで、ますますドレスは汚れてしまった。
猫の後をなりふり構わず追いかけてきて、そこらじゅうが泥だらけだ。
不安で不安で大人の姿を探すけれど、周りには誰もいない。
途方に暮れてしゃがみこんでいると、声がした。
「ちびすけ、どうした?」
見上げると、木の上にいた男の子がすぐそばにいた。
馬車に揺られながら、ぼんやりと移り変わる景色を眺めた。
イザックと出会ったのはまだ幼い頃。
7,8歳の頃か…もっと小さかったかもしれない。
私は王宮のガーデンパーティーに初めて連れて行ってもらった。
そこで見つけたのが一匹の白猫だった。
ほっそりとしたしなやかな身体に青い瞳が美しい猫で、私は一目で心を奪われた。
白猫の首輪には、折りたたんだ紙が挟んであった。
(もしかしたら宝の地図かもしれない!)
当時、宝探しをする冒険小説を読んでいた私は、白猫の後を追いかけた。
白猫は子供の私でも追いかけられる速さで、ゆっくりと歩いていく。
太陽の光を浴びて、白猫が歩くたびに毛並みが濡れたようなツヤを放つ。
とてもきれいだ。
私が追いかけているのに気付いているのか、白猫は時々私の方を振り向いて立ち止まり、意味深な顔をした。
本当ならば捕まえて首輪から宝の地図を奪いたいところだけれど、あいにく私は猫を飼ったことが無かった。
どうやって捕まえて良いのかわからず、ただ後をつけていく。
「おい、ちびすけ、何をしている?」
突然、頭の上から声が聞こえた。
見上げると、大きな木があり、太い木の枝に男の子が座っていて、私を見下ろしていた。
“ちびすけ”とは、私のことだろうか?それとも白猫?
「あの猫を追いかけているの」
身振りを交えて伝える。
私は見失わないよう、それだけ言って猫の後を追った。
木の間を潜り抜け、厩舎を通りバラのアーチを抜けると小屋があった。
白猫は小屋に入ると、棚の上に置かれた布の中で体を丸めた。
チャンスだと思い、私は手を伸ばす。
しかし微妙に猫の寝ている棚が高く、手が届かない。
近くにあった箱を踏み台にし、どうにか猫の首輪から紙を引き抜くことができた。
(ついに宝の地図を手に入れたわ)
まだ地図を手に入れただけ。
これから宝探しの冒険が始まるのだ。
高鳴る心臓を押さえ、ワクワクしながら紙を開いてみたけれど、小屋の中は薄暗くて読めなかった。
光を求めて小屋の外に出た私は、戸惑い茫然とした。
ここがどこか分からなかったのだ。
見たことのない風景が広がっている。
どうやって来たのか、まるで覚えていない。
宝の地図のことなどすっかり忘れて、途方に暮れた。
どうにか少し前の記憶を思い出す。
バラの間を潜り抜けたはずだと思い、バラの咲いている方に向かおうとした。
けれどバラはそこかしこに咲いていて、どれが正解のバラか分からない。
なんとなく一番多く咲いている方に向かう。
不安の中腕を見ると、腕には細かいひっかき傷ができていた。
今まで全く感じなかったのに、急に腕がひりひりしてきたように感じる。
腕を気にして視界に入ったドレスには、そこら中に土がついていた。
今日初めて着るドレスを泥だらけにしてしまった。
この日のために作ったミントグリーンの半袖ドレスは、私の瞳の色に合わせて作られている。
世界に1つだけのドレスなのに…。
このままでは怒られると思い、慌ててドレスを手でたたいたけれど手が汚れていたせいで、ますますドレスは汚れてしまった。
猫の後をなりふり構わず追いかけてきて、そこらじゅうが泥だらけだ。
不安で不安で大人の姿を探すけれど、周りには誰もいない。
途方に暮れてしゃがみこんでいると、声がした。
「ちびすけ、どうした?」
見上げると、木の上にいた男の子がすぐそばにいた。
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