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私がヴィアの名前を貰って数日が過ぎた。
サイアスとは食事を毎回共にして雑談する程度には打ち解けて来たし、クローケンも何かと気にかけてくれる。
ケビンに少し避けられているのは仕方ないとして、初日の次女のように私をいじめようとする人間が現れることもなく平和に過ごせていた。
だが数日目にしてダラダラ過ごすのが申し訳なくなってきた。
最初はいろんな部屋を見学したり、中庭を散歩したりしたのだがそれも満足してしまうとすることがない。
図書館にいって本を読もうとしてみたが、文字は読めるものの専門的な物ばかりでちんぷんかんぷんだった。少しづつ勉強もしているがすぐには理解できないものばかりだ。
そこでサイアスに仕事を見学してもいいかと尋ねるとあっさり許可がおりた。
意外だったが魔王がどんな仕事をしているのか興味がある。
サイアスと一緒に向かったのは彼の執務室だ。私が初日に彼を怒鳴ったあの部屋である。
改めて部屋を見ると書類棚に専門書、大きな執務机に休憩用のソファーなどが置かれていた。
「ヴィア、見学はいいが大人しくていろよ」
「……はしゃぐような歳じゃないわよ」
子供扱いされた事に不満げに呟きながら机に近付いてサイアスの仕事を見学する。
魔王の仕事、というからてっきりRPGみたいに人の国を襲ったりする計画でも立てるのかと思っていたが、書類に目を通して可否の判子を押したり国を整備するための指示を出したりとそういった仕事がメインらしい。
執事のケビンと魔術医のクローケンの他にも側近がいて、彼らの手を借りながら国を運営しているのだとか。
結構大変そうな仕事だと言うのは理解できた。
何か出来ることがあれば手伝えるかも、と思ったが書いてある専門用語もわからないし国を運営する知識なんて私にはない。
だが、衣食住の世話をしてもらっているのに何も出来ないのは申し訳ない……そう思っていると執務室前の廊下が騒がしくなったのに気が付いた。
「陛下は今お忙しいのです。お約束がない方はお引取りください」
「貴方に指図される筋合いはなくってよ、陛下きっとわたくしをお待ちだわ!」
慌てるケビンの声と甘ったるい女性の声。
断言しよう、確実にトラブル案件だ。
しかもかなり面倒くさいやつだと女の勘が言っている。
サイアスにも声が聞こえたのか書類を捌いていた手を止めて、眉間にシワを寄せた。整った顔が残念なほどに歪んでいる。
「またか……」
うんざりしたようにサイアスがボヤくのとドアがノックもなしに開け放たれるのは同時だった。
「陛下ぁ!あなたの愛しい婚約者リーアが会いに参りましたわ!」
サイアスの婚約者リーアと名乗るその女性はプラチナブロンドの髪を背中まで伸ばし、豊満な胸を強調するように胸元の開いた真っ赤なドレスを身にまとった人だった。
サイアスとは食事を毎回共にして雑談する程度には打ち解けて来たし、クローケンも何かと気にかけてくれる。
ケビンに少し避けられているのは仕方ないとして、初日の次女のように私をいじめようとする人間が現れることもなく平和に過ごせていた。
だが数日目にしてダラダラ過ごすのが申し訳なくなってきた。
最初はいろんな部屋を見学したり、中庭を散歩したりしたのだがそれも満足してしまうとすることがない。
図書館にいって本を読もうとしてみたが、文字は読めるものの専門的な物ばかりでちんぷんかんぷんだった。少しづつ勉強もしているがすぐには理解できないものばかりだ。
そこでサイアスに仕事を見学してもいいかと尋ねるとあっさり許可がおりた。
意外だったが魔王がどんな仕事をしているのか興味がある。
サイアスと一緒に向かったのは彼の執務室だ。私が初日に彼を怒鳴ったあの部屋である。
改めて部屋を見ると書類棚に専門書、大きな執務机に休憩用のソファーなどが置かれていた。
「ヴィア、見学はいいが大人しくていろよ」
「……はしゃぐような歳じゃないわよ」
子供扱いされた事に不満げに呟きながら机に近付いてサイアスの仕事を見学する。
魔王の仕事、というからてっきりRPGみたいに人の国を襲ったりする計画でも立てるのかと思っていたが、書類に目を通して可否の判子を押したり国を整備するための指示を出したりとそういった仕事がメインらしい。
執事のケビンと魔術医のクローケンの他にも側近がいて、彼らの手を借りながら国を運営しているのだとか。
結構大変そうな仕事だと言うのは理解できた。
何か出来ることがあれば手伝えるかも、と思ったが書いてある専門用語もわからないし国を運営する知識なんて私にはない。
だが、衣食住の世話をしてもらっているのに何も出来ないのは申し訳ない……そう思っていると執務室前の廊下が騒がしくなったのに気が付いた。
「陛下は今お忙しいのです。お約束がない方はお引取りください」
「貴方に指図される筋合いはなくってよ、陛下きっとわたくしをお待ちだわ!」
慌てるケビンの声と甘ったるい女性の声。
断言しよう、確実にトラブル案件だ。
しかもかなり面倒くさいやつだと女の勘が言っている。
サイアスにも声が聞こえたのか書類を捌いていた手を止めて、眉間にシワを寄せた。整った顔が残念なほどに歪んでいる。
「またか……」
うんざりしたようにサイアスがボヤくのとドアがノックもなしに開け放たれるのは同時だった。
「陛下ぁ!あなたの愛しい婚約者リーアが会いに参りましたわ!」
サイアスの婚約者リーアと名乗るその女性はプラチナブロンドの髪を背中まで伸ばし、豊満な胸を強調するように胸元の開いた真っ赤なドレスを身にまとった人だった。
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