1 / 1
君の隣にいたかった
しおりを挟む
このまま雪が降り続ければ、明日は十センチくらい積もっているかもしれない。
今宵はクリスマス。街道は人々で賑わい、ネオンに照らされた雪が蛍光色を反射して綺麗に輝いている。
「ダーリン、愛してる」
「俺もだよ、ハニー」
通りすがったカップルの会話。
……ああ、僕も彼とそんな関係になりたかった。
初めて会ったのは、高校生のとき。クリスマスケーキを買いに行ったときだ。その数年後、たまたま大学が一緒になって、僕は彼と友人になった。子どもっぽくて、よく笑って、元気で、変なとこで真面目で。そんな彼を好きになった。卒業して別れてからは三年間ずっと会っていなかった。だけどついこの間、地元に帰ってきたという彼に会った。
「久しぶり」って話しかけてきたのは向こう。僕ならきっと話しかけなかった。『あの時』の終わりを忘れて、もがくようなことはしたくなかったから。
彼は変わっていなかった。明るくて、太陽みたいな笑顔で。だけど、一つ違った。
左手の薬指。
「結婚したんだ」
彼は言った。大学時代の彼女と結ばれたんだと。
「おめでとう」
と言った。けど、光る指輪と笑顔は眩しくて、僕には痛かった。
今宵も、彼はあの子と過ごしてるんだろう。
あの年、あの日、僕があそこに行かなかったら、僕があの言葉を言わなかったら。そしたら……いやもっと言うと、彼が彼女を見つけなければ。そうすれば、僕は夢を見ていられただろうか。
――雪が降り始めた十九時頃。野晒しの路上でその年も彼は震えながらケーキを売っていた。
恋人、家族……買う人はちらほらいるようで、売り上げはまあまあといったところ。
腕をさすり足踏みする彼。彼がそのバイトをする最後の年となったその年も、僕は例年通りケーキを買いに来ていた。
「クリスマスもバイトとか、お疲れ様」
「あ、来てくれたのか!」
僕を見つけた彼は嬉しそうに手招いた。
「ケーキ買わね?」
「こうなると思って、今年も家族には当日僕が買ってくるって言っておいたよ」
懐から財布を出してお会計をする。
「なんだよそれ。今年も俺が彼女ナシだと思ってたってわけ?」
「そう」
彼が高校の時に始めたこのバイトは「恋人いねぇし、どうせならバイトでもすっかぁ」が動機だったらしい。続いているということはつまり、そういうことだ。
「来年は違うから!」
「去年もそう言ってたけど。もしかすると一生独り身だったりしてね」
揶揄うが、それは僕の願望でもあった。いやできることなら、僕と恋人になってくれやしないかと思っていた。もし彼がわざと恋人を作らずにいるのならと期待していたのだ。
「いーや? 来年こそ絶対可愛い彼女ゲットしてやるんだからな。大体、そう言うお前だってクリぼっちじゃん」
「僕は君がいるからぼっちじゃない。毎年同じ場所と時間に会ってる特別な仲だし」
「うわやめろよ気持ち悪い。ていうか、それなら俺もぼっちじゃねーじゃん」
ブーッと文句を言う彼が愛しかった。
――流されていたのだ、きっと。
クリスマス。子ども達にとってはプレゼントが貰える嬉しい日、恋人達にとっては好きな人とデートしてプレゼントを贈り合う甘い日。広場はイルミネーションで飾り付けられ、白い雪が舞えば一層幻想的で美しい光景になる。
そんな、特別な日の空気に。
「愛してる」
口が滑った。
「……え?」
言うつもりのなかった言葉。
何を言ったのか一瞬自分でも理解できなかった。いや、理解したくなかったのかもしれない。
僕の放った言葉に、聞き間違いなのか、おふざけなのかと彼は困惑していた。心臓がキュッと締め付けられる。嫌な汗が滲み出て、僕は拳を握りしめた。いつもは嬉しい筈の彼の視線が、その時だけは痛かった。
沈黙。
何十秒も経ったように思えた。それでもどうにか嘘にできないかと
「……って、言える人って格好いいよな」
僕は笑って誤魔化した。
彼が真意に気付いたか気付いていないかは分からない。でも、綺麗なホワイトクリスマスは一瞬で白黒の冷たい世界に変わってしまった。
「なんだよ、いきなり変なこと言うなよな」
安心したように笑う彼。冷たい現実が突きつけられる。
「ごめん。昨日クリスマスの恋愛もの見て、なんか思い出しちゃって」
嘘。
「なんだよそれ、焦ったんだけど。言っとくけど俺は男とかごめんだぜ? お前が恋人とか絶対ヤダ」
「ははは、分かってるよ。それはこっちもそうだし」
真っ赤な嘘。
君の恋人になれるならと、ずっと思ってきた。毎日、毎日君のことを想ってきた。なのに……。
駄目なんだ。
