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妹になった父
しおりを挟む数日が経ち、翔太と母親はようやく平穏な日々を取り戻していた。二人が入れ替わった奇妙な出来事もなんとか乗り越え、これで終わりだろうと安心していた。しかし、家族全員が次なる波乱を予期していなかった。
―――
その朝、花はいつも通り目を覚ました。だが、起き上がった瞬間、体の重さに違和感を覚える。視界もいつもとは違い、周りのものがなんだか小さく見えた。
「え?なんか変だ…」
ぼんやりとした頭で自分の体を確認しようと、花は腕を見た。そこで目に入ったのは、自分の華奢な手ではなく、がっしりとした大人の男の手だった。花は慌ててベッドから飛び起き、鏡を見に駆け込んだ。
そこに映っていたのは、父親の姿だった。
「嘘…これって…お父さんの体!?」
花は驚きのあまり声を上げた。母親や兄との入れ替わり事件を思い出し、今度は自分が父親の体に入れ替わってしまったことに気づいた。
「どうしよう…これは絶対まずい…」
---
一方、その頃、父親はいつも通りに起きようとした。しかし、目覚めた瞬間に、自分の体が妙に軽く、細く感じたことに気づく。ふと体を確認しようと手を伸ばすと、そこには若々しい女子の手があった。
「な、なんだ!?この手は…」
混乱した父親は、すぐに鏡を見に行き、花の姿が映っているのを見て絶句した。
「え、俺が…花になってる…!?なんでだ!?」
父親もまた、家族の中で起きた入れ替わり事件を思い出し、自分がその次のターゲットになったことを悟った。
---
リビングで、父親(花)と花(父親)は鉢合わせした。
「お父さん!?いや、花なの?」花(父親)が焦った声を上げた。
「俺だよ!花がこんなことになってるなんて…どうしてまたこんなことが起きたんだ!」父親(花)は深い困惑を浮かべながら、重苦しい声で言った。
「私だってわからないよ!でも、こんなことになって…どうすればいいの!?」
二人は顔を見合わせ、ただ混乱するばかりだった。
---
二人がどちらもパニックになっている最中、翔太と母親が朝食を作りながらリビングにやってきた。彼らはすぐに異変に気づいた。
「え、また入れ替わってる…?」翔太が驚愕の声を上げた。
「今度はお父さんと花が入れ替わったってことね…」母親もため息をついた。
「ちょっと待って、これどうするの?お父さん、今日は会社に行かなきゃいけないんじゃ…」花(父親)は焦り始めた。
「そ、そうだよ!大事な打ち合わせがあるんだ。俺が花として過ごすなんて無理だ!」父親(花)は必死に状況を理解しようとするが、全く解決策が見つからない。
翔太は頭を抱えた。「またこれかよ…もう俺たち家族、呪われてるんじゃないか?」
母親も深くうなずきながら、「でも、どうにかするしかないわね。今日はまたお互いの役割をやるしかないみたいね…」
---
こうして、再び奇妙な一日が始まった。花(父親)はスーツに着替え、父親として会社に向かうことになった。大人の世界で振る舞うなんて考えもしなかった花は、心臓が飛び出しそうなくらい緊張していた。
会社に着くと、周りの同僚たちが花を「父親」として接してくる。彼女は必死に父親らしく振る舞おうとするが、ビジネスの会話や専門用語が全く理解できない。
「今日はどうかしてるな…」上司が不思議そうに見てくる。
「え、ええ…ちょっと体調が悪くて…」花は必死に誤魔化したが、心の中ではどうにかこの場から逃げ出したい気持ちでいっぱいだった。
その頃、父親(花)は学校で、思春期の女子としての一日を過ごさなければならなかった。彼は慣れない制服を着て、花のクラスメイトたちに囲まれ、全く違う日常に戸惑っていた。
「花、なんか今日はおかしくない?」クラスメイトが不思議そうに声をかけてきた。
「え、ああ、ちょっと寝不足で…」父親(花)は動揺を隠しつつ、なんとかその場を乗り切ろうとしたが、花としての生活がどれほど大変かを痛感していた。
体育の時間では、父親(花)はバレーボールをやる羽目になったが、運動神経が全く追いつかず、ひたすらボールを取り損ねた。
「花、今日はどうしたの!?全然ダメじゃん!」と友達に突っ込まれ、父親(花)はますます落ち込んでしまった。
---
その夜、家に帰ってきた二人は、疲れ切った顔で再びリビングに集まった。
「お父さんの仕事って、こんなに大変だったんだね…」花(父親)は深いため息をついた。
「いや、花の学校生活も相当大変だぞ。女子として過ごすなんて、俺には全然無理だった…」父親(花)も同じくぐったりしていた。
二人は互いに大変さを理解し、相手の生活の苦労を知ることができたが、何よりも早く元に戻りたいという思いが強かった。
「どうしてまたこんなことが起きるんだ…」翔太は呆れたように言った。
母親もうなずきながら、「また元に戻れることを祈りましょう」と静かに答えた。
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翌朝、幸運にも二人は再び元の体に戻っていた。
「やっぱり、これで終わりだよね…」花はほっとしながら言った。
「そうだといいな…もう二度とこんなことはごめんだ…」父親は肩をすくめ、深いため息をついた。
家族全員がこれで最後の入れ替わりであることを願いながら、再び日常生活に戻った。しかし、心のどこかでまた何かが起こるのではないかという不安が拭えないままだった。
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