春風に揺れる名前を、まだ呼べない

SNOW❄️

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第10話「そして、夏がはじまる」

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高二の夏が近づき、教室の空気も少しずつ変わってきた。
一年間で積み重ねた日々が、少しずつ形になって、
今はただの“友達”だった二人が、
互いの存在を特別なものとして感じ始めていた。

ユーマは放課後、
いつものようにイルミのそばに座った。
「最近、よく話すようになったな」と笑いながら言うと、
イルミも「そうだね」と返す。
でもその「よく話す」という言葉の裏には、
言葉以上のものが詰まっていた。

イルミはユーマの笑顔に見とれ、
言葉にしなくても分かる何かを感じていた。
一緒に過ごす時間が増えるたびに、
心の距離がぐっと縮まっていくのがわかった。

「ユーマくん、夏休みは何するの?」
「特に決めてないけど、
今年は少し変えようかなって思ってる」
ユーマは照れくさそうに言った。
「変えるって?」
「イルミと、もっといろんなことを話したり、
出かけたりしたいんだ」
その言葉に、イルミの頬が赤く染まった。

ふたりは何度も目を合わせ、
そして自然に手が触れ合った。
それはぎこちないけど、確かなぬくもりだった。

「私も、ユーマくんといる時間が一番好き」
そう言ったイルミの声は小さくても、
ユーマにはしっかり届いた。

二人の気持ちは、
もう誰にも隠せないものになっていた。
けれど、それを言葉にするのはまだ少し怖い。

そんな時、教室のドアが開き、
クラスメイトたちの明るい笑い声が響いた。
ふたりは少し照れながらも、笑顔を交わした。

「どんな未来が待ってるかわからないけど、
君とならどんな困難も乗り越えられる気がする」

ユーマは心の中で強くそう思った。

イルミもまた、同じ気持ちでいることを願いながら、
夏の始まりを感じていた。

太陽が沈みかける窓の外、
二人の影はひとつに重なり、ゆっくりと歩き出した。
新しい季節、新しい物語が、ここから始まるのだ。
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