分かってしまった。僕は彼の恋人にはなれない。こんなことなら、告白して玉砕した方が……いや、それだってきっと同じことだった。あぁ、こんな夢の覚め方なんてな。
これ以上彼の前で笑っていられる気がしなかった。
「まあ、バイト頑張って」
「ああ、またなー」
笑って手を振る彼。
背を向けた僕は帰り道、ずっと涙を堪えていた。
――あの日から、僕は彼に会う度辛かった。
あれは正式な告白じゃなかった。でも「愛してる」を言ってしまったことに変わりはなくて、あの瞬間は世界から音がなくなってしまったかと思った。
でも、彼に恋人ができてからも相変わらず目で追った。好きだった。ずっと。卒業しても、会わなくなっても。
ずっと彼が忘れられなくて、名残惜しくて、その面影を探すみたいに、毎年僕はここに来る。
寒空の下、野晒しのケーキ売り場。
今年もまた、あの年と同じクリスマスケーキだ。
「これください」
「お買い上げありがとうございま~す」
「どうも」
店員さんからケーキを受け取る。
同じ見た目、同じ値段。きっと今年も同じ味だ。味がしなかったあの日を除いて、変わったことは何一つない。
彼との関係だって、本当は何一つ変わっていない筈だ。僕が勝手に失恋しただけで、彼にとって僕は友達の一人でしかなくて、運命なんかじゃなかった。
分かってる。
でも僕にとっては……。
あぁ、あの時愛してるを言わなければ。そうしたら甘い夢が見れたかもしれない。
ちゃんと告白していて、意識してもらえるように努力していれば恋人になれていたかもしれない。
僕が男ではなく女なら、恋人になれていたかもしれない。……そんな、夢ばっかりだ。
「おめでとう」と言ったのに。そう思っているのに。
幸せそうな彼の顔が嬉しかった。でもやっぱり、好きだった。
「おはよう」も「またね」も「ありがとう」も「ごめんね」も「おめでとう」も、沢山言葉を重ねた。交わした。でも、ただ一度だけ。「愛してる」だけが特別に、どこかへ消えてしまって。
ずっと、思い出しては引きずっている。
終いには、『来世なら』なんて。
大きく、白い息が溢れる。
「情けないなぁ……っ僕」
滲む視界と言葉。
あの日我慢したツケが回ってきたみたいに、止まらなかった。
落ちる涙が新雪を沈める。
家に帰るまでには、泣き止まなければ……。
*
読んでくださりありがとうございます(*꒡ ꒡ )
今宵はクリスマス。街道は人々で賑わい、ネオンに照らされた雪が蛍光色を反射して綺麗に輝いている。
「ダーリン、愛してる」
「俺もだよ、ハニー」
通りすがったカップルの会話。
……ああ、僕も彼とそんな関係になりたかった。
初めて会ったのは、高校生のとき。クリスマスケーキを買いに行ったときだ。その数年後、たまたま大学が一緒になって、僕は彼と友人になった。子どもっぽくて、よく笑って、元気で、変なとこで真面目で。そんな彼を好きになった。卒業して別れてからは三年間ずっと会っていなかった。だけどついこの間、地元に帰ってきたという彼に会った。
「久しぶり」って話しかけてきたのは向こう。僕ならきっと話しかけなかった。『あの時』の終わりを忘れて、もがくようなことはしたくなかったから。
彼は変わっていなかった。明るくて、太陽みたいな笑顔で。だけど、一つ違った。
左手の薬指。
「結婚したんだ」
彼は言った。大学時代の彼女と結ばれたんだと。
「おめでとう」
と言った。けど、光る指輪と笑顔は眩しくて、僕には痛かった。
今宵も、彼はあの子と過ごしてるんだろう。
あの年、あの日、僕があそこに行かなかったら、僕があの言葉を言わなかったら。そしたら……いやもっと言うと、彼が彼女を見つけなければ。そうすれば、僕は夢を見ていられただろうか。
――雪が降り始めた十九時頃。野晒しの路上でその年も彼は震えながらケーキを売っていた。
恋人、家族……買う人はちらほらいるようで、売り上げはまあまあといったところ。
腕をさすり足踏みする彼。彼がそのバイトをする最後の年となったその年も、僕は例年通りケーキを買いに来ていた。
「クリスマスもバイトとか、お疲れ様」
「あ、来てくれたのか!」
僕を見つけた彼は嬉しそうに手招いた。
「ケーキ買わね?」
「こうなると思って、今年も家族には当日僕が買ってくるって言っておいたよ」
懐から財布を出してお会計をする。
「なんだよそれ。今年も俺が彼女ナシだと思ってたってわけ?」
「そう」
彼が高校の時に始めたこのバイトは「恋人いねぇし、どうせならバイトでもすっかぁ」が動機だったらしい。続いているということはつまり、そういうことだ。
「来年は違うから!」
