君を愛せないと言われたので、夫が忘れた初恋令嬢を探します

狭山ひびき

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失った記憶の戻し方 8

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「アナスタージア‼」

 それからしばらくして、血相を変えたクリフ様が複数の騎士を連れて帰って来た。
 その頃には、わたしはドロシアとヒューズから何が起こったのか説明を受けたあとだった。
 彼ら曰く、ビアトリス様と男の使用人が馬車から降り、玄関をくぐった直後、男が魔法を使って玄関を爆破したらしい。

 ラザフォード家の使用人に軽い怪我人は出たけれど幸い重症者は出なかった。だが、ドロシアたちが驚いている隙にビアトリス様と男は二階に駆けあがって来たそうだ。
 我に返ったドロシアとヒューズ、それから使用人たちが二人を追いかけ、捕縛したというのがオチだった。
 ラザフォード公爵家には防衛に使える魔法道具が複数用意されていて、使用人たちはそれを使って二人を気絶させたという。

 爆破された玄関も見せてもらったが、玄関扉が半壊しており、壁紙や床が焼けこげ、花瓶の破片が散乱していた。
 ビアトリス様と彼女が連れてきた男性使用人は、気絶したまま騎士たちによって城に連行されていった。

 ……でも、ビアトリス様はなんだってこんなことを。

 わたしがビアトリス様を最後に見たのは王妃様のお茶会だ。
 あのとき、ビアトリス様はセイディと王妃様にやり込められて、わたしをひどく睨んでいたけれど、そのときの恨みで襲撃してきたのだろうか。

 ……いやいやまさか、普通その程度のことで屋敷を爆破しに来たりしないわよね?

 と思いたいが、典型的な古参貴族たちのプライドは山よりも高いと聞くので、ちょっと自信がない。
 クリフ様はわたしに怪我がないのを確かめた後で、王都内にあるラザフォード公爵家の別邸に移動しようと言った。
 玄関がこの惨状なので、修理するまで別邸ですごすそうだ。
 何が何だかわからないまま別邸に移動し、数日後。
 わたしはクリフ様から、アストン侯爵家がおとり潰しになったと聞かされた。
 すでにアストン侯爵は大臣の職を追われて拘束されており、ビアトリス様も牢に入れられている。

「あの、クリフ様。わからないことが多いので、教えていただけますか?」

 クリフ様は疲れたような顔で息を吐き出し、この数日の、怒涛のような出来事を教えてくれた。

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