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外伝 ルテティア急行 殺人事件
車内晩餐会
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「どういう事なのだ!」
昭弥が自分の部屋へ戻る途中、食堂車の前で言い争いが起こっていた。
床屋が満員だったので、部屋でセバスチャンに髪を整えて貰う事にして急いで戻っていたのだが、とんだ障害だ。
しかも諍いを起こしたのはマイヤーと、賢人伯だった。
「あなたの持ち物に魔力の反応がありました。詳しく調べさせて貰います」
マイヤーさんが晩餐会の前に出席者の身体検査をしているようだ。迷惑の掛かることは止めて欲しいと言っているのだが
「馬鹿な、タダの視力を調整するためのものだ」
一方のナッサウ伯も出発前の落ち着いた雰囲気は何処へやら、何やら凄い剣幕でマイヤーからモノクルを奪われまいとしている。
「それについてはこちらで調べます。なので調べが終わるまで与らせて貰います」
「だめだ。集合写真の時は認められたではないか」
「あの時は駅構内に魔術師が多数いて直ぐにディスペルできるようになっていたが、車内だと最小限の人数で行わなくてはならない。少しの危険も看過できない」
頑なに拒否するようで膠着状態に陥っていた。
「何とか認められませんか?」
間を取りなすように昭弥が入って来た。
「ダメだ。どんな危険を及ぼすか分からない物を陛下の近くに置く訳にはいかない。中には呪いを発動させる物もあり、危険だ」
確かに危険だよな。
「ナッサウ伯どうか預けて貰えませんか? 視力でしたら補助に給仕を付けますし」
「……わかった」
昭弥が促しようやくナッサウ伯は受け入れ、親衛隊にモノクルを預けた。
「ありがとうございます」
「ところで、少し小用をしたいのだが、厠は何処だ」
ナッサウ伯は周りを見渡しながら尋ねた。
「? はい、こちらにありますが」
そう言って昭弥は、横にあるトイレの表札の描かれたドアを開けて見せた。
「……そこだったか。失礼」
そう言うとナッサウ伯はトイレに入り、鍵を閉めてしまった。
「何なんだよ」
思わぬ時間を取ってしまったが、解決して良かったと昭弥は思い部屋に寄ってからユリアの元に向かった。
「あら昭弥」
「エリザベス」
ダイヤモンド・スイートの前でユリアの専属メイド、そして昭弥の姉か妹であるエリザベス・ラザフォードに会った。
既に正装を着てセバスチャンに手伝って貰って髪も整えている。
来賓は全員食堂車に入っていることを確認。
ユリアの方の客人の挨拶も終わっており、あとは主賓であるユリアを連れ出すだけなのだが。
「色々お怒りですよ。連れてこられた後、放って置かれて、会いたくない帝国の駐在武官補と会って形式的な挨拶をして、本当に不満そうでしたよ」
「済みません」
「今度こそきちんとして下さい。さあ、連れ出して下さい」
そう言って後ろから突き飛ばすように昭弥を部屋に入れた。
「遅いですよ」
部屋に入ってきた昭弥に向かってユリアは言った。
「申し訳ありません」
深々と頭を下げて応える。
「きちんと相手をして下さい」
少しふて腐れたような態度で接するユリアに昭弥は困ってしまった。
仕方なくユリア付のメイドであり、義妹か義姉のエリザベスにすがるように視線を向けると、グイッとクビを捻った。
そのことに数瞬、戸惑ったが直ぐに理解してユリアの元に行き、彼女の手を取った。
「!」
突然、昭弥に手を持たれてユリアは戸惑った。
「先ほどは申し訳ありません。しかし、晩餐会の時刻が迫っております。エスコートしますのでどうか、ご来場を」
「は、はい」
するとユリアは言われるがままに立ち上がり、昭弥のエスコートで食堂車に向かって行った。
勇者であるため、前に進むことに、先頭を行くことになれているユリアだったが、手を取られてエスコートされることには慣れていない。
そのことを知っているエリザベスは、あえて強引に進んで行く様に促した。
効果は覿面。
いつになく従順になったユリアは、昭弥と一緒に食堂車に向かった。
「正直になれよ」
二人の姿を見てエリザベスは呆れた。やれやれという気分で二人の後に続いた。
食堂車でメイドとしての仕事があるし、脇で滂沱の涙を流しハンカチの端を噛んでいる親衛隊長の相手などしたくなかったからだ。
「女王陛下、ご入場!」
