チャリンコマンズ・チャンピオンシップ

古城ろっく

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第19話 アニメオタクとロードレーサーバイク

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 朝、目が覚めると、クラスメイトの女子と一緒の布団で寝ていた。
 何を言っているか分からないと思うが、空も何をされたのか分からなかった。頭がどうにかなりそうだ。若気の至りとか一夜の過ちとか、そんな不埒なものでは断じてない。もっと単純な話である。
(そういえば、昨日は茜と一緒に寝たんだった)
 空のその思考にある『寝た』という表現は、言葉通りの意味しか持たない。ボブの経営する海の家に世話になって、4畳ばかりの狭いスタッフルームに、布団を無理矢理2枚敷いて寝た。
 ところで、茜の寝ていたはずの布団は、部屋の隅に蹴散らされている。とくに掛布団は酷いありさまだ。
(なるほど――茜は昨日、寝ている間に暑苦しくなって、布団を蹴飛ばしたのか。そして今度は寒くなって、僕の布団に潜り込んだ。と)
 冷静に考えてみれば、茜の寝相が悪かっただけである。つまり空には何の非もない。
(これで安心……じゃない気がする!)
 理由の何がどうあれ、誤解を招く状況を現在進行形で甘んじているのは事実である。助かる道はただひとつ。茜が起きる前に布団から逃げるのだ。
「ん、んん……なんだ?もう朝か……?」
「ひぃえっ!?」
 遅かった。茜は眠そうに目をこすると、ゆっくりと首を回して周囲を確認する。
「……空?」
「お、おはよう」
 誰がどう考えても誤解するであろう状況に、やはり茜も誤解した。
「う、うわぁぁああ!な、何だ?アタイは一体何をしたんだ?」
「ひぃっ、ごごご誤解です。何もしてません!」
「本当か?それとも気を使ってんのか?あのっ――もし何かあったなら、アタイは責任取るからな」
「いや、本当に何もないよ。っていうか責任取るのって立場的に逆だと思う」
「もしも妊娠してたら、その……認知するから。ってうか、空の初めてを取っちゃってごめん」
「だから茜が妊娠したら認知も何もないでしょうが!落ち着いてよ。本当に何もないから」
 賑やかな目覚めであった。


『おはようございます。チャリンコマンズ・チャンピオンシップ、5日目の朝です。いやぁ、盛り上がってますねぇ。朝から多くの出場者が走っていますよぉ。
 あ、ちなみに朝起ちでサドルに跨れない方がいらっしゃったら、いつでも凸電ください。放送できる範囲でおかずを提供しますよぉ。もちろん私で我慢して頂く結果になりますけど。
 現在トップは、エントリーナンバー001 アマチタダカツ選手。完全独走です。もはや彼を抜くためだけの大会になりつつありますねぇ。
 一方、最下位はエントリーナンバー003 風間史奈選手。優勝候補の一角でしたけど、雪に足を取られて走行不能。まさかの同じホテルに3泊するほどの足止めで、最下位転落ですぅ。
 でも、ようやく雪も完全に溶け切りましたよぉ。それに伴って史奈選手がスタート。本日はレースが荒れるかもしれません。もちろん私も、全選手を、可能な限り、実況していきますよぉ!』


「HAHAHA.実況の姉ちゃんはテンションが高いな。朝から」
 そういうボブも元気いっぱいであった。朝食の後、ボブは空たちを車に乗せて復帰地点へと向かっていた。コースアウトした場合は、その地点から復帰しなければならない。だから車でそこまで送る。と当然のようにボブは言ってくれた。
「茜……大丈夫?」
 後部座席にいる空が、助手席の茜を気遣う。
「だ、大丈夫だ。問題ない。だからあんまり話しかけるな……うっぷ!」
「Oh!茜ちゃん。吐くなら車の外にしてくれよ。いやマジで」
 相変わらず車酔いしやすいのは、茜の宿命であった。
「家族と出かけるときとか、どうしてたの?」
「ああ、アタイはあんまり家族で出掛けたことはないな。親がそういうの好きじゃなくて……おえぇえぇえぇえ!」
「Arghhhhhhhhhh!!車の中は勘弁してくれぇえぇ!」


