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そっくりな人がいる理由
しおりを挟むその日の研修が終わっても、結衣の頭の中は**「あの男性」**のことでいっぱいだった。
**(俺にそっくりな男……一体、誰なんだ……?)**
バーチャルの世界では、**リアルの人間が操作しているアバターと、AIが動かしているキャラクターが混在している**。
つまり、あの男が本当に「リアルの自分」と関係があるのか、それとも単なるAIなのかも分からない。
「……考えてても仕方ないか。」
とりあえず社員寮に帰ると、ラウンジにいた**玲奈先輩**が笑顔で迎えてくれた。
「結衣ちゃん、おかえり!」
「ただいまです……。」
「ん? なんか浮かない顔してるね?」
玲奈先輩は、すぐに結衣の表情の変化に気づいた。
「……実は、今日会社で**リアルの自分にそっくりな男の人**を見かけたんです。」
「へえ、それは気になるね。」
「でも、こんな偶然ってあるんですか? まるでリアルの俺をコピーしたみたいで……。」
結衣が困惑した表情を見せると、玲奈先輩は「なるほどね」という顔をして微笑んだ。
「それなら、おかしくないわよ。」
「えっ?」
「だって、**会社はあなたのリアルな体のデータを取ってるんだから。**」
「……どういうことですか?」
「このバーチャル研修のシステムって、参加者の体の詳細なデータをスキャンして、**よりリアルな体験ができるように調整**してるのよ。だから、リアルのあなたにそっくりな人がいても不思議じゃないの。」
「……!」
言われてみれば、確かにバーチャルの世界に来てから、自分の体の感覚は**驚くほどリアルだった**。
体重の感覚も、体の動きも、まるで本当に自分の体のようにスムーズ。
それだけじゃない——
**生理や体調の変化まで完全に再現されているのだから、リアルの自分そっくりな人物がいるとしても不思議じゃないのかもしれない。**
「じゃあ、あの人はAI……なんですか?」
「それは分からないわ。でも、この世界にはリアルの人間が操作しているアバターもいるし、AIもいる。どっちにしても、あなたと何か関係があるかもしれないわね。」
玲奈先輩は、意味ありげに微笑んだ。
「……そっか。」
結衣は、改めて考え込んだ。
**(あの男は、一体何者なんだ?)**
単なる偶然なのか、それとも何か意図があるのか——
このバーチャルの世界は、思っていた以上に**「現実」に近いものなのかもしれない。**
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