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第二章

新婚旅行みたいな

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セーラーブームは、約1年近く続いた。
多店舗展開も考えたが、ヒヨシが「ブームが去った時の為に、他店とのライセンス契約にしましょう」
ということにした。

光るマネキンのレンタルも増えて、下着も順調に売上を伸ばした。

しかし、ここで問題が発生した。
セーラーピンク役のマリクレールとセーラーグリーン役のイレーヌがおめでたになったのだ。

「ねぇお願いペッパー
私たちの代わりにステージに上がってよ」

「イレーヌ それは嫌よ、子ども相手に、パンちら踊りは」

「そっちはやんないで、戦うヒロインの方よ」

「なんで私達なの?」

「だって本当に強い人の立廻りじゃないと迫力に欠けて見ててつまらないでしょ。
大人が見ても、感心するようなタテなんて低ランクの人じゃ無理なのよ」

「でもあたし『クマさんパンツ』は絶対嫌よ」

「『イチゴのパンツ』は?」

「ブッ 笑わせないでよ
それも当然却下よ」

「シルクパンティ?」

「まあ それなら、今もそうだし」

「ペッパーありがとう、ハバネロとカエンヌの3人で宜しくね。」

セーラー戦士はキメワザを躱され万事休すの展開に
ボディコン網タイツのペッパーたちが駆けつけて救出するのだ。

舞台は、大人気で当初1週間のみの特別興行が、2ヶ月に及んだ。

「マリクレールとイレーヌは、直ぐにやられて、倒れてるのよ」
とブリジットたちに助けられて何とか公演は終わり世代交代となった。

町では子供が「ペッパー警部よ!」と決めポーズを真似している。

ヒヨシの主導で劇団養成所を作り次期戦隊ヒーロー候補の訓練も始まった。

ゴローナ以外の嫁たちは、みな元孤児だったが、ゴローナは山の上に住む、獣人属の民だった。

セーラー戦士が一区切り着いた際で、一度ゴローナとの結婚報告がてら二人で里帰りをすることにした。

「えー、二人で行くんですか?山の方は凉しいんでしょ。ぼくも行きたいなぁ
美味しいご飯作ったり、ゴローナさんの美容もやりますから、連れてって下さいよー」

ぼくらは、根負けしてミツルも連れてゴローナの里へと行くことにした。

コーフーの町からコウシュウロードを通り七里岩の道へと入ると上り坂が始まった。

ミツルは、直ぐに休みたがるので、ちょくちょくレイが回復をかけてやってなんとか付いてこさせている。

ヒノハルのあたりで
「今日は、ここまでにしましょうよ~
キャンプするのに丁度良さそうですし~」

「そろそろ夕暮れも近いし、そうするか?」

「ちょっとまつにゃん」

ゴローナは里に帰るのが嬉しいらしく「にゃん」が出てる。
するするっと近くの木に登るとあたりを見回した。

「ここなら安全そうだからオッケーにゃん」

街道から少しはずれた場所にレイがテントや薪や食材を出すと、ミツルが喜々として働き始めた。

さっき迄「歩き疲れた」とブーブー言ってたのが嘘のようだ。

土魔法で穴を掘り周りを固めて、水魔法と火魔法を上手く使い湯を沸かした。

「レイさんゴローナさんお風呂入って下さい。
露天風呂気持ちいいですよ。
出るまでに、ご飯作りますから。
あ イチャイチャはしないで下さいよ。後でぼくも入るんですから。」

ゴローナと二人だけで風呂ってそう言えば初めてだなぁ

先に湯に浸かっていると、ゴローナがかけ湯をして入ってきた。
ん~~眼福だぁ

「もう、私の裸は見慣れてるでしょ」

「こっちにおいでよ、ヤツ山が夕陽に照らされて綺麗だ」

「本当だにゃ~ 綺麗にゃん」

ゴローナがもたれ掛かってきた。
つい、抱きしめてキスしてしまったのが間違いだ。





「まだですか~ もうご飯出来て……あっ!ごめんなさい」

ミツルは二人の姿態を見て逃げ出した。

「レイがスケベだからいけないにゃん」

「ゴローナがバックをせがむからだろう」





「ミツルごめんね~」
「ごめんにゃん」

「レイさんに、そっちは止めてって言っても無駄だと分かりました」

「ミツル それじゃあ ぼくは、まるで盛りのついた猫みたいじゃないか」

「にゃんにゃん禁止って言ったのに、にゃんにゃんしたんだから、盛りのついた猫のまんまですよ」

「うっ 何も言えねぇ」

「まぁ、終わったことですし。いいですよ。ご飯食べましょう」

牛串 焼鳥 煮込 野菜グリル
とミツルのキャンプ飯は、とても美味しく出来ていた。

お腹いっぱい食べた後は、焚き火を眺めながら、ミツルの淹れたコーヒーを楽しんだ。

夜もとっぷりとフケて、あたりは真っ暗になっていた。
たまにパチパチとはじける焚き火から目を離し見上げると、空いっぱいに星が広がっていた。

「あっ 流れ星にゃん」
「うん ぼくも見たよ」
「何かお願いしたかにゃ?」
「うん したよ」
「なんて お願いしたのかにゃ~」

「ぼく、風呂入って来ます」
ミツルはそそくさと、風呂に行った。

「気が利く子にゃ~」

「だめだって」

「月を見てると昂ぶるにゃん」

「だめだって」

「お外でするのはワイルドだよ~」

「だめだって」

「あの木の枝の上がいいにゃ」

「そんな所で!落ちないか?」

「大丈夫にゃんシッポで掴まるにゃ」

「ぼくはシッポ無いよ」

「ち○ぽがあるにゃ
ゴローナと繋がっていれば、大丈夫にゃ」

「仕方ないなぁ~
1回だけだよ。」

「嬉しいにゃん」





二人が木から降りて、何事もなかったかのように、焚き火のそばにいると。
ミツルが風呂から戻ってきた。

「気持ちいい風呂でしたよ。夜風に吹かれながらの露天風呂は、最高でしたよ」

「そう、それはよかったね」

「このあたりヤマネコでも居るんですかね」

「え?なんで」

「時々風にのって、にゃんにゃん って聞こえたんです」

「そう、それじゃあ用心の為に、結界を張ろうか」

「そうですね~
ところで、お二人とも汗ばんているようですが、もう一度お風呂入っては、いかがですか?」

ミツルはジト目で二人を見た。


※※※※※※※※


もう少し我慢して下さい。
レイの無双は……

だって折角、のんびり生活出来るようになったし、嫁ハーレムも出来たんですから。

だけど幸せがいつまでも続くのかは、神のみぞ知るですよね。

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