 自転車に乗って数時間。もう昼時になろうという頃、茜たちは峠に差し掛かっていた。
「やっぱり、アスファルトは気持ちいいね」
「まあな。砂浜よりはいいさ」
 何とか砂浜を抜けた空たちは、爽快な気分で坂を上っていく。このアップダウンも、砂浜などの悪路に比べたら気にならないものだ。
 自転車とは、軽量化するほど坂道に強くなる。その反面オフロードや風に弱くなる特性があるが、総合的には軽量化した方が有利だ。なので空や茜の車体は、どちらかと言えば悪路より登り坂に強い。
 日本の道路は作りっぱなしのところが多いせいか、車通りが少なければ少ないほどアスファルトが保存される。大きな国道よりも小さな裏道の方が舗装が綺麗なのは、よくある話だった。
「よし、このまま頂上まで行くぜ。その後はダウンヒルだ!」
 楽しそうに茜がダンシングする。速度を上げるための攻撃的ダンシングではない。身体に溜まった乳酸を除去し、使う筋肉を変える保守的なダンシングだ。とはいえ、
「あ、茜。あんまり揺らすと、ボブさんから貰ったお弁当が崩れるよぉ」
 空が言う。別れ際にボブがくれたお弁当が、茜のバックパックに、そして空のサドルバッグに入っていた。中身は見ていないが、揺らさない方が無難だろう。
 曲がりくねっているわけでもなければ、恐ろしい急勾配というわけでもない道。普通に車で走っていたら、この道に感じることは何もないだろう。
 しかし、空は思う。
「こうやって、ペダルの漕ぎ方を変えたり、ギアを切り替えたり……坂道って、楽しいね」
「ん?……ああ。そう思うか?アタイも実は、上り坂は好きなんだ。なんっつーか、自分がすごく強くなった気分を味わえるよな」
 自転車にとって幸せなのは、たかが道路を走るだけの行為に喜びを感じられるところかもしれない。
 道路が封鎖されているのをいいことに、空は道のど真ん中を走った。


 4台のロードバイクが、その後を追うように山を登る。全員が違うジャージ、そして違う車体。偶然会って、即席で集団を形成しただけの連中だ。
 その中の一台。トレインの最後尾にいた男は、何かを感じ取ってにやりと笑った。真っ赤なロードバイクに、同じく赤いジャージ。肩章のついた黒いマントと、アンテナのついた銀色のヘルメットが異彩を放つ。
 その男はトレインを抜け出し、先頭を走るライダーに並んで言った。
「私はここで抜ける。君たちとの走行、楽しかったよ」
 その口元は笑っていた。目元は分からない。何の意味があるのか、顔は仮面で覆われていた。
「おい、抜けるのはいいが、ペースダウンする気か?まさかここでアタックを仕掛けるわけじゃないよな。体力は温存する方がいいぞ」
 先頭を走る男が訊く。すると仮面の男は、前を向いて答えた。
「戦いとは、常に二手三手先を読んでするものだ」
 ギアを上げた仮面の男は、力強くペダルを漕いで登っていく。その足の動きは、ここが登り坂であることすら忘れる程の激しさだった。
 目の前には、空と茜がいる。
「見せてもらおうか。噂の中学生コンビの実力とやらを……」

 ミス・リードが、その動きに気づいた。
『ここでレースに動きがありましたよぉ。エントリーナンバー435 および451 茜さんと空さんに、4台のロードバイクが迫ります。そのうち一台は、通常の3倍の速さで向かってきます』
 その実況に、思わず空と茜は振り返る。後ろから、真っ赤なロードバイクが追いかけてくるのだ。
「見えるぞ。私にも敵が見える」

『エントリーナンバー079 赤い彗星選手。有名アニメのコスプレで参加です。この手の選手はスタート時には沢山いたんですけど、今では数えるほどしか残っていないですねぇ。リタイアした人が多いので。
 彼の乗る車体、凄いんですよぉ。AvanGarage FR-CB-CA02という車体なんですが、このメーカーってアニメとコラボした車体専門なんですよ。だからどこにもアヴァンギャレージと書かれていないでしょう?アニメの世界観を重視した結果なんですよぉ。
 フルカーボンフレームにshimano 105を搭載。アニメオタクを喜ばせるためのルックバイクなどではありません。これは、本気で走るレーサーに向けて作られた車体……いえ、機体なのです』