執事長の紹介と共に招待客が一斉に起立し、陛下とエスコートしてきた昭弥を迎えた。
主賓の席にユリアが座ると、全員が一斉に着席した。
ちなみにこの場にいるのは、この列車の全乗客四〇名だ。
一四名ほど定員に足りないが、残りはユリアが乗ることになった為、護衛の親衛隊や召使いが乗ることになった為、いくつかの部屋が押さえられたからだ。
周りにいる給仕達が、次々とワインを注いで行く。全員に行き渡るとユリアが挨拶を始めた。
「皆さん、今宵はルテティアの新たな歴史の一ページとなる場面にいらして頂き、ありがとうございます。このルテティア急行は帝都と王都を結ぶだけでなく。王国の更なる発展をもたらしてくれることでしょう。では、輝かしい歴史が王国とこの列車に訪れる事を祈り、乾杯いたしましょう」
全員がワイングラスを掴み立ち上がった。
「乾杯!」
「乾杯!」
全員の唱和でグラスが掲げられ、一気に飲み干す。ブドウジュースみたいにブドウをそのまま搾ってワインにしたような甘くて飲みやすいワインだったので、昭弥でもすんなりと飲めた。
そして、晩餐が始まった。
まずは前菜として、野菜のココット煮。ダッチオーブンのような鍋に入れてコトコト煮込んだ野菜なのだが、これが美味い。野菜の旨味をこれでもかというくらい引き出しており、何もせずとも野菜の本来の旨味が口に広がる。
続いてはマスの切り身の燻製の蒸し煮。硬くなった燻製を蒸して柔らかくして出す物だが、柔らかくて美味しい。
シチューは野菜たっぷりのクリームシチュー。様々な野菜が中に入って新鮮な牛乳で作り出した料理は美味しい。
肉料理はロースのミディアム。ただ単に焼いただけだが焼き加減が素晴らしい。また出てきた肉汁を元に赤ワインを加えて作られたソースが掛かっており、肉と交わり絶妙のマリアージュとなっている。
ちなみに宴会だが、ルテティアでは結構長い時間行われる。シンデレラでは真夜中の十二時まで舞踏会が続いていたが、三時過ぎまでやる事も多い。
宴会も興が乗れば夜明けまで続くこともある。
この宴会も十二時近くになっても終わりが見えなかった。
昭弥としては早々に切り上げると考えていたのだが、何故か興がのってしまって終わりが見えない。
予想より、長いが幸い料理や酒は途絶えること無くやって来る。この下にある厨房で何人ものシェフが、大型冷蔵庫の中にある食材を料理し、酒を提供してくれているからだ。
総二階建てにする事で、厨房と食材庫を広く効率よく使えるようにして正解だった。
おかげで予想外に長い晩餐会をこなすことが出来た。
「はははは、素晴らしい宴ですな」
ワインが入ってくるとやけに上機嫌の人物がいた。
アルプス周辺に領地を持つホプキンス男爵だ。
「鉄道の発展は著しいものですが、我が領地も発展しつつありますぞ。昭弥卿が協力してくれるのですから」
「え?」
思わず昭弥は疑問が浮かんだ。
確かに契約をしているが、協力といった関係までに入っていない。契約相手のことをパートナーだと言い張っているのだろうか。
有名人と一寸した顔見知りなのに大親友だと話す人間がいるようにこのホプキンス男爵もその手の人間なのだろうか。
「いや、我が領の重要性から王国鉄道全面協力の下、鉄道を敷き車両を何台も提供。多くの列車を走らせてくれるそうで。工事開始から一年以内には全面開通でしょう」
「え、そんな事ありませんが」
確か正当な契約の元で行っている。
鉄道の普及に努めているが、健全な発展を行う為に販売は適正価格で行っている。それでも十分な安価な値段だが、その後の管理整備費で回収することになっている。
一方的に安い値段で行う事はない。
それに、短期間で建設してもまともな線路にならない。確かに建設期間は短いがきちんと地形や地質を調べてからだ。専門チームは、主に幹線の調査に忙しく、他の貴族領への建設は遅れがちだ。
「いや、確かに契約しているが」
「まさか、私は知りませんよ」
徐々に険悪な雰囲気になってくる。
昭弥はどういう事か男爵に尋ねて確かめようとした。
が、その時車掌長が駆け寄ってきて昭弥に耳打ちした。
「済みません。急用が出来ました。席を外させて貰います。ハンベール、ホプキンス男爵を頼む」
「一寸待て!」
ホプキンス男爵が止めるのも聞かず、昭弥は車掌長と列車前方へ移動した。
幾つもの車両を通りすぎて、車掌長の部屋のある二号車へ。そして、車掌長の部屋で持ってこられた通信文を読んだ
発:帝都警視庁特別捜査部特別捜査本部 宛:ルテティア急行責任者