「去年もそう言ってたけど。もしかすると一生独り身だったりしてね」
揶揄うが、それは僕の願望でもあった。いやできることなら、僕と恋人になってくれやしないかと思っていた。もし彼がわざと恋人を作らずにいるのならと期待していたのだ。
「いーや? 来年こそ絶対可愛い彼女ゲットしてやるんだからな。大体、そう言うお前だってクリぼっちじゃん」
「僕は君がいるからぼっちじゃない。毎年同じ場所と時間に会ってる特別な仲だし」
「うわやめろよ気持ち悪い。ていうか、それなら俺もぼっちじゃねーじゃん」
ブーッと文句を言う彼が愛しかった。
――流されていたのだ、きっと。
クリスマス。子ども達にとってはプレゼントが貰える嬉しい日、恋人達にとっては好きな人とデートしてプレゼントを贈り合う甘い日。広場はイルミネーションで飾り付けられ、白い雪が舞えば一層幻想的で美しい光景になる。
そんな、特別な日の空気に。
「愛してる」
口が滑った。
「……え?」
言うつもりのなかった言葉。
何を言ったのか一瞬自分でも理解できなかった。いや、理解したくなかったのかもしれない。
僕の放った言葉に、聞き間違いなのか、おふざけなのかと彼は困惑していた。心臓がキュッと締め付けられる。嫌な汗が滲み出て、僕は拳を握りしめた。いつもは嬉しい筈の彼の視線が、その時だけは痛かった。
沈黙。
何十秒も経ったように思えた。それでもどうにか嘘にできないかと
「……って、言える人って格好いいよな」
僕は笑って誤魔化した。
彼が真意に気付いたか気付いていないかは分からない。でも、綺麗なホワイトクリスマスは一瞬で白黒の冷たい世界に変わってしまった。
「なんだよ、いきなり変なこと言うなよな」
安心したように笑う彼。冷たい現実が突きつけられる。
「ごめん。昨日クリスマスの恋愛もの見て、なんか思い出しちゃって」
嘘。
「なんだよそれ、焦ったんだけど。言っとくけど俺は男とかごめんだぜ? お前が恋人とか絶対ヤダ」
「ははは、分かってるよ。それはこっちもそうだし」
真っ赤な嘘。
君の恋人になれるならと、ずっと思ってきた。毎日、毎日君のことを想ってきた。なのに……。
駄目なんだ。
分かってしまった。僕は彼の恋人にはなれない。こんなことなら、告白して玉砕した方が……いや、それだってきっと同じことだった。あぁ、こんな夢の覚め方なんてな。
これ以上彼の前で笑っていられる気がしなかった。
「まあ、バイト頑張って」
「ああ、またなー」
笑って手を振る彼。
背を向けた僕は帰り道、ずっと涙を堪えていた。
――あの日から、僕は彼に会う度辛かった。
あれは正式な告白じゃなかった。でも「愛してる」を言ってしまったことに変わりはなくて、あの瞬間は世界から音がなくなってしまったかと思った。
でも、彼に恋人ができてからも相変わらず目で追った。好きだった。ずっと。卒業しても、会わなくなっても。
ずっと彼が忘れられなくて、名残惜しくて、その面影を探すみたいに、毎年僕はここに来る。
寒空の下、野晒しのケーキ売り場。
今年もまた、あの年と同じクリスマスケーキだ。
「これください」
「お買い上げありがとうございま~す」
「どうも」
店員さんからケーキを受け取る。
同じ見た目、同じ値段。きっと今年も同じ味だ。味がしなかったあの日を除いて、変わったことは何一つない。
彼との関係だって、本当は何一つ変わっていない筈だ。僕が勝手に失恋しただけで、彼にとって僕は友達の一人でしかなくて、運命なんかじゃなかった。
分かってる。
でも僕にとっては……。
あぁ、あの時愛してるを言わなければ。そうしたら甘い夢が見れたかもしれない。
ちゃんと告白していて、意識してもらえるように努力していれば恋人になれていたかもしれない。
僕が男ではなく女なら、恋人になれていたかもしれない。……そんな、夢ばっかりだ。
「おめでとう」と言ったのに。そう思っているのに。
幸せそうな彼の顔が嬉しかった。でもやっぱり、好きだった。
「おはよう」も「またね」も「ありがとう」も「ごめんね」も「おめでとう」も、沢山言葉を重ねた。交わした。でも、ただ一度だけ。「愛してる」だけが特別に、どこかへ消えてしまって。
ずっと、思い出しては引きずっている。
終いには、『来世なら』なんて。
大きく、白い息が溢れる。
「情けないなぁ……っ僕」
滲む視界と言葉。
あの日我慢したツケが回ってきたみたいに、止まらなかった。
落ちる涙が新雪を沈める。
家に帰るまでには、泣き止まなければ……。
*
読んでくださりありがとうございます(*꒡ ꒡ )
17
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている
キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。
今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。
魔法と剣が支配するリオセルト大陸。
平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。
過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。
すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。
――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。
切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。
全8話
お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c
愛などもう求めない
一寸光陰
BL
とある国の皇子、ヴェリテは長い長い夢を見た。夢ではヴェリテは偽物の皇子だと罪にかけられてしまう。情を交わした婚約者は真の皇子であるファクティスの側につき、兄は睨みつけてくる。そして、とうとう父親である皇帝は処刑を命じた。
「僕のことを1度でも愛してくれたことはありましたか?」
「お前のことを一度も息子だと思ったことはない。」
目が覚め、現実に戻ったヴェリテは安心するが、本当にただの夢だったのだろうか?もし予知夢だとしたら、今すぐここから逃げなくては。
本当に自分を愛してくれる人と生きたい。
ヴェリテの切実な願いが周りを変えていく。
ハッピーエンド大好きなので、絶対に主人公は幸せに終わらせたいです。
最後まで読んでいただけると嬉しいです。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
彼の理想に
いちみやりょう
BL
あの人が見つめる先はいつも、優しそうに、幸せそうに笑う人だった。
人は違ってもそれだけは変わらなかった。
だから俺は、幸せそうに笑う努力をした。
優しくする努力をした。
本当はそんな人間なんかじゃないのに。
俺はあの人の恋人になりたい。
だけど、そんなことノンケのあの人に頼めないから。
心は冗談の中に隠して、少しでもあの人に近づけるようにって笑った。ずっとずっと。そうしてきた。
クズ彼氏にサヨナラして一途な攻めに告白される話
雨宮里玖
BL
密かに好きだった一条と成り行きで恋人同士になった真下。恋人になったはいいが、一条の態度は冷ややかで、真下は耐えきれずにこのことを塔矢に相談する。真下の事を一途に想っていた塔矢は一条に腹を立て、復讐を開始する——。
塔矢(21)攻。大学生&俳優業。一途に真下が好き。
真下(21)受。大学生。一条と恋人同士になるが早くも後悔。
一条廉(21)大学生。モテる。イケメン。真下のクズ彼氏。
何故よりにもよって恋愛ゲームの親友ルートに突入するのか
風
BL
平凡な学生だったはずの俺が転生したのは、恋愛ゲーム世界の“王子”という役割。
……けれど、攻略対象の女の子たちは次々に幸せを見つけて旅立ち、
気づけば残されたのは――幼馴染みであり、忠誠を誓った騎士アレスだけだった。
「僕は、あなたを守ると決めたのです」
いつも優しく、忠実で、完璧すぎるその親友。
けれど次第に、その視線が“友人”のそれではないことに気づき始め――?
身分差? 常識? そんなものは、もうどうでもいい。
“王子”である俺は、彼に恋をした。
だからこそ、全部受け止める。たとえ、世界がどう言おうとも。
これは転生者としての使命を終え、“ただの一人の少年”として生きると決めた王子と、
彼だけを見つめ続けた騎士の、
世界でいちばん優しくて、少しだけ不器用な、じれじれ純愛ファンタジー。
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
運命じゃない人
万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。
理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる