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弟子にしてほしいんですが、だめですか?
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「だぁーかぁーらぁー、そうじゃなくって、こうだっつってんだろ!」
アマルベルダがそう言いながらパチンと指を鳴らすと、コンロにボッと火がついた。
「すごーい!」
イリアはパチパチと手を叩くと、頭一つ分はゆうに高いアマルベルダを尊敬のまなざしで見上げた。
イリアがアマルベルダのところに厄介になって一週間。弟子のイリアの仕事は、彼女が宣言した通り掃除と洗濯と料理だった。
だが、ただ掃除や洗濯や料理をするのではない。その時に使える簡単な魔法を覚えるのがイリアの弟子としての最初の勉強だった。
「ちっちゃい火も起こせないんじゃ、先は長いよ?」
イリアはむむっと眉を寄せて、アマルベルダの真似をしてパチンと指を鳴らしてみた。すると、なぜかアマルベルダが起こしたはずのコンロの火が、一瞬にして消え去ってしまった。
「あれ?」
「消してどうする……」
アマルベルダは、はーっと大きく息を吐いた。
アマルベルダの誤算は、どうやらイリアには多少なりとも魔女の素質があるらしいということだった。そうでなければアマルベルダの起こした火を消すことなんてできない。だが、もっと誤算だったのは、なぜか彼女は魔法で生み出した何かを消すとか破壊することはできても、どうしてか生み出すことができないということだった。
「なんなんだろうねぇ、あんた。どうして火の起こし方を教えたはずが、消しちゃうんだろう? これもある種の才能なのかねぇ」
アマルベルダは疲れたように言って、もう一度パチンと指を鳴らした。コンロにもう一度火がつくと、ぽんぽんとイリアの頭を撫でた。
「もういいから、何か作っておくれよ。さすがにお腹がすいたよ」
実はアマルベルダが朝起きてから、かれこれ一時間はこのやり取りをくり返していた。いい加減魔女のお腹はペコペコだったし、このやり取りにも飽きてきたところだ。
「目玉焼きでいいですか? 卵は二つ?」
「ああ。カリカリに焼いたベーコンもつけとくれ」
「はーい!」
イリアは元気いっぱいに返事をしたが、そうして出来上がったのは無残にも崩れたカチカチの目玉焼きと、焼きすぎて炭になりかけたベーコンだった。
「………まあ、食べるところが残ってるだけ、上達したのかねぇ」
イリアは嫁ではなく弟子になりたいと言ったが、どうしてだろう、アマルベルダは不出来な嫁を貰った気分でいっぱいだった。
アマルベルダがそう言いながらパチンと指を鳴らすと、コンロにボッと火がついた。
「すごーい!」
イリアはパチパチと手を叩くと、頭一つ分はゆうに高いアマルベルダを尊敬のまなざしで見上げた。
イリアがアマルベルダのところに厄介になって一週間。弟子のイリアの仕事は、彼女が宣言した通り掃除と洗濯と料理だった。
だが、ただ掃除や洗濯や料理をするのではない。その時に使える簡単な魔法を覚えるのがイリアの弟子としての最初の勉強だった。
「ちっちゃい火も起こせないんじゃ、先は長いよ?」
イリアはむむっと眉を寄せて、アマルベルダの真似をしてパチンと指を鳴らしてみた。すると、なぜかアマルベルダが起こしたはずのコンロの火が、一瞬にして消え去ってしまった。
「あれ?」
「消してどうする……」
アマルベルダは、はーっと大きく息を吐いた。
アマルベルダの誤算は、どうやらイリアには多少なりとも魔女の素質があるらしいということだった。そうでなければアマルベルダの起こした火を消すことなんてできない。だが、もっと誤算だったのは、なぜか彼女は魔法で生み出した何かを消すとか破壊することはできても、どうしてか生み出すことができないということだった。
「なんなんだろうねぇ、あんた。どうして火の起こし方を教えたはずが、消しちゃうんだろう? これもある種の才能なのかねぇ」
アマルベルダは疲れたように言って、もう一度パチンと指を鳴らした。コンロにもう一度火がつくと、ぽんぽんとイリアの頭を撫でた。
「もういいから、何か作っておくれよ。さすがにお腹がすいたよ」
実はアマルベルダが朝起きてから、かれこれ一時間はこのやり取りをくり返していた。いい加減魔女のお腹はペコペコだったし、このやり取りにも飽きてきたところだ。
「目玉焼きでいいですか? 卵は二つ?」
「ああ。カリカリに焼いたベーコンもつけとくれ」
「はーい!」
イリアは元気いっぱいに返事をしたが、そうして出来上がったのは無残にも崩れたカチカチの目玉焼きと、焼きすぎて炭になりかけたベーコンだった。
「………まあ、食べるところが残ってるだけ、上達したのかねぇ」
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