本文:本日、王立銀行にて銀行課長が殺害された。至急顧客であり乗客であるアドリアン・タニー氏の照会を至急されたし
昭弥が自分の部屋へ戻る途中、食堂車の前で言い争いが起こっていた。
床屋が満員だったので、部屋でセバスチャンに髪を整えて貰う事にして急いで戻っていたのだが、とんだ障害だ。
しかも諍いを起こしたのはマイヤーと、賢人伯だった。
「あなたの持ち物に魔力の反応がありました。詳しく調べさせて貰います」
マイヤーさんが晩餐会の前に出席者の身体検査をしているようだ。迷惑の掛かることは止めて欲しいと言っているのだが
「馬鹿な、タダの視力を調整するためのものだ」
一方のナッサウ伯も出発前の落ち着いた雰囲気は何処へやら、何やら凄い剣幕でマイヤーからモノクルを奪われまいとしている。
「それについてはこちらで調べます。なので調べが終わるまで与らせて貰います」
「だめだ。集合写真の時は認められたではないか」
「あの時は駅構内に魔術師が多数いて直ぐにディスペルできるようになっていたが、車内だと最小限の人数で行わなくてはならない。少しの危険も看過できない」
頑なに拒否するようで膠着状態に陥っていた。
「何とか認められませんか?」
間を取りなすように昭弥が入って来た。
「ダメだ。どんな危険を及ぼすか分からない物を陛下の近くに置く訳にはいかない。中には呪いを発動させる物もあり、危険だ」
確かに危険だよな。
「ナッサウ伯どうか預けて貰えませんか? 視力でしたら補助に給仕を付けますし」
「……わかった」
昭弥が促しようやくナッサウ伯は受け入れ、親衛隊にモノクルを預けた。
「ありがとうございます」
「ところで、少し小用をしたいのだが、厠は何処だ」
ナッサウ伯は周りを見渡しながら尋ねた。
「? はい、こちらにありますが」
そう言って昭弥は、横にあるトイレの表札の描かれたドアを開けて見せた。
「……そこだったか。失礼」
そう言うとナッサウ伯はトイレに入り、鍵を閉めてしまった。
「何なんだよ」
思わぬ時間を取ってしまったが、解決して良かったと昭弥は思い部屋に寄ってからユリアの元に向かった。
「あら昭弥」
「エリザベス」
ダイヤモンド・スイートの前でユリアの専属メイド、そして昭弥の姉か妹であるエリザベス・ラザフォードに会った。
既に正装を着てセバスチャンに手伝って貰って髪も整えている。
来賓は全員食堂車に入っていることを確認。
ユリアの方の客人の挨拶も終わっており、あとは主賓であるユリアを連れ出すだけなのだが。
「色々お怒りですよ。連れてこられた後、放って置かれて、会いたくない帝国の駐在武官補と会って形式的な挨拶をして、本当に不満そうでしたよ」
「済みません」
「今度こそきちんとして下さい。さあ、連れ出して下さい」
そう言って後ろから突き飛ばすように昭弥を部屋に入れた。
「遅いですよ」
部屋に入ってきた昭弥に向かってユリアは言った。
「申し訳ありません」
深々と頭を下げて応える。
「きちんと相手をして下さい」
少しふて腐れたような態度で接するユリアに昭弥は困ってしまった。
仕方なくユリア付のメイドであり、義妹か義姉のエリザベスにすがるように視線を向けると、グイッとクビを捻った。
そのことに数瞬、戸惑ったが直ぐに理解してユリアの元に行き、彼女の手を取った。
「!」
突然、昭弥に手を持たれてユリアは戸惑った。
「先ほどは申し訳ありません。しかし、晩餐会の時刻が迫っております。エスコートしますのでどうか、ご来場を」
「は、はい」
するとユリアは言われるがままに立ち上がり、昭弥のエスコートで食堂車に向かって行った。
勇者であるため、前に進むことに、先頭を行くことになれているユリアだったが、手を取られてエスコートされることには慣れていない。
そのことを知っているエリザベスは、あえて強引に進んで行く様に促した。
効果は覿面。
いつになく従順になったユリアは、昭弥と一緒に食堂車に向かった。
「正直になれよ」
二人の姿を見てエリザベスは呆れた。やれやれという気分で二人の後に続いた。
食堂車でメイドとしての仕事があるし、脇で滂沱の涙を流しハンカチの端を噛んでいる親衛隊長の相手などしたくなかったからだ。
「女王陛下、ご入場!」
執事長の紹介と共に招待客が一斉に起立し、陛下とエスコートしてきた昭弥を迎えた。
主賓の席にユリアが座ると、全員が一斉に着席した。
