抽選結果は大魔王だったので、剣と魔法と平和と欲に溢れた異世界で、のんびりとスローライフしたいと思います。

蒼樹 煉

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本編_前編_

第35話

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「抽出は順調ですかね…」
昨夜からグズグズと泣き濡れている、フリックを見ながら、デイルスは呟いた。
「ええ。他のハイエルフよりもその何倍かと思います」
「さすがはシルヴァンエルフ…か」
未だ魔吸具からフリックの魔力を抽出していることから、カーツは返したのである。
エルフから魔力を抽出し、その魔力を用いながら強力な魔導具を造り、他国へと高く売ることで、ラグーン王国は成り立っているのだ。
「だが、油断は禁物だぞ。いつ、ここを知られるか分からないからな…」
今は王であるカイシェイドは、昨日と狩ったばかりのハイエルフを味見していることから、警備は怠るなとデイルスは言った。
「はい。承知しております」
「しかし…このガキ。とてつもない魔力だな」
シルヴァンエルフは、絶滅危惧種という種族の中でも更に“女”のエルフであることから、並大抵の魔力では無かったのである。
他のハイエルフたちは、魔吸具は2、3回程度で魔力を抽出してしまい、オークとの相手をさせるのだが、未だこのフリックと名乗った、シルヴァンエルフは、コレで10本目となる魔吸具を填め込んでいるのであった。
「ヒック……ヒック……にー…さま…」
ずっと泣き濡れていた、フリックは意識をとうとう手放してしまったのである。
「意識を手放してしまったか…」
「それでも尚、魔力は抽出続けているみたいですね」
「そのようだな。いいか?全ての魔力を抽出するのだぞ」
この機会は滅多に無い事かも知れないことをデイルスは言うと、この事を王に報告するために王城へと向かったのだった。





「昨日のマーボートーフ、すっごく美味しかった」
辛いというよりも旨味の方が勝ったことから、ミレイはすっかりとシリウスの作る料理の虜へとなっていた。
「それは良かった。ただ、市販の素で悪いな…」
「シハンノモト…?何それ?」
「あー…こういうヤツ。コレを材料の中に入れて作るだけなんだ。他にも…」
シリウスは、昨日の夜、結局はなかなか起きてこなかったことから、ミレイの部屋にそっと夕飯用に麻婆豆腐とご飯と中華スープを置いたことから返した。
一応、冷めないように魔法である工夫を施したのだが。
「そうなんだ。結構、簡単そうだね」
「ああ。簡単だぞ。レシピに沿って作ればいいだけだからな」
「で、スライスは?朝から見ないけど…?」
「あー…あいつなら既に外にいるぞ。そういえば、ミレイ。あいつに魔法の特訓を付き合って貰うんだっけ?」
「そういえば、そう言ってた。で、シリウスさんは…その人面樹を生成するんだっけ?」
「ああ。昨日、スライスが木の枝を選別してくれたからな」
「そうなんだ…」

何でもその辺に転がっているモノでOKとはいえ、性格に問題がありそうなモノは生成に向いていないということから、スライスは一晩中、木の枝を選別していたということである。
まあ、俺も性格的に問題がありそうな人面樹は、個人的に作りたくないし。
昨日のようなミレイに暴言を吐くようなヤツは、絶対に要らないな。

「それじゃあ…また後で」
「ああ。余り無理はするなよ」

まだ、1日に1、2回が限度のミレイに向かって俺は言うと、昨日、スライスが選別してくれた木の枝を収納すると共に野菜・果物を中心に育てる場所へと向かったのである。





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