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第二章

ゴローナ

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ブリジット始め女性達の動きは、一気にギアチェンジした。
魔物に対して容赦ない攻撃で次々と撃破して行く。
そして再び、大広間を迎えた。

「ここの先がデーモンバッファローの巣だよ、今日のゴールだね」

レイがそう言うと、ケリーが伏し目がちに
「あの~できれば、広間は私入らずにここで終わるまで待機にしたいんです。」

「私も」

「うん まだ恐いわ」

マリクレールとブリジットが同調した。

「デーモンバッファローが恐いのかな?」

すると、イレーヌが
「彼女たち、さっきの広間のトラウマがあるのよ
ね そうでしょ」

3人はコクンとうなずいた。

「そっか でもさ トラウマは克服しないといつまでも引きずるよ。
中に入ったら直ぐにぼくが一人ずつ結界で包んであげるよ。
それなら恐くないでしょ」

3人はお互い顔を見合わせて、うんうんとうなずいた。

「レイさん それでお願いしていいですか?」

「もちろん。で、イレーヌはどうする?」

「私だって女の子よ、結界で守ってよ」

「デーモンバッファロー狩りしないの?」

「私も勝てないことは無いと思うけど、今は、遠慮したいわ。
どうせ、レイ一人でも余裕でしょ。」

「まぁね。
 わかった。任せて。」


こうして5人は、大広間に入った。

たくさんのデーモンバッファローが真っ赤な目をして、痛いほどの殺意を向けて来た。

ポンポンポンポン

女子4人を丸く結界で包んで天井近くに浮かばせた。

「ンンン モオーー」
「ンンン モオーー」

上を見上げて、デーモンバッファローが興奮している。

「お前らの相手は俺だ!
ストーンバレット!
神経〆だぁ」

デーモンバッファローがバタバタと倒れてゆく。
レイが倒れた所を駆け抜けるとデーモンバッファローが次々と消えて行く。

「なによあれ。私たち3人がかりで倒してたデーモンバッファローがドミノ倒しみたい」

「あれ単体でCランクの魔物よね信じられない」

「もう半分に減ったわ」

「ほとんど血も飛び散ってないわね。凄い凄~い」

およそ5分位で、全て片づいてしまった。

レイは女の子たちを下ろした。

「どうやって あいつら倒したの?」

レイは小指位の少し細長い石を出して見せた。

「これを眉間から打ち込んで脳とせき髄を破壊してるんだよ。
そうすると内出血も無く
美味しい肉が取れるんだよ」

「へ~~え 食べるときのことまで考えて倒してるんだね。
凄いなぁ~私のレイは」


「ちょっと~イレーヌさん
最後の一言だけ気になるんだけどぉ~」

「あら?ブリジット
レイに愛されたことがあるのは、私だけよ。だから~」

「わたし わたし あんなところ見られて、もうお嫁に行けません。
レイさん責任とって結婚して下さい」

「そうよ わたしの恥ずかしいところも見たんでしょ
責任とってね」

「レイさんの愛でこの身体清めてくれないと、わたし死ぬからね」

「まぁまぁ とにかく狩りは終わったから、ギルドに戻ろうよ。
みんなぼくの所に来て」

レイが手を広げると女子たちが抱きついた。

『転移』

ダンジョンの入口を入ってすぐの所に着いた
歩いてダンジョンから外に出て

「あっ いっけない」

「なに どうしたのイレーヌ」

「私たち宝箱取り忘れてる」

「あっ そう言えば、そうね」

「戻る?」

「NO」「イヤ」「帰ろう」「戻らない」

「それじゃあ、冒険者ギルドに」

『転移』

ギルドの会議室に一瞬で着いた。

受付に内側から行くのは、いかがなものか
なんてことは置いといて、受付嬢のゴローナに後ろから声をかける

「ゴローナ、牛肉獲ってきたよ。」

「レイさん!早いにゃん。
ギルドマスター室へおねがいにゃん。
わたしもすぐ行くのら、待っててにゃん。」

ゴローナは受付終了の札を出して、対応中の冒険者にたいしては、

「はい、あなたたちは隣町まで商人の護衛にしなさい」

そう言って、書類にポンとハンコを押して渡した。

その冒険者たちが、ぶつくさ言うと、ゴローナは、キッと睨んで

「あんたたちのことを思って私が選んであげたのに、文句あるの!」

と威圧した。

「文句なんて、全然、これっぽっちもありません。」

「最初から、そうゆう態度にしなさいよ。」

ゴローナがこちらに向き直ると、吊り上がった眉が元に戻って

「おまたせにゃん。」

豹変という言葉は、この娘の為にある言葉かもとレイは思った。

ゴローナは、イレーヌたちの脇をすり抜けて、レイの腕にしがみつくようにして、しっかり胸を押し付けた。

「いくにゃん」

「どろぼう猫には渡さないわよ」

ブリジットの言葉に一切ひるむことなくゴローナは、ぼくを連行するようにギルドマスター室に連れて行った。

コンコン

「ギルドマスター 失礼しま~す」

「ム 今日は、なんだ?」

「レイ君がぁ ダンジョン攻略してぇー いっぱいいっぱい魔物を倒してきたにゃん。
カウンターだと騒ぎに為るにゃん」

「んまあ それも当然だな
それでは、証拠品を出してもらおうか」

レイは『イベントリ』から
取り出した魔石を床に並べた。
分かりやすいように、種類別にしかも10個毎に区切りをつけて数えやすいように置いて行くと、床一面 魔石で覆い尽された。

「置く場所無くなりましたね。これが最後ですから、デスクお借りしますね」

「こ これはデーモンバッファローの魔石じゃないか。
しかもこんなにたくさん」

ギルドマスターのオージンは
よだれを手でぬぐい、ゴクリと唾を飲み込んだ。

「素晴らしい成果だ!
して また、デーモンバッファローの肉も当然卸してくれるんだろうな」

「もちろんですよ。厨房に解体済みを卸しますから。今日はステーキ祭りにしましょう。今日の分は無料で提供しますから、冒険者の皆さんの分も全部無料にしましょう。
調理代はぼくが出しますから」

「君のような逸材が当ギルドにいることを、誇りに思う。まったく素晴らしい。」

「マスター 私の計算では、魔石分だけでも、一億三千万ゴールドです。
イレーヌ先輩どうですか?」

「うん、妥当な金額ね、ゴローナ仕事早いわね」

「それと、現在Bランカーのイレーヌさんマリクレールさんケリーさんの3名は、Aランクに昇格でいいですね」

「まあこの魔石の量だ昇格は当然だろう」

「そして私ゴローナは今日限り冒険者ギルドを退職して、レイさんのパーティに入ります。」

「まぁそれも当然………?
なにぃ~~
ダメだダメだ、そんなこと許せるかぁ~」

「なんでですか?ギルドの長ともあろう方が転職の自由を奪うんですか?」

「いやいや、そうではなくて、いくらレイ君が優秀でも、イレーヌに続いてゴローナまで引き抜かれては、困ると言っているのだよ」

「ちょっと待ってゴローナ。私たち誰もあなたの加入認めて無いわよ」

「あら?ブリジットさんマリクレールさんケリーさんが
レイさんのパーティに加入するとき、イレーヌさんに歓迎されてたかしら?
レイさん、みんなで仲良くでしたよね。」

「あら、でもゴローナ、今しがた私たちの仲間をAランクに推してくれたあなたなら分かると思うけど、みんなそれなりの実力者でレイと組んでるのよ。
この意味が分かる?」

「よくわかります。
で、誰と戦えばいいのかにゃん
私が勝てば加入できるって意味よね、それ
面倒だから4人全員戦う?」

「あら?ずいぶんと舐められたものね、わたしたちも」

「君たち、止めとけ。
ゴローナは ぐふっ」

「あらマスター ごめんだにゃん ちょっとヒジが当たっちゃったにゃん」

「訓練場に行くわよ」



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更新ペースが遅くなり申し訳ありません。
面白い話になるよう悩みながら書いてます。
これからも応援おねがいします。
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