ビキニに恋した男

廣瀬純七

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二人の想い

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夏の夕方、博美と彩は、近所の川沿いに並んで座っていた。涼しい風が二人の間を通り抜け、彼女たちの持つ小さな缶ジュースの冷たさと心地よく混ざり合う。

「昨日は楽しかったね。」博美が言いながら、そっと笑顔を彩に向けた。

「うん。本当に。ビキニもすごく似合ってたよ、博美。」彩は言葉を返した。

博美は嬉しそうに笑ったが、少し黙った後、ぽつりと話し始めた。  
「彩って、今幸せ?」

その問いに彩は少し驚いた表情を見せた。川の水面に反射する夕日の光が、博美の真剣な顔をぼんやりと照らしている。彩は一瞬考え込んでから、静かに頷いた。  
「うん。私は今、博美が隣にいてくれるだけで十分幸せだよ。でも…」彩の声が少し小さくなる。「博美はどう?」

博美はその質問を待っていたかのように、少しだけ目を細めた。  
「私も幸せ。彩と一緒にいられて、こうやって普通の生活を送れるのが何よりも大切だって思う。」そして、小さく息をついて続けた。「でも、正直言うと、最初はすごく不安だったの。自分がこの決断をして、彩に受け入れてもらえるかどうか。」

「そんなこと、考えなくていいのに。」彩はすぐに言った。「博美がどんな姿でいても、私は博美を愛してる。それだけで十分だよ。」

その言葉を聞いた博美の目が潤んでいるのに気づいた彩は、驚いて博美の手を握った。「博美?」

「ごめん、こんなことで泣くなんて。」博美は涙を拭きながら微笑んだ。「でも、彩の言葉が本当に嬉しくて。」

「博美…」彩も少し目を潤ませながら言った。「これからもずっと一緒にいようね。」

博美は強く頷き、彩の肩に頭を寄せた。二人の間に漂う空気は、これまで以上に暖かく穏やかなものだった。

遠くで虫の声が響き、街灯が少しずつ灯り始める川沿い。二人の手はしっかりと繋がり、離れることなくその場に座り続けた。

それは、言葉では表せない絆が二人をさらに強く結びつけた瞬間だった。
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