8 / 20
1st Dive:Vapor Trail
1‐6 紺碧
しおりを挟む
一面のダークブルー。高度2万メートルの空に、ノルンはいた。
ノルン・ルーヴの乗機、Gleipnir《グレイプニール》は大出力レーダーを用い戦域全体の環境や機体情報全てを収集、統合処理を行い各機コンピュータにリアルタイムでフィードバックを行う。ノルンの頭は情報が荒れ狂う海のように飛び交っていた。
ノルンは通常の人間よりも脳、特に情報処理領域の拡張に対する適正が高く、複数の意識を同時に活動させることができる。ノルン曰く『自分を外側から見ている別の自分がいる』感覚。肉体の枷から解放されるクレイドルシステム下において、その特性はそのまま一人で複数人分の処理を行えることを意味する。
8基のコンピュータと接続し脳領域が常人の限界を超えて拡張されても自我を保ち、それぞれの意識がそれぞれ別の仕事をこなす。それが彼女が特殊技術研究部の専属パイロットの一人たる所以だった。
Gleipnirの周囲には小型のUAV、フェアリィが3機随伴、主機を護衛している。形状はかつて最強を誇ったF-35ライトニングを小型化し、武装懸架用アームを生やしたようなものだった。塗装は白。近距離戦闘をほぼ想定していないGleipnirにとって、ベイカントに接近された際の唯一の防衛手段だ。基本的には自律制御による迎撃モードで運用されるが、有事の際は主機であるGleipnirと接続、ノルンの意識によって制御される。
情報収集とフィードバック。天螺が到達するまでは基本的にこの仕事だ。つまらない、とノルンは思う。高性能コンピュータと接続し加速された思考の中では、一分一秒が永劫のように感じられた。長距離狙撃砲を装備しているとはいえ、基本的に手出しはできない。主任務は天螺《あまつみ》の監視だ。監視と言っても、機体の情報処理や戦闘データを収集するだけ。やることは変わらない。だが天螺には未宙がいた。唯一の親友にして親友。彼女を空で待つ時間、ノルンは少しざわつくような妙な感覚を覚える。決して嫌ではない、心地のいい緊張感とでも言うべきだろうか。
けれど彼女を想う時間は、同時にノルンを傷つけてもいた。
ノルン・ルーヴの乗機、Gleipnir《グレイプニール》は大出力レーダーを用い戦域全体の環境や機体情報全てを収集、統合処理を行い各機コンピュータにリアルタイムでフィードバックを行う。ノルンの頭は情報が荒れ狂う海のように飛び交っていた。
ノルンは通常の人間よりも脳、特に情報処理領域の拡張に対する適正が高く、複数の意識を同時に活動させることができる。ノルン曰く『自分を外側から見ている別の自分がいる』感覚。肉体の枷から解放されるクレイドルシステム下において、その特性はそのまま一人で複数人分の処理を行えることを意味する。
8基のコンピュータと接続し脳領域が常人の限界を超えて拡張されても自我を保ち、それぞれの意識がそれぞれ別の仕事をこなす。それが彼女が特殊技術研究部の専属パイロットの一人たる所以だった。
Gleipnirの周囲には小型のUAV、フェアリィが3機随伴、主機を護衛している。形状はかつて最強を誇ったF-35ライトニングを小型化し、武装懸架用アームを生やしたようなものだった。塗装は白。近距離戦闘をほぼ想定していないGleipnirにとって、ベイカントに接近された際の唯一の防衛手段だ。基本的には自律制御による迎撃モードで運用されるが、有事の際は主機であるGleipnirと接続、ノルンの意識によって制御される。
情報収集とフィードバック。天螺が到達するまでは基本的にこの仕事だ。つまらない、とノルンは思う。高性能コンピュータと接続し加速された思考の中では、一分一秒が永劫のように感じられた。長距離狙撃砲を装備しているとはいえ、基本的に手出しはできない。主任務は天螺《あまつみ》の監視だ。監視と言っても、機体の情報処理や戦闘データを収集するだけ。やることは変わらない。だが天螺には未宙がいた。唯一の親友にして親友。彼女を空で待つ時間、ノルンは少しざわつくような妙な感覚を覚える。決して嫌ではない、心地のいい緊張感とでも言うべきだろうか。
けれど彼女を想う時間は、同時にノルンを傷つけてもいた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる