36 / 272
本編_前編_
第35話
しおりを挟む「抽出は順調ですかね…」
昨夜からグズグズと泣き濡れている、フリックを見ながら、デイルスは呟いた。
「ええ。他のハイエルフよりもその何倍かと思います」
「さすがはシルヴァンエルフ…か」
未だ魔吸具からフリックの魔力を抽出していることから、カーツは返したのである。
エルフから魔力を抽出し、その魔力を用いながら強力な魔導具を造り、他国へと高く売ることで、ラグーン王国は成り立っているのだ。
「だが、油断は禁物だぞ。いつ、ここを知られるか分からないからな…」
今は王であるカイシェイドは、昨日と狩ったばかりのハイエルフを味見していることから、警備は怠るなとデイルスは言った。
「はい。承知しております」
「しかし…このガキ。とてつもない魔力だな」
シルヴァンエルフは、絶滅危惧種という種族の中でも更に“女”のエルフであることから、並大抵の魔力では無かったのである。
他のハイエルフたちは、魔吸具は2、3回程度で魔力を抽出してしまい、オークとの相手をさせるのだが、未だこのフリックと名乗った、シルヴァンエルフは、コレで10本目となる魔吸具を填め込んでいるのであった。
「ヒック……ヒック……にー…さま…」
ずっと泣き濡れていた、フリックは意識をとうとう手放してしまったのである。
「意識を手放してしまったか…」
「それでも尚、魔力は抽出続けているみたいですね」
「そのようだな。いいか?全ての魔力を抽出するのだぞ」
この機会は滅多に無い事かも知れないことをデイルスは言うと、この事を王に報告するために王城へと向かったのだった。
「昨日のマーボートーフ、すっごく美味しかった」
辛いというよりも旨味の方が勝ったことから、ミレイはすっかりとシリウスの作る料理の虜へとなっていた。
「それは良かった。ただ、市販の素で悪いな…」
「シハンノモト…?何それ?」
「あー…こういうヤツ。コレを材料の中に入れて作るだけなんだ。他にも…」
シリウスは、昨日の夜、結局はなかなか起きてこなかったことから、ミレイの部屋にそっと夕飯用に麻婆豆腐とご飯と中華スープを置いたことから返した。
一応、冷めないように魔法である工夫を施したのだが。
「そうなんだ。結構、簡単そうだね」
「ああ。簡単だぞ。レシピに沿って作ればいいだけだからな」
「で、スライスは?朝から見ないけど…?」
「あー…あいつなら既に外にいるぞ。そういえば、ミレイ。あいつに魔法の特訓を付き合って貰うんだっけ?」
「そういえば、そう言ってた。で、シリウスさんは…その人面樹を生成するんだっけ?」
「ああ。昨日、スライスが木の枝を選別してくれたからな」
「そうなんだ…」
何でもその辺に転がっているモノでOKとはいえ、性格に問題がありそうなモノは生成に向いていないということから、スライスは一晩中、木の枝を選別していたということである。
まあ、俺も性格的に問題がありそうな人面樹は、個人的に作りたくないし。
昨日のようなミレイに暴言を吐くようなヤツは、絶対に要らないな。
「それじゃあ…また後で」
「ああ。余り無理はするなよ」
まだ、1日に1、2回が限度のミレイに向かって俺は言うと、昨日、スライスが選別してくれた木の枝を収納すると共に野菜・果物を中心に育てる場所へと向かったのである。
1
あなたにおすすめの小説
ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者
哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。
何も成し遂げることなく35年……
ついに前世の年齢を超えた。
※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。
※この小説は他サイトにも投稿しています。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?
山咲莉亜
ファンタジー
ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。
だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。
趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?
ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。
※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる