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第二部 第三章
石油製品開発
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その日昭弥は、郊外にあるある部門を訪れた。
ただ、敷地の外にいても中から異様な異臭がする部門だった。
彼らが行っているのは、アクスムで採取された石油の研究、特に分留と製品生産の研究を行っている石油化学研究所だ。
研究所内には、様々な形のガラス製品、フラスコ、試験管、ガラス管が、前衛芸術のように複雑に構成され、研究が進んでいた。
実はガラスは、加工し易く、硬いのだ。割れやすいという先入観はあるが、衝撃に弱いだけで一定以上の力が一箇所に集中しない限り割れることは無い。また、あらゆる薬品に対して化学反応を行わない、あるいは起こしにくいので、化学製品の製造現場でも使われている。
昭弥がガラス工場を作った理由に化学製品の研究製造のためもあった。
その中心である研究所の責任者カリオストロに尋ねた。
「出来はどうだい?」
「少しずつ進んでいるといった状況です」
彼は躊躇いがちに答えた。
現在、石油化学研究所は王国鉄道グループの中で、最も赤字を出している部門だった。
理由としては、碌な製品が出来上がらず売れていないからだ。
二一世紀の世界では、石油を持っている国が豊かなのは当然だと思っている人が大多数だろう。
だが、この世界では違う。
石油は発見されたばかりで、使用される事が殆ど無い。
精々アスファルトが鏃の接着剤に使われたり、木材の防腐剤になったり、船の防水に使われるくらいだ。
原油は、ガス、ガソリン、灯油、軽油、重油、アスファルトの混成物で成り立っており、それらを熱して分留することでそれぞれの製品が出来る。
その分留の過程を行う機械の製造が進んでおらず開発経費ばかりかかっていた。
度々廃止が検討されていたが、昭弥の反対によりそのまま残っていた。故に昭弥最初の大きな失敗になるのではないかと、心配すると共に期待する声が一部で囁かれていた。
「人をもっと寄越して欲しいのですが」
「送りたいんだけどね」
二人はそう呟いたが、無理だと言うこともわかっていた。
理由は簡単。この世界で石油を研究している人間が殆どいないからだ。
そのため作業が全然進まない。
「誰でも良いという訳には行かない」
下手な人物に任せたら研究費を取られるだけ取られて逃げられるのがオチだ。
錬金術師にはそういった手合いが少なくない。
手品や詐欺を行いスポンサーから金をむしり取って逃げる人物はこの世界でも前の世界でもいる。
水ガソリン事件というのを知っているだろうか。
ある国の宰相が、自分の家の井戸の水をガソリンに変える技術を持った人物がいると話した。
それを聞いた軍の大臣がそれならウチでやってみようと考えた。部下達もやってみようと話して、その人物を呼んでやらせようとしていたが、燃料の専門家は詐欺だと言った。
水は酸素と水素の化合物であり、ガソリンは炭素と水素の化合物。炭素が無いのに炭化水素を作れる訳が無い。水からガソリンが作れるというのは非科学的である。
専門家の意見はもっともなものだった。
だが、上司は世の中は広く、水からガソリンが出来る技術があるといって、実験することを決定して、その人物を呼び実際に行わせた。
地下室での三日三晩かかって、ビーカー内の水をガソリンに変えた。
しかし、専門家は予め腕の良い製図工にビーカーを全て詳細にスケッチさせ、判別出来るようにさせていた。結果、ビーカーがすり替えられていることが解り、その人物は詐欺師として逮捕された。
ちなみに、宰相の名前は近衛文麿。
昭和史における重要人物で日中戦争頃の首相であり、日本の運命に深く関わっていた人物だ。
軍の大臣は、時の海軍大臣米内光政。海軍きっての重鎮で終戦工作に尽力する人物だ。
で、実験を行おうとした部下とは、当時海軍次官だった山本五十六、大西瀧治郎、井上美成など後の太平洋戦争で活躍する名だたる海軍士官達だった。
化学の知識が少なかったという事もあるが、彼らの様な人物、昭和の時代に入ってさえ、いや何時の時代でも似たような詐欺を行う人物がいるということだ。
だからこそ昭弥も慎重に研究を託せる人物を探していた。
幸いカリオストロは真剣に石油の研究を行っている人物で、信頼のおける錬金術師で彼の実験も科学的なものであり、昭弥は信頼していた。
「取締役会でも吊されているよ。石油以外でも良いじゃないかって」
実は石油が無くても、やっていけるというのも事実だ。
主に原油を使った油は、鉄道では機関車の潤滑油と灯りとしての灯油ぐらいだった。
その程度なら、植物油、オリーブや菜種、椿などを栽培したら採れる。便秘直しの薬として使われるヒマシ油も有効だ。実際、ヒマシ油は日本で航空エンジンの潤滑油として使われ、昭和の初期まで使われていた。
大豆油も多い。北で採れる大豆を買い取り、絞れば油になる。更に大豆の絞りかすは畜産物の餌として最良であり、資料として売ることも出来る優秀な商品だ。
他にも動物性の油も使われている。
マスやサケなど、寒地で生きる最中の油は、氷点下でも凍らないため機械時計の潤滑油として今でも重宝されている。
何よりクジラから捕れる鯨油が幅を効かせている。ランプの油だけで無く機械の潤滑油としても使える。有名なところではサターンⅤ型、アポロを月へ送ったロケットのエンジンタービンの潤滑に使われた。
まだ石油化学で出来た潤滑油に信頼性が無かったために、それまで多用され、信頼性のある鯨油由来の潤滑油が使われたのだ。
このように、植物、動物の大量の油の供給源があるため石油からわざわざ油を採る必要は無いのがこの世界の常識だった。
「それに売り込み先がウチだけだしね」
何より大きいのは、利用者がほぼゼロということだ。
石油製品というものが無い世界で、それを使う人など皆無と言って良い。
買い手の無い商品など商品ではない。
「まあ、何とか、油とアスファルト、ガスに分離することは出来たんですけど、何に使えば良いのか」
「ただ重油を使ったボイラーの試作品が出来ました。現在試験運転中で上手く行けば製品化出来ます。使ってくれる人がいればですが」
カリオストロが、苦笑しつつ答えたとき、外で爆発が起こった。
「またか」
「ええ、あれをどうしようかと」
昭弥は、複雑な思いでそれを見つめた。
ほぼ透明な、透き通る液体で、表面からゆらゆらと湯気のように揺れている。特徴的な刺激臭で、簡単に火が着き爆発する。
「ガソリンは色々使えるんだけどね」
問題としているのはガソリンだった。
石油精製時に必ず出てくる製品でこの扱いに錬金術師は頭を悩ましていた。
「言われたとおり可能な限り保管していますが、限界があります。捨てなければならないんですが」
車の愛好者などから血涙を流しながら抗議されるような台詞を錬金術師は言った。
だが、これには仕方のない面がある。
現代ならガソリンエンジンの燃料になるが、ガソリンエンジンの無いこの世界では使い道が無いのだ。
そして、勝手に気化して一寸した火で爆発炎上するガソリンは厄介な産廃でしか無く、川に捨てるか燃やして焼却するしかない。
研究のために利用されているが、ごく少数で、膨大な量が捨てられていた。
いくら有用と分かっていても有効活用出来る手段が存在しなければ無価値、あるいは害悪と判断されてしまう。
生産を止めようにも原油からの石油製品は連産品であり、何種類もの石油製品が同時に作られてしまう。
連産品とは一つの材料から複数の製品が出来ることだ。
例えばある原油を精製すると一割が重油、二割がガソリン、三割が灯油、残りがガスやアスファルトとしよう。灯油を得ようと精製したら、必ず同じ比率で重油やガソリンが出来てしまう。
重油は欲しいけどガソリンはいらないという状況でも、重油を精製すれば必ず倍の量のガソリン、三倍の量の灯油、五倍の量のガスとアスファルトが出来てしまい、その処理が必要となる。
なので現在精製すると必ず出てくる上、使い道が無く、直ぐに気化して爆発しやすいガソリンは厄介者の扱いを受けていた。
「それに関しては何とか出来そうだ。もう少し待っていてくれ」
そういって昭弥は研究所を後にした。
ただ、敷地の外にいても中から異様な異臭がする部門だった。
彼らが行っているのは、アクスムで採取された石油の研究、特に分留と製品生産の研究を行っている石油化学研究所だ。
研究所内には、様々な形のガラス製品、フラスコ、試験管、ガラス管が、前衛芸術のように複雑に構成され、研究が進んでいた。
実はガラスは、加工し易く、硬いのだ。割れやすいという先入観はあるが、衝撃に弱いだけで一定以上の力が一箇所に集中しない限り割れることは無い。また、あらゆる薬品に対して化学反応を行わない、あるいは起こしにくいので、化学製品の製造現場でも使われている。
昭弥がガラス工場を作った理由に化学製品の研究製造のためもあった。
その中心である研究所の責任者カリオストロに尋ねた。
「出来はどうだい?」
「少しずつ進んでいるといった状況です」
彼は躊躇いがちに答えた。
現在、石油化学研究所は王国鉄道グループの中で、最も赤字を出している部門だった。
理由としては、碌な製品が出来上がらず売れていないからだ。
二一世紀の世界では、石油を持っている国が豊かなのは当然だと思っている人が大多数だろう。
だが、この世界では違う。
石油は発見されたばかりで、使用される事が殆ど無い。
精々アスファルトが鏃の接着剤に使われたり、木材の防腐剤になったり、船の防水に使われるくらいだ。
原油は、ガス、ガソリン、灯油、軽油、重油、アスファルトの混成物で成り立っており、それらを熱して分留することでそれぞれの製品が出来る。
その分留の過程を行う機械の製造が進んでおらず開発経費ばかりかかっていた。
度々廃止が検討されていたが、昭弥の反対によりそのまま残っていた。故に昭弥最初の大きな失敗になるのではないかと、心配すると共に期待する声が一部で囁かれていた。
「人をもっと寄越して欲しいのですが」
「送りたいんだけどね」
二人はそう呟いたが、無理だと言うこともわかっていた。
理由は簡単。この世界で石油を研究している人間が殆どいないからだ。
そのため作業が全然進まない。
「誰でも良いという訳には行かない」
下手な人物に任せたら研究費を取られるだけ取られて逃げられるのがオチだ。
錬金術師にはそういった手合いが少なくない。
手品や詐欺を行いスポンサーから金をむしり取って逃げる人物はこの世界でも前の世界でもいる。
水ガソリン事件というのを知っているだろうか。
ある国の宰相が、自分の家の井戸の水をガソリンに変える技術を持った人物がいると話した。
それを聞いた軍の大臣がそれならウチでやってみようと考えた。部下達もやってみようと話して、その人物を呼んでやらせようとしていたが、燃料の専門家は詐欺だと言った。
水は酸素と水素の化合物であり、ガソリンは炭素と水素の化合物。炭素が無いのに炭化水素を作れる訳が無い。水からガソリンが作れるというのは非科学的である。
専門家の意見はもっともなものだった。
だが、上司は世の中は広く、水からガソリンが出来る技術があるといって、実験することを決定して、その人物を呼び実際に行わせた。
地下室での三日三晩かかって、ビーカー内の水をガソリンに変えた。
しかし、専門家は予め腕の良い製図工にビーカーを全て詳細にスケッチさせ、判別出来るようにさせていた。結果、ビーカーがすり替えられていることが解り、その人物は詐欺師として逮捕された。
ちなみに、宰相の名前は近衛文麿。
昭和史における重要人物で日中戦争頃の首相であり、日本の運命に深く関わっていた人物だ。
軍の大臣は、時の海軍大臣米内光政。海軍きっての重鎮で終戦工作に尽力する人物だ。
で、実験を行おうとした部下とは、当時海軍次官だった山本五十六、大西瀧治郎、井上美成など後の太平洋戦争で活躍する名だたる海軍士官達だった。
化学の知識が少なかったという事もあるが、彼らの様な人物、昭和の時代に入ってさえ、いや何時の時代でも似たような詐欺を行う人物がいるということだ。
だからこそ昭弥も慎重に研究を託せる人物を探していた。
幸いカリオストロは真剣に石油の研究を行っている人物で、信頼のおける錬金術師で彼の実験も科学的なものであり、昭弥は信頼していた。
「取締役会でも吊されているよ。石油以外でも良いじゃないかって」
実は石油が無くても、やっていけるというのも事実だ。
主に原油を使った油は、鉄道では機関車の潤滑油と灯りとしての灯油ぐらいだった。
その程度なら、植物油、オリーブや菜種、椿などを栽培したら採れる。便秘直しの薬として使われるヒマシ油も有効だ。実際、ヒマシ油は日本で航空エンジンの潤滑油として使われ、昭和の初期まで使われていた。
大豆油も多い。北で採れる大豆を買い取り、絞れば油になる。更に大豆の絞りかすは畜産物の餌として最良であり、資料として売ることも出来る優秀な商品だ。
他にも動物性の油も使われている。
マスやサケなど、寒地で生きる最中の油は、氷点下でも凍らないため機械時計の潤滑油として今でも重宝されている。
何よりクジラから捕れる鯨油が幅を効かせている。ランプの油だけで無く機械の潤滑油としても使える。有名なところではサターンⅤ型、アポロを月へ送ったロケットのエンジンタービンの潤滑に使われた。
まだ石油化学で出来た潤滑油に信頼性が無かったために、それまで多用され、信頼性のある鯨油由来の潤滑油が使われたのだ。
このように、植物、動物の大量の油の供給源があるため石油からわざわざ油を採る必要は無いのがこの世界の常識だった。
「それに売り込み先がウチだけだしね」
何より大きいのは、利用者がほぼゼロということだ。
石油製品というものが無い世界で、それを使う人など皆無と言って良い。
買い手の無い商品など商品ではない。
「まあ、何とか、油とアスファルト、ガスに分離することは出来たんですけど、何に使えば良いのか」
「ただ重油を使ったボイラーの試作品が出来ました。現在試験運転中で上手く行けば製品化出来ます。使ってくれる人がいればですが」
カリオストロが、苦笑しつつ答えたとき、外で爆発が起こった。
「またか」
「ええ、あれをどうしようかと」
昭弥は、複雑な思いでそれを見つめた。
ほぼ透明な、透き通る液体で、表面からゆらゆらと湯気のように揺れている。特徴的な刺激臭で、簡単に火が着き爆発する。
「ガソリンは色々使えるんだけどね」
問題としているのはガソリンだった。
石油精製時に必ず出てくる製品でこの扱いに錬金術師は頭を悩ましていた。
「言われたとおり可能な限り保管していますが、限界があります。捨てなければならないんですが」
車の愛好者などから血涙を流しながら抗議されるような台詞を錬金術師は言った。
だが、これには仕方のない面がある。
現代ならガソリンエンジンの燃料になるが、ガソリンエンジンの無いこの世界では使い道が無いのだ。
そして、勝手に気化して一寸した火で爆発炎上するガソリンは厄介な産廃でしか無く、川に捨てるか燃やして焼却するしかない。
研究のために利用されているが、ごく少数で、膨大な量が捨てられていた。
いくら有用と分かっていても有効活用出来る手段が存在しなければ無価値、あるいは害悪と判断されてしまう。
生産を止めようにも原油からの石油製品は連産品であり、何種類もの石油製品が同時に作られてしまう。
連産品とは一つの材料から複数の製品が出来ることだ。
例えばある原油を精製すると一割が重油、二割がガソリン、三割が灯油、残りがガスやアスファルトとしよう。灯油を得ようと精製したら、必ず同じ比率で重油やガソリンが出来てしまう。
重油は欲しいけどガソリンはいらないという状況でも、重油を精製すれば必ず倍の量のガソリン、三倍の量の灯油、五倍の量のガスとアスファルトが出来てしまい、その処理が必要となる。
なので現在精製すると必ず出てくる上、使い道が無く、直ぐに気化して爆発しやすいガソリンは厄介者の扱いを受けていた。
「それに関しては何とか出来そうだ。もう少し待っていてくれ」
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