 ミス・リードの言う通り、赤い車体には511A12という機体番号や、ZEONICという架空のメーカー名が記載されている。ロゴも見る人が見ればわかる。ヘッドにはジオン公国章。側面にはシャアのマーク。
 しいて言えば、アニメのイメージではもう少しピンク色だったんじゃないかとツッコミを入れる人もいるかもしれない。逆に言えば他のツッコミどころが見当たらないくらいに本気の車体だ。
「へ、変態だ!」
「茜。間違ってないけど、その言い方もどうなのさ」
 言っている間に、追いつかれる。相手の車体は大きく揺れながら、しかし余計な雑音を一切出さずに進んでくる。ペダリング効率は良いとは言えない。しかし速い。
「やあ。茜君と空君だね?噂は聞いている。一緒に来るかい?」
「一緒に?アタイらもトレインに入れって事か?なら断るぜ。生憎とこの地形でトレインのメリットは大きくないだろうからな」
 茜はそっけなく断る。事実、あまりトレインに慣れていないのもあってか、そのメリットは感じにくいのだった。なにより、第一印象で変態のガノタと評価した赤い彗星と一緒にいたいと思わない。
「私の実力を疑っているのかな?」
 彗星が尋ねる。茜は首を縦に振った。
「ああ、これっていつものパターン?」
 空が呆れる。茜は言うまでもないとばかり、ニヤッと笑った。
「アタイについてこれるかな?赤い彗星」
 茜は急加速して、彗星を振り切る。つまり、今回も勝負ごとに持ち込むつもりなのだ。
 彗星も追随する。変速ギアを下げないまま、ダンシングによる加速。大きく車体を振り、少ないケイデンスで登る。1回転の伸びが尋常じゃない。
(……速いな。っつっても驚くほどじゃないか)
 35km/hを出す茜に対して、彗星は25km/h程度。全く追いつかれる心配がない。
 ついに、茜の視界から彗星が消える。コーナーを曲がったところで勾配はきつくなり、登板車線が用意される。このまま振り切れば茜の勝ちだ。
(どこまで勝負するつもりだったのか知らないけど、もうアタイを追う力もないだろう。ああ、あとは空と合流しないとな)
 体力の尽きた茜は、ギアを下げてシッティングに戻る。もともとパンチャー気質の茜に持久力は無い。

 その瞬間を待っていたかのように、現れたのは彗星だった。
「この程度で引き離したつもりか。私も侮られたものだな」
 まったく速度が落ちることのない彗星は、じわじわと茜に迫る。
「冗談だろう!なんでスタミナが尽きねぇんだよ。くそっ」
 一瞬でもペダルから力を抜いたら、あっという間に減速するほどの坂道。そこを茜は再び駆ける。小さな肺に入るだけの空気を取り込み、実力差を見せつけるような加速をする。だが、
「若いな。そうやって強がっていても、体力に限界が来ていることは見えている」
 彗星が不敵に笑う。
(何だってんだよ。あいつはどうして体力が減らない……)
 意識が遠のきそうな茜の耳に、Bluetoothイヤホンからミスり速報の声が入る。

『今、中継車が茜さんと、赤い彗星さんに追いつきました。映像、出ますかぁ?……出ましたねぇ。
 これが、赤い彗星さんが得意としている登り方。トルク型特有の強力なダンシングです。一部のアニメファンからはスパイダークライムとか、ピークスパイダーとか呼ばれているようですが、あえて私はこう呼びたい。キック、と――
 強く踏みつけるようなダンシングは、しかし長時間にわたって続くんですよぉ。昨日も発揮してくれましたが、恐ろしいことにどこまでも25km/hをキープ。念のため言いますけど、これは電動アシストとか入ってないですからね。
 自力でこの持久力。しかも変速ギアは中間を維持。たくましいですぅ。こんなのっ、私、何度もイカされちゃう。ん――』

「っくはぁっ――!」
 茜がついに息を吐きだす。呼吸が苦しい。これ以上のアタックは出来ない。
 大きく減速した茜に、彗星が迫る。その表情に、焦りや苦しみは見られない。
「茜君。きみの瞬発力は見事だ。しかし、それだけだな。持久力がない」
「な……なん――だ、と――」
 必死で言葉を紡ぐ茜だが、すぐに息が切れる。上り坂を走っていれば当たり前の事だった。そもそも喋れる方がおかしい。
 つまり、彗星は異常だった。この状況で茜に話しかける。それも地声ではなく、さわやかな中に深みを持った声を演じながら、よく聞こえるほどの声量で。
「この先は富山県に近づくようだな。名前の通り、山岳地帯が多いところだ。自転車で超えるなら、ペース配分は大切だよ」
「なん――で、息――出来るんだ……よ」
「君のように、無謀な突撃をしていないからさ。鍛え方が違うとも言える」
 茜がギアを落とすのに対して、彗星はギアを上げていた。
(アタイが、間違ったのか。ペース配分を……)
 悔し気に唇をかむ茜を、彗星は気遣った。
「過ちを気に病むことはない。ただ認めて、次の糧にすればいい。それが大人の特権だ」
 茜の背中にあるポケットに、彗星が何かを入れる。茜にはそれを確認する余裕がなかった。
 用事は済んだとばかりに、彗星が茜を抜いていく。完全な敗北だった。あまりにあっさりと、たった数分で決着をつけられたのだ。茜は負けを認められなかった。それでも動かない身体が、負けたと思い知らせてくる。
(嘘だ……アタイが、あんなキモオタに――)
 めまいがする。それに吐き気も。
 身体に力が入らず、車体もふらつく。手足が痙攣し、頭痛も伴う。

「茜。大丈夫?」
 いつの間にか追いついてきた空が、茜に声をかける。
「空……?」
「うわっ、酷い顔色だよ。いったん停まろう。ブレーキ。ブレーキ」
 空に促され、茜は補助ブレーキを握った。もともと上り坂だったこともあって、すぐに車体は制動する。
「うあっ」
 SPDペダルが外れない。そのまま立ちゴケする。実は茜にとっては初めての立ちゴケだった。
「だ、大丈夫?」
「ああ、大丈夫だ。ちょっと初歩的なミスしただけさ……あれ?外れない?」
「ああ、手伝うよ。ひねるんだっけ?」
「ああ。どちらかと言うと、足首を持って横に千切る感じで頼む」
 言われた通り、茜の足首を真横にスライドさせるように引っ張る。千切るという表現が茜らしい。
「外れたよ。立てる?」
「ああ、ありがとう」
 そのまま、空は2台の自転車を持って、道の横に寄る。他の選手の邪魔になりかねないからだ。

「やべぇな……ボブの軽トラで車酔いしたせいか?おえぇぇえ……」
「なんか、今日の茜は吐いてばっかだね」
 さすがに胃の中が空に近いのか、透明な液体ばかりが出てくる。少し酸っぱくて、何より苦い。鼻にまで逆流してくるせいで、鼻の奥がツーンと痛む。
「もしかして、高山病?」
 空はその症状に思い当たる節があった。実際に今日は登り坂ばかりだし、茜はアタックの時に呼吸を止める癖がある。
「おいおい。高山病っていうのは登山家がなるやつだろうが」
「でも、僕たちがやっている峠攻めは、ある意味で登山だと思うよ。乗り物に乗ってのハイスピードな登山じゃないかな?」
 程度の軽い高山病であれば、標高2000メートル程度でも発症の可能性はある。対処法はゆっくり上ることと、呼吸を意識すること。つまり、茜がやって来たこととは真逆だ。
 高山病になりやすいかどうかは、生まれつきの体質に依存する。空や彗星が平気なのに、茜だけ発症するのも不思議ではない。
「とにかく、水を飲んだ方がいいよ。最悪の場合、ここで長く休憩を取るか、もしくは下山するか……」
「来た道を戻るのか?アタイは反対だ」
「でも、仕方ないでしょう」
「……」
 たしかに、頭がくらくらする。この状態で自転車に跨ったとして、さっきのようなダンシングができるわけないのは確かだ。茜自身が誰よりもよく分かっている。
 茜は背中のポケットに違和感を感じて、探る。そういえば彗星が何かを入れていったはずだ。それは飲み物のボトルより一回り大きな、缶スプレーのようだった。ラベルには酸素と書かれている。
「ああ、酸素ボンベだね。準備してたんだ」
「いや、アタイのじゃない。彗星が勝手に入れてったんだ」
「そうなの?でも、よかった。とにかく使った方がいいと思うよ。多分」
「……」
 こういうのに頼るのは、茜のプライド的には抵抗があった。とはいえ、今の状態の方が情けないのは確かだ。
 キャップを反転させてはめ込み、口元を覆うように当てる。
(……キモオタ呼ばわりしたのは撤回するぜ。イケメンじゃないか。赤い彗星)
 この事態を予想し、さらに敵に塩を送るような真似をする。まさにそのキャラのような所業に、茜は素直に感謝した。