ちなみにこの場にいるのは、この列車の全乗客四〇名だ。
一四名ほど定員に足りないが、残りはユリアが乗ることになった為、護衛の親衛隊や召使いが乗ることになった為、いくつかの部屋が押さえられたからだ。
周りにいる給仕達が、次々とワインを注いで行く。全員に行き渡るとユリアが挨拶を始めた。
「皆さん、今宵はルテティアの新たな歴史の一ページとなる場面にいらして頂き、ありがとうございます。このルテティア急行は帝都と王都を結ぶだけでなく。王国の更なる発展をもたらしてくれることでしょう。では、輝かしい歴史が王国とこの列車に訪れる事を祈り、乾杯いたしましょう」
全員がワイングラスを掴み立ち上がった。
「乾杯!」
「乾杯!」
全員の唱和でグラスが掲げられ、一気に飲み干す。ブドウジュースみたいにブドウをそのまま搾ってワインにしたような甘くて飲みやすいワインだったので、昭弥でもすんなりと飲めた。
そして、晩餐が始まった。
まずは前菜として、野菜のココット煮。ダッチオーブンのような鍋に入れてコトコト煮込んだ野菜なのだが、これが美味い。野菜の旨味をこれでもかというくらい引き出しており、何もせずとも野菜の本来の旨味が口に広がる。
続いてはマスの切り身の燻製の蒸し煮。硬くなった燻製を蒸して柔らかくして出す物だが、柔らかくて美味しい。
シチューは野菜たっぷりのクリームシチュー。様々な野菜が中に入って新鮮な牛乳で作り出した料理は美味しい。
肉料理はロースのミディアム。ただ単に焼いただけだが焼き加減が素晴らしい。また出てきた肉汁を元に赤ワインを加えて作られたソースが掛かっており、肉と交わり絶妙のマリアージュとなっている。
ちなみに宴会だが、ルテティアでは結構長い時間行われる。シンデレラでは真夜中の十二時まで舞踏会が続いていたが、三時過ぎまでやる事も多い。
宴会も興が乗れば夜明けまで続くこともある。
この宴会も十二時近くになっても終わりが見えなかった。
昭弥としては早々に切り上げると考えていたのだが、何故か興がのってしまって終わりが見えない。
予想より、長いが幸い料理や酒は途絶えること無くやって来る。この下にある厨房で何人ものシェフが、大型冷蔵庫の中にある食材を料理し、酒を提供してくれているからだ。
総二階建てにする事で、厨房と食材庫を広く効率よく使えるようにして正解だった。
おかげで予想外に長い晩餐会をこなすことが出来た。
「はははは、素晴らしい宴ですな」
ワインが入ってくるとやけに上機嫌の人物がいた。
アルプス周辺に領地を持つホプキンス男爵だ。
「鉄道の発展は著しいものですが、我が領地も発展しつつありますぞ。昭弥卿が協力してくれるのですから」
「え?」
思わず昭弥は疑問が浮かんだ。
確かに契約をしているが、協力といった関係までに入っていない。契約相手のことをパートナーだと言い張っているのだろうか。
有名人と一寸した顔見知りなのに大親友だと話す人間がいるようにこのホプキンス男爵もその手の人間なのだろうか。
「いや、我が領の重要性から王国鉄道全面協力の下、鉄道を敷き車両を何台も提供。多くの列車を走らせてくれるそうで。工事開始から一年以内には全面開通でしょう」
「え、そんな事ありませんが」
確か正当な契約の元で行っている。
鉄道の普及に努めているが、健全な発展を行う為に販売は適正価格で行っている。それでも十分な安価な値段だが、その後の管理整備費で回収することになっている。
一方的に安い値段で行う事はない。
それに、短期間で建設してもまともな線路にならない。確かに建設期間は短いがきちんと地形や地質を調べてからだ。専門チームは、主に幹線の調査に忙しく、他の貴族領への建設は遅れがちだ。
「いや、確かに契約しているが」
「まさか、私は知りませんよ」
徐々に険悪な雰囲気になってくる。
昭弥はどういう事か男爵に尋ねて確かめようとした。
が、その時車掌長が駆け寄ってきて昭弥に耳打ちした。
「済みません。急用が出来ました。席を外させて貰います。ハンベール、ホプキンス男爵を頼む」
「一寸待て!」
ホプキンス男爵が止めるのも聞かず、昭弥は車掌長と列車前方へ移動した。
幾つもの車両を通りすぎて、車掌長の部屋のある二号車へ。そして、車掌長の部屋で持ってこられた通信文を読んだ
発:帝都警視庁特別捜査部特別捜査本部 宛:ルテティア急行責任者
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