どうやら私はラスボス魔王の娘に憑依したらしい。

枝豆@敦騎

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私の嗚咽混じりの怒鳴り声が止んでも誰も口を開かない。
クローケンもケビンも黙って聞いている。
サイアスはただ目を見開いて私を見つめていた。

その時、私の目にひとつの光景が見えた。

毒の薬草を手にして震える小さな手だ。
『……わたしが、いなくなったら……お父様は笑ってくれるかな?幸せに、なってくれるかな?産まれてきてごめんなさい、お父様、お母様』
か細い小さな声の後に何かを食べる音がする。
そして視界は暗転。
『……次はわたしも、生きて……幸せになりたいな……』

おそらくルヴィアナの最後の記憶がこの体に残っていたのだろう。
その光景が消えると胸がとても締め付けられた。
こんなに寂しい思いを、幼いルヴィアナは抱えていたのか。

「ルヴィアナちゃんは……生きていたかったのよ……でも、自分がいると大好きなお父さんが悲しむから……だからっ!」

拭っても拭っても涙が溢れる。

「こんな小さな子供に残酷な選択させてんじゃないわよ、ダメ男ーーー!!!」

息が切れるまで叫んでやった。
叫んだせいで体の酸素が薄くなったのかくらりと目が回る。

「おっと……!」

倒れる間一髪の所でクローケンが支えてくれた。

「お嬢の体は限界だな。もう休ませないと」

そっと抱き上げられたので落ちないようにクローケンの上着にしがみつく。

「……旦那、もう少し早ければって思うのは俺も一緒だ。旦那を責めてるわけじゃない、俺達ももっとお嬢の気持ちに寄り添ってあげられればよかったんだ。『私は大丈夫よ』なんて言葉を鵜呑みにしちゃいけなかった。大丈夫なわけなかったんだ……もう少し、もっと早く俺達が気付いてやれれば………。起きちまったことはもう変えらんねぇ。でもな、だからこそ同じことはもう繰り返しちゃなんねぇんだ。このお嬢さんの言葉でようやくそれがわかった。俺もまだまだ未熟だな」

クローケンは淋しげに目を伏せるとサイアスに背を向ける。

「お嬢を1人ぼっちで逝かせちまった償いはいくらでもする。だが、先にこのお嬢さんを休ませてくる」

そう言って私を抱きかかえたままクローケンは執務室を出た。
彼の肩越しにぎゅっと拳を握り震えるサイアスの姿が見えたが、私の言葉は少しでも届いてくれただろうか?

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