 茜が休憩している間に、空はミス・リードに凸電をした。その間に、3台のロードバイクが横を通り抜けていく。茜や空の事など眼中にないようで、3人ともまっすぐ走っていく。
「ミス・リードさん。この先のコースって、まだ登り坂ですか?」
『いえ。空さんの位置からだと、もうすぐ下りに差し掛かりますよぉ。まあ、また登るんですけどねぇ。その山の折り返しまでは、あと4kmってところです』
「勾配は?」
『ちょっと保証できかねますけど、等高線から察するに、平均5%ってところじゃないですかぁ?ところで、茜さんは大丈夫ですかぁ?停止している様子がGPSから入ってきていますが?』
「ちょっと具合が悪いみたいなんですよ」
『ああ、お大事に……では、私は実況に戻りますねぇ』
「お忙しいところ、ありがとうございます」
 空が電話を切ると、すかさずミス・リードは実況に戻る。なんでも女子中学生の参加者が100km/hを越える速度でアタックしているらしい。そんな馬鹿な。
「空……こうなったら、お前はアタイより先に行け」
「え?」
 茜が突拍子もないことを言う。空は驚いたが、茜は笑った。
「アタイがこんなところで死ぬかよ。ちょっと休憩だ。夜までには合流するから、お前には頼みたいことがあるんだ」
 いつになく顔色の悪い茜から、そんな提案をされる。これが映画なら、次のシーンで茜が死ぬに違いない。
「フラグ立てないでよ」
「ははっ、悪ぃな。で、頼みたいことっていうのは、他でもない。アタイの代わりに赤い彗星に、礼を言ってほしいんだ」
 本当は、かたきを討ってくれとでも言いたいくらいだった。でも、空は勝負事を好まない。赤い彗星に勝てと言っても、勝ってくれないだろう。戦いにさえ行かないと思う。
 だからこそ、伝言を頼んだのだ。それに、感謝しているのは事実でもあった。
 空も体力は余っている。ここから追いつけと言われたら、出来るかどうかわからないが。
「……やってみるさ」
 空は頷き、エスケープに跨った。ギアを最大まで軽くした状態から漕ぎ出し、フロントを変速しないままで頂上を目指す。
 思えば、自然公園の時だって合流できたんだ。きっと大丈夫だと信じて、空は走る。
「止まるんじゃねぇぞ……空」
 この上り坂で一度止まれば、そこから再び走り出すのに、体力を大きく消耗する。それを懸念した茜の言葉は――仮に彗星が聞いたら「そうか。鉄血の世代か!」と飛びつく内容だっただろう。


 落石注意という標識を見たら、ロードバイクは減速する方がいい。速く切り抜けた方が頭に石が当たらないだろう――と考える人は間違っている。
 実際、タイミング悪く石の下敷きになることは滅多にない。それより問題なのは、落ちている石を踏んでしまうことなのだ。細かく砕けた石が落ちている地面は、ロードバイクにとって天敵と言える。
 ましてカーボンフレームに、スポーク数の少ないホイール。そして細いタイヤで踏みつければ、どんな致命傷になるか分かったものではない。
 下り坂を快調に飛ばしていた彗星は、地面に落ちた小石を踏んでしまった。前輪が大きく跳ね上がり、つられるように後輪もグリップを失う。車体が軽いからこそ発生する事態だ。
「ちぃっ!」
 慌てて車体を地面に押し付けるが、今度は砂にタイヤを取られて滑る。着地の瞬間がもっとも滑りやすい瞬間である。しかも落石したところには大概、砂も多く落ちている。
 間一髪。体制を立て直した彗星は、速度も落とす。このまま無謀に速度を上げるような真似はしない。
「砂の中に落石が混じっていたか。やるな……ダウンヒル」
 目視で見分けようにも、保護色のせいで見づらい。しかも下りの勾配が激しく、曲がりくねった道である。
 35km/hをキープ。そのあたりが妥当だと捉えて、ブレーキ調整と空力抵抗で速度をコントロールする。この期に及んでペダリングは必要ない。
「足などただの飾りだと言った彼は……案外間違っていなかったのかな」
 誰だか知らない人物の事を思い出し、彗星は自嘲する。
 そこに、空は現れた。

「見つけた。彗星さん」
「空君か。まさか、きみの方が来るとはね」
 彗星が見た限りでも、空は好戦的に見えなかった。速度や走破性を競うには不向きなクロスバイク。走るのに向かない一般的な服装。そして顔だ。戦いを欲するものの顔は、もっと鋭く、野心的なのだ。
 だから空は追いついてこない。そう思っていたのだが、認識を改める必要がある。
「茜君は無事かな」
「はい。おかげさまで。酸素ボンベ、ありがとうございました。茜もお礼をと――」
「いや、いい。私が勝手にしたことだ。それで?」
「?」
 それで?と言われても、空には分からない。彗星に対する用事は済ませた。他に茜に頼まれたこともない。なら……
「これから、空君はどうする?」
「これから……」
 茜は、夜までには合流すると言っていた。いま速度を落として茜を待つのも失礼にあたるかもしれない。ましてプライドの高い茜だ。実力で追いつきたいだろう。
 なら、空に出来るのは一つだ。コースを走ること。それ以外にない。

 彗星は、その意思を感じ取った。
「ここから先は競争だ」
 一方的に言った彗星は、自転車を加速させる。落石の可能性も、その他の落下物に当たる可能性もある。道の横に生えている木々は、頭をかすめるように枝を伸ばしている。アスファルトにも亀裂が見える。
「あ、危ないですよ。こんなところで速度を出したら……」
 空が心配するが、彗星はさらにギアを上げる。
「当たらなければどうということはない」
 まっすぐに、彗星は速度を上げる。またしても石がある。それを彼は体重移動だけで躱した。横にではない。上だ。
 ジャンプするというほどでもなく、体重をかけていた両手足から、力を抜く。それだけで車体はせり上がり、比較的ソフトに衝撃を吸収する。
 一方、空は――
「う、うわぁあっ」
 横に避けてしまった。下り坂では普段よりスピードが出る。わずかにハンドルを切ったつもりでも、車体は大きく位置を変えるのだ。蛇行するような形になった空は、フラットバーハンドルを強く握って立て直す。
「慌てるな。下手に動くとかえって当たる。路面とタイミングに注意しつつ、まっすぐ走れ」
「え?」
 彗星から空へ、アドバイスが飛ぶ。
「うろうろ逃げるより当たらんものだ。私が保証する」
「は、はい」
 言われた通りに、まっすぐなライン取りを考える。トップスピードは70km/h程度。コーナーでは大きく減速するのが大前提で、目が慣れることはない。逆に言えば、サイコンを見なくても自分の速度が分かる。おおよそではあるが。
 いずれにしても、サイコンに頼ることは出来ないだろう。姿勢を極端に低くして、胸にステムが付きかねない姿勢を取る。頭はハンドルバーより前だ。目が下向きについていない限り、サイコンを見ることができない。

 アスファルトの継ぎ目が迫る。地割れか何かの跡だろう。一応補修されているとはいえ、その仕上がりは面一ではない。どのみち道路を塞ぐように横一線にひびが入っているのだ。よける方法は無かった。
「っ――……」
 怖い。しかし、空は勇気を振り絞って突っ込む。速度を落とさないまま、彗星と同じ速さで。
「はぁっ!――で、出来た……」
 やってみると、意外と簡単だった。目が慣れないので怖いが、車体は音もたてずに走り続けている。
「そう、体を使う技はニュータイプといえども、訓練しなくては」
「はい。にゅ、ニュータイプ……?」
 よく分からない単語だったが、今は気にしない。自転車の事で頭がいっぱいだからだ。
(これは、私も本気を出すしかないか)
 あまりに空の学習能力がいいことに気づいた彗星は、振り切るために加速する。しかし、空はその後を追従する。まるで煽っているように、だ。
 やがて、山を越えて人里に出る。前方には次の山が見えている。せいぜい1kmほどの平地だ。
 しかし、路面は荒れている。アスファルトは風化し、砂利のような表面を向けていた。そんなところを細いタイヤで、まして高圧なチューブで走れば、車体は減速する。
「これは、カーボンフレームの共振?路面の石が集中し過ぎて、オフロードと化しているのか。しかも恐怖しか感じない」
 そこに、空が並ぶ。彗星の160psi/23cチューブラーと、空の115psi/28cクリンチャー。この路面では空に軍配が上がるのは必然だ。
 ついに、空が彗星を抜く。

(追い抜いた……僕が?……)

 いままで、勝つことをどこかで拒否していた。前に出るより、並んで走りたかった。競うより、仲良く手を取り合いたかった。そんな空が、相手を追い抜いてしまったのだ。前には茜もいない。彗星もいない。
 それは――

「まだだ!まだ終わらんよ!」
 空が感じていた大きな心の変動は、すぐに彗星の一言でかき消された。この先は再び道を逸れて、山へと入っていく。アスファルトの状態は回復し、険しいヒルクライムが再開されるのだ。
「チャンスは最大限に生かす。それが私の主義だ」
 ミス・リードがキックと名付けた技が炸裂する。大きくトラクションをかける、ミッドギアでのクライム。やはり足は飾りではない。赤い彗星の得意技は、キックだ。
(あれができれば、僕も速く走れるのかな……?)
 空はその姿を、バーエンドバーに仕込まれたミラーで見る。茜がいう振り子ダンシングと、原理は同じだ。ただ、パワーが桁違いなだけで。
(こう、かな……きゃっ!)
 案の定、車体を制御できず転びかける。その隙に、彗星が抜き返した。
「私の技を、易々と盗めるつもりでいたのか?ふふふっ」
 彗星は笑う。勝ったことよりも、空が思った以上に甘かったことに。
「どうもお坊ちゃん育ちが身に沁み込み過ぎる。甘いな……」
 現代っ子、といえばそうなのだろう。他人がやっていることを自分も出来ると思い込む。仕組みが分かれば簡単と信じる。教わればすぐに体得できるつもりでいる。
 そんな現代っ子の姿が、今の空だった。甘い。この技は熟練と、何より才能がものをいう技だ。形だけをまねするのは誰でもできるが、それで本当に効果を発揮するのは難しい。
 空は、それを理解していた。
(つまり、僕には彗星さんのようなパワーがない。体重も軽いし、一方で車体は重い)
 空は今の現状を見極める。もしも、勝てることがあるとしたら……
(フレーム剛性……かな?でも、いくらフルカーボンでも、何十万もするロードがアルミ製クロスに剛性で劣るとは思えないけど……)
 基本的に、カーボンは軽い代わりに剛性がないとされる。ただ、アルミもカーボンもピンキリだ。中には100万のカーボンバイクはアルミを越える剛性を持つという人もいる。カーボンシートの厚さと枚数、そして芯材の形状がファクターだ。
 逆に、アルミを擁護する声もある。下手なカーボンよりキャノンデールのアルミを買え。という格言もあるほどだ。つまり、カーボンとアルミのどちらが優秀かなど、議論しても答えは出ない。
 なら、自分なりの答えを探せばいい。空は空なりの走り方を……
「よし。行くよ。彗星さん」


『ここで、空さんが彗星さんを追い始めました。え?なに……あの動き……』
 ミス・リードは、自分の目を疑った。そして中継車のカメラを疑い、中継機材の接触を疑い、最後に自分の自転車知識を疑う。
 ロードからMTBまで……必要とあらばママチャリや、遊園地のアトラクション自転車まで見てきた。そんな彼女だから、チャリチャンの実況者として選ばれたのだ。その知識を動員しても、この動きを表現する言葉が見つからなかった。
『一見すると振り子のようですが、揺れているのは自転車ではありません。ライダー自身が、自転車の上で左右に揺れています。ふざけているようにも見えるのに……結構スピード出てますねぇ。追走する中継車は……え?35km/hですかぁ?本当に速いじゃないですかぁ』
 登り坂であることと、車重10kgはあるクロスバイクであることを考えると、この速度は驚異的であった。
 小さな体を揺らして、車体と上半身を逆に振る。右ペダルを踏むときは、車体を左に傾け、それ以上に身体を右に倒す。頭を横に振るようにして、自分の重さをすべて使って片方のペダルを踏む。

「冗談ではないっ!」
 彗星が逃げる。その速度は25km/h程度。安定した速度を誇る彼は、それ以下の速度に落ちることがない。
 逆に、それ以上の速度になることもない。このフォームで意外だと思うかもしれないが、彼にはケイデンスがなかった。そこでは空に軍配が上がる。
「あんな走り方、体力が持つわけがないのだ」
 彗星の言う通り、空は多くの体力を消費していた。そもそも物理的な話をすると、前進に使う運動エネルギー以外は浪費に過ぎない。車体が横に振れれば、それだけエネルギーのロスをすることになる。まあ、人間工学を度外視した机上の空論だが。
『ここで、空さんが従来のフォームに戻しました。そのため減速……しません。えぇっ!?いや、どうして速度を維持できるんですかぁ?ケイデンスはおよそ100rpmをキープ。空さんにとって普段より少し早いくらいですけど……』
 空には、イメージがあった。昨日のタンデムバイクの二人……良平と梨音だ。
 あの二人は、梨音が加速するときのロケットブースターのような役割を担い、良平がそれを維持することによって、登りを制していた。それを一人でやるなら、走り方を変える必要がある。
 坂道でも十分に加速した後なので、いつものフォームでもギアを一段上げられる。そのたった一段の差が、少しづつ、彗星に追いつく理由になる。
「ええいっ、最近の中学生は化け物か!」
 こんな、300の軍勢で5000の敵に包囲殲滅陣を敷くような戦い方で……
 三勤務労働制で貴族を働かせるような考え方で……

『ついに、空さんが彗星さんと並びましたぁ!すでに二人とも満身創痍。車体がコントロールを失って、徐々に減速していきます』
 追いつかれた。
「これでは道化だよ」
 彗星が呼吸を乱す。限界だ。酸素も薄くなってきたし、呼吸も間に合わない。
 シートチューブに手を伸ばす。あれがあったはずだ。あれが……
「ないだと?……しまった」
 酸素を補給するための携帯ボンベ。確か、茜に渡してしまったのだ。
「だ、大丈夫ですか?彗星さん」
 空が心配そうに聞く。単純な体力の消費で言えば、空の方が多いはずだ。なのに表情からは、空の方が余裕に見える。これが、若さと言う奴なのだろう。
「さらにできるようになったな。空君……」
 言われた空は首をかしげる。しかし、彗星は勝手に納得していた。
「新しい時代を作るのは老人ではない……行きたまえ、空君。君の勝ちだ」
 減速する彗星の目の前に、光が広がる。別に山頂に来たわけじゃない。それでも、暖かい光だ。
「彗星さん。しっかりしてください。あ、あの……僕はどうすれば?」
「それは、走ればいいんだ。君にはまだ余力がある。私にはない。私は、ここで休ませてもらうよ」
 敵に情けをかけるべきではない。抜くときはしっかりと、完膚なきまで抜く必要があるのだ。それは当たり前の事なのに、隣を走る少年は一向に抜きたがらない。
 彼にとって、彗星は敵ではないのだろう。しかし、友人ではある。ならば……

「空君。私からの頼みだ。君の走りをもう一度見せてくれ。先ほどの、体を揺する走りだよ」
 友達の頼みは断るまい。彗星は空の性格を、ほぼ完璧に把握していた。
「は、はい。いいですよ」
 空が再び、奇妙なダンシングをする。その上半身の振り方だと、前を見るのも一苦労だろう。後ろに気を配るなど、出来るはずがない。
 その隙に、彗星はひっそりと、地面に足を着けた。空が気付くころには、彗星はいなくなっているだろう。手のかかる少年である。しかし、放っておけない魅力もある少年だ。
 もしも現代の地上にニュータイプがいるのだとしたら、彼のような人物を言うのかもしれない。彗星は勝手にそう考えて、笑った。
 ひっそりと、彗星は仮面を外す。その眼もとには深い皺が寄り、眼尻は垂れている。ヘルメットの中で縛っていた髪を解くと、頬が垂れる。そこにいたのは劇中の赤い彗星とは似ても似つかない、ただの初老の男性だった。
 思えば、自分ももう50歳だ。初めてファーストガンダムを見たのが、10歳の少年の時――あれからもう40年近い。
「勝利の栄光を――いや、それはやめておこうかな……」
 彗星は一人、ミス・リードの声を聞きながら、呼吸を整えた。
 どうやら、空が山頂に到達したらしい。
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