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社員研修の初日
しおりを挟む翌朝、結衣——いや、健一は少し緊張しながらオフィスの入り口に立っていた。
昨日の出来事は夢ではなく、現実——いや、**バーチャルの世界の現実**だった。
今日から本格的に業務研修が始まる。今の自分は「木村健一」ではなく、「中村結衣」として働くのだ。
**「まるで本当に転生でもしたみたいだな……。」**
そんなことを考えながら、深呼吸をしてオフィスに足を踏み入れた。
### **◆**
「皆さん、新入社員の中村結衣さんです。」
部屋の前方に立ち、人事担当の女性が紹介する。
オフィスにいる社員たちの視線が一斉に結衣へと向けられる。
「おお、新人さんか!」
「中村さん、よろしくね!」
「可愛いなー、頑張って!」
**「うっ……!?」**
こんなに注目されるのは久しぶりだ。しかも、いつもと違うのは**「女性として」**見られているということ。
何とも言えない緊張感を抱えながら、結衣は少しぎこちない笑顔を浮かべて頭を下げた。
「よ、よろしくお願いします!」
女性らしく柔らかい声がオフィスに響く。その瞬間、改めて自分が「結衣」としてここにいることを実感した。
**——本当に俺は、今、女性なんだ。**
### **◆**
「じゃあ、中村さん。君の指導担当は高橋和樹だから、これから彼について研修を受けてもらうよ。」
「高橋……さん?」
「おう、俺のことだ。」
声のする方を振り向くと、そこには長身でスーツの似合う男性が立っていた。
精悍な顔つきに、やや鋭い目元。しかし、どこか親しみやすい雰囲気もある。
「高橋和樹だ。今日からお前の指導担当だから、よろしくな。」
結衣の前に立つと、彼は自然な笑顔を見せた。
「あ、はい。よろしくお願いします!」
握手を求められ、結衣も慌てて手を差し出す。
**——!?**
手を握られた瞬間、思った以上に力強くて驚いた。
**「男の人の手って、こんなに大きくてしっかりしてるんだ……!」**
今まで意識したことがなかった感覚に、思わずどぎまぎしてしまう。
「大丈夫か? 緊張してる?」
「あっ、い、いえ! そんなことは……!」
必死に取り繕うが、高橋はクスッと笑った。
「まあ最初は緊張するよな。でも安心しろ、ちゃんと教えてやるから。」
「ありがとうございます……!」
自然と頭を下げると、長い髪がサラッと肩に落ちた。
この仕草すら、自分ではまだ慣れないものだった。
**——本当に、俺はこの世界でやっていけるのか?**
そんな不安を抱えながらも、結衣の研修はスタートした。
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