後宮に入りましたが、旦那さんが来ないので恋人を探します

国湖奈津

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「私もお二人みたいに幸せになりたいです。なので、そうですね、こういう場合も浮気相手っていうんでしょうか?よくわからないけど、浮気相手がほしいです」


「浮気相手?」
王子は戸惑っているようだった。

タモハン語を頑張って勉強してきたとはいえ、私はネイティブではない。
もしかしたら単語のチョイスが悪かったかもしれない。

「そうです。浮気相手と言うか、私だけの秘密の恋人を紹介してほしいんです。この後宮で暮らしながら、私も幸せになるための恋人です。もちろん、もし私に子供が生まれたとしても、いろいろ理屈をつけてジュメイラさんのお子さんを継承権などで優先させるようにしますから」

「しかし後宮は男子禁制だ」
「そこはカーン王子の協力でなんとかなりませんか?私が外で会ってもいいし」

私は本来の性格を取り戻しつつあった。
突然王家の養女になって、抑圧された環境下で自分を主張することができずにいた。

自分でもすっかり忘れていたけれど、私は本来、恋に恋する女の子だった。
語学を勉強したのだって、異国の恋愛小説を読みたいという気持ちが大きかった。
本当の私を覆っていた殻が、音を立てて割れる音が聞こえた。


「こちらも無理を言っている自覚はあるから検討してみようか」

難しい顔をしていた王子は、戸惑いつつも、ついに譲歩してくれたようだ。

「ところで、何か君の方で相手に求める条件はあるか」

私の好みも考慮してくれるらしい。

「そうですね。まず口が堅い人が第1です。嫁いできたばかりの異国の姫が浮気なんて、絶対に外部に漏れてはいけない話ですから。あとはそうですね、尊敬できる人かな」

今まで自分がどんな男性が好みかなんて考えたことがなかった。
漠然とした答えしか返せない。

本当はもっといろいろ言いたいことがあるような気がするけれど、思い浮かんだのはこれだけだった。

「口が堅くて尊敬できる人物だな。分かった。それとなく当たってみよう。期待しないで待っていてくれ」

「あ、待ってください。相手に話をする前に私に会わせてください。最終的に選ぶのは私でお願いします」

「分かった」

こうしてタモハンでの最初の日は終わった。

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