マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

文字の大きさ
419 / 441
連載

#344 チーズ運び大会、第一関門

 チーズ運び大会、未成人の部がスタートすると、勢いよくリックとカインが飛び出していった。


「折角やるなら勝たないとな!」

「オイラも負けないよ!」


 やはり普段から冒険者として体を動かしている2人なので、他の参加者よりパワーとスピードも段違いだった。


「わふわふっ」

「お、上手いぞコロ」


 そんな中、シュージと神獣の3匹もスタートを切っていた。

 どう進んでいるのかというと、地面に車輪のように置いたチーズの上にコロが乗り、玉乗りをするようにバランスを取りながらコースを進んでいく。


「きゃー! 可愛いー!」

「器用なもんだなぁ!」


 スピードはお世辞にも早いとは言えず、記念参加の子供達と一緒にゆっくりと進んでいたが、その様子は誰よりも可愛らしく、観客達はコロにメロメロになっていた。


「何やら後ろの方が盛り上がっていますが、先頭の2人が早くも最初の難関、チーズ投げに辿り着いたぞー!」

 
 すると、観客を盛り上げるため、拡声魔法を使って実況をしている係員の男が、先頭で走っているリックとカインが最初の障害物に辿り着いた事を告げた。

 その障害物というのは、木製の高い壁に丸型の穴ができていて、壁から少し離れたラインから持っているチーズを投げてその穴に通すというものだ。


「おりゃあ!」

「えーいっ!」


 早速その壁の前に立ったリックとカインは、その穴目掛けてチーズを思いっきり投げてみた。

 だが、チーズは穴に通らず、ボテッと地面に落ちてしまう。


「くそっ、穴小さくね!?」


 というのも、2人の前に用意された壁の穴は、チーズより一回り大きいくらいで結構小さく、チーズの重さも相まって中々難しい障害物になっていた。

 ちなみに、壁は何個か用意されていて、順位や年齢などを考慮しつつ、係員が参加者に合わせた壁を並べる仕組みだ。


「んしょっ、んしょっ! あ、障害物見えてきたよ、メイ!」

「ち、ちょっとそこで休みませんかっ……?」


 そうこうしていると、ペアでチーズを運んでいるヘルとメイも最初の障害物までもう少しというところまで来た。

 ただ、ペア用のチーズは結構重く、体格の割にはパワーのあるヘルと、普段から動き回っているメイでも、その時点で結構ヘトヘトになっていた。

 だが、このレースはそもそも一部の猛者を除いて一気に駆け抜けられるような設計にはなっておらず、その2人の周りや後続の者達も、ちょくちょくチーズを地面に降ろしたりして休みながら走っていた。


「よしっ、通った! リックお先に!」

「あっ、くそっ! ……おらっ! よし、俺も通った! 待てカイン!」

「おおー! 先頭の2人が最初の障害物を突破したぞー!」


 ただ、そんな参加者達の中ではやはりリックとカインのフィジカルは抜けているようで、後続が障害物に辿り着いたくらいで2人は障害物を抜けていった。


「わふっ、わふっ」

「お、最初の障害物に着いたぞ」

「わふー♪」


 そんな中、シュージと神獣の3匹はようやく最初の障害物に到着した。


「わふわふ」

「コンっ」

「クー」

「え、えーっと、どうしましょうか?」


 ただ、どう見ても神獣の3匹がチーズを投げられるようには見えなくて、壁を持ってきた係員の人は困惑の声を上げていた。


「コン!」

「え、これでいいのかい?」

「コンコン!」


 そんな係員の人の所へマフが近付いていくと、中々高いところに穴がある壁を前足でテシテシして「これでいいよー!」と一鳴きした。

 それに対して「大丈夫だろうか?」と思いつつ、係員の人は3匹の前にその壁を置いた。


「クー」

「お、ムウが運ぶのか」


 その壁を越える役割はどうやらムウが務めるらしく、シュージはムウに促されるままチーズを動かしていった。

 その結果、


「クー」

「「「か、可愛いー!!」」」


 ムウは背中の甲羅と頭を器用に使ってチーズを背負い、ふよふよと宙に浮かびながらチーズを運び始めた。

 その動きは慎重ゆえかムウのマイペースさゆえかは分からないが非常にゆっくりで、周りの観客達はもうメロメロになってしまっていた。


「わふー!」

「コンコンっ!」

「クー……」


 そんなムウの下では、コロとマフが「早く早くー!」と言った感じでぴょんぴょん飛び跳ねていたが、ムウは「無茶言わないでよ~」と言った様子で、その後もマイペースにチーズを運んでいった。


「クーっ」


 そして、なんとか壁の穴の目の前に来たムウは、ほいっとチーズを穴に通していった。


「上手だったな、ムウ」

「クー♪」


 そうして地面に落ちたチーズを、再びシュージが転がるように立たせて、今度はマフがその上に乗って玉乗り形式でチーズを転がし始めた。



※※※



 神獣達を書くと、妙に筆が乗って文字数が増える……^^;

 可愛いは正義ですね^ ^

 それと、目の手術は無事両方終わりました!

 視力はなんと0.1以下から裸眼で1.2まで戻って、経過も特に問題なく、少しずつ執筆も再開しております!

 徐々に投稿ペースも上げていくつもりなので、楽しみにしていてくれればと!

 あと、一応そういった近況だったり何気ないことだったりをTwitter(X)で呟いておりますので、興味のある方は僕のアルファポリスのプロフィール欄から飛んでフォローしてみてください^ ^
感想 256

あなたにおすすめの小説

隠れ居酒屋・越境庵~異世界転移した頑固料理人の物語~

呑兵衛和尚
ファンタジー
調理師・宇堂優也。 彼は、交通事故に巻き込まれて異世界へと旅立った。 彼が異世界に向かった理由、それは『運命の女神の干渉外で起きた事故』に巻き込まれたから。 神々でも判らない事故に巻き込まれ、死亡したという事で、優也は『異世界で第二の人生』を送ることが許された。 そして、仕事にまつわるいくつかのチート能力を得た優也は、異世界でも天職である料理に身をやつすことになるのだが。 始めてみる食材、初めて味わう異世界の味。 そこは、優也にとっては、まさに天国ともいえる世界であった。 そして様々な食材や人々と出会い、この異世界でのライフスタイルを謳歌し始めるのであった。 ※【隠れ居酒屋・越境庵】は隔週更新です。

異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~

黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!

異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました

雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。 気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。 剣も魔法も使えないユウにできるのは、 子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。 ……のはずが、なぜか料理や家事といった 日常のことだけが、やたらとうまくいく。 無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。 個性豊かな子供たちに囲まれて、 ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。 やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、 孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。 戦わない、争わない。 ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。 ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、 やさしい異世界孤児院ファンタジー。

畑の隣にダンジョンが生えたので、農家兼ダンチューバーになることにした件について〜隠れ最強の元エリート、今日も野菜を育てながら配信中〜

グリゴリ
ファンタジー
 木嶋蒼、35歳。表向きは田舎で農業を始めて1年目の、どこにでもいる素朴な農家だ。しかし実態は、内閣直轄の超エリート組織・ダンジョン対策庁において「特総(特別総括官)」という非公開の最高職を務める、日本最高峰の実力者である。その事実を知る者は内閣総理大臣を含む極少数のみ。家族でさえ、蒼が対策庁を早々に退庁したと信じて疑わない。  SSSランクのテイムスキルと攻撃スキル、SSランクの支援スキルと農業スキルを18歳時に鑑定され、誰もが「化け物」と称えたその実力を、蒼は今日も畑仕事に注ぎ込んでいる。農作物の品質は驚異的に高く、毎日の収穫が静かな喜びだ。少し抜けているところはあるが、それもご愛嬌——と思っていた矢先、農業開始から1年が経ったある朝、異変が起きた。  祖父母の旧宅に隣接する納屋の床に、漆黒に金の縁取りをしたゲートリングが突如出現したのだ。通常の探索者には認識すらできないそれは、蒼だけが見えるシークレットプライベートダンジョン——後に「蒼天の根」と呼ばれることになる、全100階層の特異空間だった。  恐る恐る潜ったダンジョンの第1層で、蒼は虹色に輝くベビースライム「ソル」と出会い、即座に従魔として契約。さらに探索を進める中でベビードラゴンの「ルナ」、神狼種のベビーシルバーウルフ「クロ」を仲間に加えていく。そしてダンジョン初潜入の最中、蒼の体内に「究極進化システム」が覚醒する。ダンジョン内の素材をエボリューションポイント・ショップポイント・現金へと変換し、自身や従魔、親しい者を際限なく強化・進化させるこのシステムは、ガチャ機能・ショップ機能・タスク機能まで備えた、あまりにもチートじみた代物だった。  蒼は決める。「せっかくだから配信もしよう」と。農家兼ダンチューバーという前代未聞のスタイルで探索者ライセンスを取得し、「農家のダンジョン攻略配信」を開始した彼の動画はじわじわと注目を集め始める。  そんな中、隣のダンジョンの取材にやってきたのが、C級探索者ライセンスを持つ美人記者兼ダンチューバー・藤宮詩織だった。国際探索者協会の超エリート一家に生まれながら自らの道を切り開いてきた彼女は、蒼の「農家なのになぜかとても強い」という矛盾に鋭い鑑定眼を向ける。  隠れ最強の農家配信者と、本質を見抜く美人記者。チート級の従魔たちが賑やかに囲む日常の中で、二人の距離は少しずつ縮まっていく。ダンジョン攻略・農業・配信・ガチャ・そして予期せぬ大事件——波乱と笑いと感動が交錯する、最強農家の新米配信者ライフが、今幕を開ける。

家族に忘れられていた第五王子は愛され生活を送る

りーさん
ファンタジー
 アズール王国の王宮には、多くの王子や王女が住んでいる蒼星宮という宮がある。  その宮にはとある噂が広まっていた。併設されている図書館に子どもの幽霊が現れると。  そんなある日、図書館に出入りしていた第一王子は子どものような人影を見かける。  その時、父である国王にすら忘れられ、存在を知られていなかった第五王子の才覚が露になっていく。

【完結】うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。

かの
ファンタジー
 孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。  ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈

異世界召喚された俺の料理が美味すぎて魔王軍が侵略やめた件

さかーん
ファンタジー
魔王様、世界征服より晩ご飯ですよ! 食品メーカー勤務の平凡な社会人・橘陽人(たちばな はると)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。剣も魔法もない陽人が頼れるのは唯一の特技――料理の腕だけ。 侵略の真っ最中だった魔王ゼファーとその部下たちに、試しに料理を振る舞ったところ、まさかの大絶賛。 「なにこれ美味い!」「もう戦争どころじゃない!」 気づけば魔王軍は侵略作戦を完全放棄。陽人の料理に夢中になり、次々と餌付けされてしまった。 いつの間にか『魔王専属料理人』として雇われてしまった陽人は、料理の腕一本で人間世界と魔族の架け橋となってしまう――。 料理と異世界が織りなす、ほのぼのグルメ・ファンタジー開幕!

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!