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やさしい夜と気づいた想い
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「お兄様のぉ、ばかぁ―――!」
ぼすん、とミリアムは壁に向かってクッションを投げつけた。
夕食を取ったあとも怒りが収まらなかったミリアムは、ゼノに頼んで大量の寝酒を用意させた。
テーブルの上にはワインが入った大きなデカンタが三つ並んでいる。そのうち一つはすでに空だった。
ミリアムは酔っぱらって据わった目で、むんず、とクッションをもう一つ掴んだ。
「アスヴィルの―――、おおばかぁ―――!」
ぼすん! とそのクッションも壁に投げつける。
ミリアムは二つ目のデカンタに手を伸ばし、グラスにドボドボと赤ワインを注いだ。ワイングラスに並々と注いだワインを一気に飲み干して、そのまま、ごろん、とソファに横になる。
頭がふわふわする。
雲の上に寝転んでいるみたいで、ちょっと気持ちいい。
「うふ、ふふふふふ……」
ミリアムは突然笑い出すと、ゴロゴロしながら、からっぽになったグラスに、再びワインを注いだ。
「アスヴィルのぉ、ばぁーかぁ」
酩酊している彼女は、もはや、怒っているのか笑っているのか、自分でもよくわかっていなかった。
「仏頂面ぁ、大男ぉ、オトメンー、頓珍漢―、おおばかぁ」
ぐびっとワイングラスをあおぐ。
そうして、またケタケタと笑っていると、不意に、コンコンと遠慮がちに部屋の扉がノックされた。
酔っぱらって上機嫌のミリアムは、ソファに寝ころんだまま答える。
「はいはいー、あいてますよぉー」
しかし、扉はすぐにはあかなかった。迷っているのか扉の向こうではしばしの沈黙があり、ミリアムは首をひねる。
「なにかぁ、ごよーですかぁ」
ややあって、ガチャ、と遠慮がちに扉が開いた。
半分ほど開いた扉の隙間から、中の様子を窺うように、頭だけをのぞかせたのはアスヴィルだった。
「あー、おおばか男だぁ」
もう、ミリアムの頭はまともに回っていなかった。アスヴィルの顔を見てクスクス笑うミリアムに、アスヴィルはまるで時間が止まったかのように固まった。
ミリアムはふらふらしながら体を起こすと、酔っぱらって上気した顔をアスヴィルに向け、こて、と小首をかしげた。
「なんか用ー?」
アスヴィルの顔が、ぼん、と真っ赤になった。
「あ、いや……」
「なにぃー?」
「ゼノに、ミリアムが酒を飲んでいると聞いたから……」
「あー、あんたも、お酒、いるのー?」
「いや、そうではなく……」
アスヴィルは想像してなかったミリアムの様子に、顔を染めながらたじろいだ。
頬を染めて、酔っぱらって気分がいいのか、ふわふわと笑っている様子は、ミリアムに惚れこんでいるアスヴィルには破壊力がありすぎた。
ゼノから、ミリアムが大量に酒を飲んでいて心配だと聞かされたから様子を見に来たアスヴィルだったが、彼女の愛らしい様子に、部屋の扉の前で、アスヴィルは立ち尽くす。
アスヴィルが一向に部屋の中に入ってこないのを見て、ミリアムの目が据わった。
「なによぉ、わたしの酒が飲めないっていうのぉ?」
「い、いや……」
「いいからぁ、早くこっちに来いーっ」
ワイングラスを振りながら文句を言うミリアムに、アスヴィルは慌てて部屋の中に入った。彼女の手からグラスを取り上げる。
「ミリアム、ワイングラスを振り回したら危ないぞ」
「んー? からっぽでしょー?」
「こぼれるんじゃなくて、割れるんだ」
「んふー。意味わかんなぁい」
ミリアムはまたソファにごろんと転がってしまう。
これは、相当酔っぱらっているなと気づいたアスヴィルは、おずおずとミリアムの顔を覗き込みながら言った。
「ミリアム、もう寝た方がいい」
「いや! まだ眠くなーい」
「だが……」
「ほら、ワイン、注いでー」
「今日は、もうやめておいた方が……」
「はぁやぁくー」
アスヴィルは小さく息をつくと、ワイングラスにほんの少しだけワインを注いだ。
「ほら」
「おこしてえー」
「え?」
「ほら、おこしてぇ」
両手を差し出されて、アスヴィルはワイングラスとテーブルの上におくと、顔を真っ赤に染めて、そっとミリアムの手を握った。ミリアムの手を握るのは、はじめてだった。
ほっそりとして、すべすべと気持ちいいミリアムの手を握って感動していると、むっと眉を寄せた彼女に睨まれた。
「だからぁ、起こしてってばぁ」
「あ、ああ」
アスヴィルはゆっくりと彼女の手を引っ張って、彼女の体をソファに座らせた。
アスヴィルも遠慮がちに彼女の隣に腰を下ろす。
するとミリアムは、ワイングラスを持って、アスヴィルの肩に頭をもたれかからせてきた。
「―――!」
ぴしっ、とアスヴィルは硬直した。
ミリアムはアスヴィルにもたれかかったままワイングラスに口をつける。
「しってるー? 赤ワインってねぇ、蜂蜜入れると美味しいのよぉ」
「……」
「ねーえ?」
「あ……、ああ」
「だからぁ、蜂蜜ぅ」
アスヴィルはコクコクと操り人形のように首を動かすと、パチンと指を鳴らした。テーブルの上に出現した蜂蜜を赤ワインに落とし、マドラーでかき混ぜてやる。
ミリアムはご満悦で蜂蜜入りの赤ワインを口に運ぶ。
ミリアムはアスヴィルにもたれかかって幸せそうに笑っている。
アスヴィルは、もう死んでもいいかもしれないと思った。想像すらできなかったあり得ない体験だ。
今なら怒られないかもしれないと、そっとミリアムの頭に手を伸ばし、ツヤツヤしている真っ赤な髪を、かろうじて触れるくらいのギリギリの距離で撫でてみる。
するとミリアムは、すりすりとアスヴィルの肩口にすり寄ってきた。
アスヴィルはたまらなくなった。
アスヴィルはミリアムの手から赤ワインのグラスと奪うと、テーブルの上において、そのまま彼女の華奢な体を抱きしめた。
ふわり、と彼女の体から甘い香りがする。
「ミリアム、好きだ。愛してる」
ぎゅうっと抱きしめてささやけば、彼女はアスヴィルの腕の中で小さく身じろいだ。
「アスヴィルの愛はぁ、信じられませーん」
「どうして!?」
「だってー、どうしてわたしが好きなのか、わかんないんだもんー」
ミリアムはアスヴィルの腕の中に納まったまま、独り言のように言った。
「最初は我儘だぁーとかさんざん言っててくせにぃ、急に好きだって言うしー。なんかいきなり叫びはじめるしぃ。この前はほかの女と歩いてたしぃ。アスヴィルのことなんかぁ、まったく信じられませーん」
アスヴィルはミリアムを抱きしめたまま顔を青くした。
「じゃあ、ど、どうすればいいんだ」
「どうってー?」
「俺は本当に君が好きなんだ」
「信じられないのぉー」
「どうしたら信じてくれる!?」
ミリアムはアスヴィルの腕の中で顔を上げた。
「んー? わかんなぁい」
「ミリアム……」
「だってぇ、わたし、アスヴィルのこと、よくわかんないもんー」
ミリアムは、すり、とアスヴィルの腕に甘えた。
「我儘だって言ったくせにー。さんざん文句言ったくせにぃ。いっぱい睨んだくせにー。人を猫の子みたいにつまみ上げたくせにー。手のひら返してぇ、愛してるなんて言われてもー、わたしにはわかんなぁい」
アスヴィルはミリアムを抱きしめる腕に力を入れた。
「ねえ……、アスヴィルはぁ、いったい、わたしのどこが好きなの……?」
「俺は……」
アスヴィルは抱きしめたミリアムの頭のてっぺんに唇を寄せた。
どこがと聞かれれば全部と答える。だが、それではミリアムが納得しないことはアスヴィルもわかっていた。
「俺は君の……」
数分考えて、言いたいことがまとまったアスヴィルは口を開くが、言いかけて、ミリアムの様子がおかしいことに気がついた。
「ミリアム?」
そっと顔を覗き込むと、幸せそうに目を閉じて、くう、と寝息をかいている。
アスヴィルは苦笑して、ミリアムの体を抱き上げた。
ベッドまで運んで、そっと横たえる。
「おやすみ、ミリアム」
額に口づけを落として、離れようとした。だが。
「……」
ミリアムの手が、アスヴィルの袖口をぎゅっとつかんでいた。
アスヴィルはミリアムの手を引きはがそうとしたが、しっかりと袖を掴んでいる彼女の指は離れない。
アスヴィルはしばらくの間、ベッドに半乗りになった体勢で考え込んだ。そして――
「明日……、殴られるんだろうなぁ」
アスヴィルは部屋を出て行くことを諦めて、ベッドの中にもぐりこんだ。
明日の朝、目を覚ましたミリアムによってボコボコに殴られるのは覚悟の上だ。
アスヴィルはそっとミリアムの体を抱きしめると、ミリアムになら殺されてもいいかもしれないと馬鹿なことを考えながら、幸せな夢の中に落ちていった。
ぼすん、とミリアムは壁に向かってクッションを投げつけた。
夕食を取ったあとも怒りが収まらなかったミリアムは、ゼノに頼んで大量の寝酒を用意させた。
テーブルの上にはワインが入った大きなデカンタが三つ並んでいる。そのうち一つはすでに空だった。
ミリアムは酔っぱらって据わった目で、むんず、とクッションをもう一つ掴んだ。
「アスヴィルの―――、おおばかぁ―――!」
ぼすん! とそのクッションも壁に投げつける。
ミリアムは二つ目のデカンタに手を伸ばし、グラスにドボドボと赤ワインを注いだ。ワイングラスに並々と注いだワインを一気に飲み干して、そのまま、ごろん、とソファに横になる。
頭がふわふわする。
雲の上に寝転んでいるみたいで、ちょっと気持ちいい。
「うふ、ふふふふふ……」
ミリアムは突然笑い出すと、ゴロゴロしながら、からっぽになったグラスに、再びワインを注いだ。
「アスヴィルのぉ、ばぁーかぁ」
酩酊している彼女は、もはや、怒っているのか笑っているのか、自分でもよくわかっていなかった。
「仏頂面ぁ、大男ぉ、オトメンー、頓珍漢―、おおばかぁ」
ぐびっとワイングラスをあおぐ。
そうして、またケタケタと笑っていると、不意に、コンコンと遠慮がちに部屋の扉がノックされた。
酔っぱらって上機嫌のミリアムは、ソファに寝ころんだまま答える。
「はいはいー、あいてますよぉー」
しかし、扉はすぐにはあかなかった。迷っているのか扉の向こうではしばしの沈黙があり、ミリアムは首をひねる。
「なにかぁ、ごよーですかぁ」
ややあって、ガチャ、と遠慮がちに扉が開いた。
半分ほど開いた扉の隙間から、中の様子を窺うように、頭だけをのぞかせたのはアスヴィルだった。
「あー、おおばか男だぁ」
もう、ミリアムの頭はまともに回っていなかった。アスヴィルの顔を見てクスクス笑うミリアムに、アスヴィルはまるで時間が止まったかのように固まった。
ミリアムはふらふらしながら体を起こすと、酔っぱらって上気した顔をアスヴィルに向け、こて、と小首をかしげた。
「なんか用ー?」
アスヴィルの顔が、ぼん、と真っ赤になった。
「あ、いや……」
「なにぃー?」
「ゼノに、ミリアムが酒を飲んでいると聞いたから……」
「あー、あんたも、お酒、いるのー?」
「いや、そうではなく……」
アスヴィルは想像してなかったミリアムの様子に、顔を染めながらたじろいだ。
頬を染めて、酔っぱらって気分がいいのか、ふわふわと笑っている様子は、ミリアムに惚れこんでいるアスヴィルには破壊力がありすぎた。
ゼノから、ミリアムが大量に酒を飲んでいて心配だと聞かされたから様子を見に来たアスヴィルだったが、彼女の愛らしい様子に、部屋の扉の前で、アスヴィルは立ち尽くす。
アスヴィルが一向に部屋の中に入ってこないのを見て、ミリアムの目が据わった。
「なによぉ、わたしの酒が飲めないっていうのぉ?」
「い、いや……」
「いいからぁ、早くこっちに来いーっ」
ワイングラスを振りながら文句を言うミリアムに、アスヴィルは慌てて部屋の中に入った。彼女の手からグラスを取り上げる。
「ミリアム、ワイングラスを振り回したら危ないぞ」
「んー? からっぽでしょー?」
「こぼれるんじゃなくて、割れるんだ」
「んふー。意味わかんなぁい」
ミリアムはまたソファにごろんと転がってしまう。
これは、相当酔っぱらっているなと気づいたアスヴィルは、おずおずとミリアムの顔を覗き込みながら言った。
「ミリアム、もう寝た方がいい」
「いや! まだ眠くなーい」
「だが……」
「ほら、ワイン、注いでー」
「今日は、もうやめておいた方が……」
「はぁやぁくー」
アスヴィルは小さく息をつくと、ワイングラスにほんの少しだけワインを注いだ。
「ほら」
「おこしてえー」
「え?」
「ほら、おこしてぇ」
両手を差し出されて、アスヴィルはワイングラスとテーブルの上におくと、顔を真っ赤に染めて、そっとミリアムの手を握った。ミリアムの手を握るのは、はじめてだった。
ほっそりとして、すべすべと気持ちいいミリアムの手を握って感動していると、むっと眉を寄せた彼女に睨まれた。
「だからぁ、起こしてってばぁ」
「あ、ああ」
アスヴィルはゆっくりと彼女の手を引っ張って、彼女の体をソファに座らせた。
アスヴィルも遠慮がちに彼女の隣に腰を下ろす。
するとミリアムは、ワイングラスを持って、アスヴィルの肩に頭をもたれかからせてきた。
「―――!」
ぴしっ、とアスヴィルは硬直した。
ミリアムはアスヴィルにもたれかかったままワイングラスに口をつける。
「しってるー? 赤ワインってねぇ、蜂蜜入れると美味しいのよぉ」
「……」
「ねーえ?」
「あ……、ああ」
「だからぁ、蜂蜜ぅ」
アスヴィルはコクコクと操り人形のように首を動かすと、パチンと指を鳴らした。テーブルの上に出現した蜂蜜を赤ワインに落とし、マドラーでかき混ぜてやる。
ミリアムはご満悦で蜂蜜入りの赤ワインを口に運ぶ。
ミリアムはアスヴィルにもたれかかって幸せそうに笑っている。
アスヴィルは、もう死んでもいいかもしれないと思った。想像すらできなかったあり得ない体験だ。
今なら怒られないかもしれないと、そっとミリアムの頭に手を伸ばし、ツヤツヤしている真っ赤な髪を、かろうじて触れるくらいのギリギリの距離で撫でてみる。
するとミリアムは、すりすりとアスヴィルの肩口にすり寄ってきた。
アスヴィルはたまらなくなった。
アスヴィルはミリアムの手から赤ワインのグラスと奪うと、テーブルの上において、そのまま彼女の華奢な体を抱きしめた。
ふわり、と彼女の体から甘い香りがする。
「ミリアム、好きだ。愛してる」
ぎゅうっと抱きしめてささやけば、彼女はアスヴィルの腕の中で小さく身じろいだ。
「アスヴィルの愛はぁ、信じられませーん」
「どうして!?」
「だってー、どうしてわたしが好きなのか、わかんないんだもんー」
ミリアムはアスヴィルの腕の中に納まったまま、独り言のように言った。
「最初は我儘だぁーとかさんざん言っててくせにぃ、急に好きだって言うしー。なんかいきなり叫びはじめるしぃ。この前はほかの女と歩いてたしぃ。アスヴィルのことなんかぁ、まったく信じられませーん」
アスヴィルはミリアムを抱きしめたまま顔を青くした。
「じゃあ、ど、どうすればいいんだ」
「どうってー?」
「俺は本当に君が好きなんだ」
「信じられないのぉー」
「どうしたら信じてくれる!?」
ミリアムはアスヴィルの腕の中で顔を上げた。
「んー? わかんなぁい」
「ミリアム……」
「だってぇ、わたし、アスヴィルのこと、よくわかんないもんー」
ミリアムは、すり、とアスヴィルの腕に甘えた。
「我儘だって言ったくせにー。さんざん文句言ったくせにぃ。いっぱい睨んだくせにー。人を猫の子みたいにつまみ上げたくせにー。手のひら返してぇ、愛してるなんて言われてもー、わたしにはわかんなぁい」
アスヴィルはミリアムを抱きしめる腕に力を入れた。
「ねえ……、アスヴィルはぁ、いったい、わたしのどこが好きなの……?」
「俺は……」
アスヴィルは抱きしめたミリアムの頭のてっぺんに唇を寄せた。
どこがと聞かれれば全部と答える。だが、それではミリアムが納得しないことはアスヴィルもわかっていた。
「俺は君の……」
数分考えて、言いたいことがまとまったアスヴィルは口を開くが、言いかけて、ミリアムの様子がおかしいことに気がついた。
「ミリアム?」
そっと顔を覗き込むと、幸せそうに目を閉じて、くう、と寝息をかいている。
アスヴィルは苦笑して、ミリアムの体を抱き上げた。
ベッドまで運んで、そっと横たえる。
「おやすみ、ミリアム」
額に口づけを落として、離れようとした。だが。
「……」
ミリアムの手が、アスヴィルの袖口をぎゅっとつかんでいた。
アスヴィルはミリアムの手を引きはがそうとしたが、しっかりと袖を掴んでいる彼女の指は離れない。
アスヴィルはしばらくの間、ベッドに半乗りになった体勢で考え込んだ。そして――
「明日……、殴られるんだろうなぁ」
アスヴィルは部屋を出て行くことを諦めて、ベッドの中にもぐりこんだ。
明日の朝、目を覚ましたミリアムによってボコボコに殴られるのは覚悟の上だ。
アスヴィルはそっとミリアムの体を抱きしめると、ミリアムになら殺されてもいいかもしれないと馬鹿なことを考えながら、幸せな夢の中に落ちていった。
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