マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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連載

#350 祭りの閉会式

 予約投稿ミスってましたm(_ _)m



※※※



「いやー、取り乱してしまって申し訳ない」

「構いませんよ」


 グレースが両親へと本心を打ち明け、わだかまりを解消する事ができてから少し経ち、ようやく落ち着いてきたヒノスクが申し訳なさそうにしながらシュージとカグラに軽く頭を下げてきた。


「こっちとしても、胸があったかくなりましたわ~」

「はは、少し恥ずかしいな。 だが、本当に良かった。 シュージ殿、カグラ殿、グレースが今を幸せだと思ってくれているのは、貴殿達のおかげでもあるのだろう。 本当にありがとう」

「これからもグレースの事をよろしくお願い致しますわ」

「グレースにはいつも助けられとるから、こちらこそお世話になりますわ~」


 カグラの言う通り、グレースは冒険者としての実力はもちろん、優しくて若手の面倒見も良いので、蒼天の風に無くてはならない存在だ。


「そうだ、お父様、お母様、良ければこの後、大教会の前で閉会式も兼ねた催し物がありますから、共に行きませんか」

「おお、それは良いな。 分かった、準備をしよう。 シュージ殿とカグラ殿も一緒にどうだい?」

「よろしいのですか?」

「もちろんだ。 祭りなんてものは参加する者が多ければ多いほど良いものだろう」


 という事で、シュージ達はこれから行われる今回の祭りの閉会式を見に行く事になった。

 そのため、ヒノスクとアーネスは出かけるための服装に着替えるため、一度部屋を出ていった。


「シュージさん、カグラさん、改めてありがとうございました」

「いえいえ、僕達は何もしてませんよ」

「そんな事ありません。 お二人がいなかったら、私はまた勇気を出せずに、今まで通りお父様とお母様に謝られるばかりになってしまったと思います。 だから、本当に感謝しています」

「改めて言われるとなんか照れるね~。 まぁ、グレースのためになったんなら良かったわ~」


 それから少し待っていると、ヒノスクとアーネスの準備が整ったようなので、シュージ達は屋敷から出て大教会の近くまで歩いていった。


「こうしてグレースとお祭りを回るなんて、本当に久しぶりね」

「ふふ、そうですね。 少し気恥ずかしいですが、来年以降も機会があったらまた来たいです」

「おお、それならば来年のこの時期は予定を空けておかないとな」

「気が早いですよ、お父様」


 わだかまりが解消されたおかげか、大教会へ向かう道中、グレース一家は仲睦まじげに会話をしていた。

 恐らくはこれがこの一家本来の距離感なんだろうなと、横にいるシュージとカグラはほんわかした気持ちでその様子を眺めていた。

 それから程なくして大教会に着くと、そこには簡易的なステージのようなものが用意されていて、丁度聖女達のダンスが始まる所だった。

 なので、観覧スペースにシュージ達は移動し、観る体勢を整えた。

 すると、軽快なリズムをした音楽が演奏隊によって奏でられ始め、ステージの上で並んだ聖女達が優雅に踊り始めた。

 その踊りは、割とポップな感じの動きから、バレエのようなしなやかな動きも取り入れられていて、体をよく動かすシュージから見ても、結構難しそうだなと思うくらいの動きだった。

 だが、聖女達はそんな振り付けを完璧に覚えているのか、見事に踊ってみせていた。

 
「上手いもんやね~」

「華がありますねぇ」


 シュージの言葉通り、可憐な聖女達が綺麗な衣装を着て楽しそうに踊っている姿は非常に華があるもので、観覧スペースにいるの者達は自然と体が揺れ出したり、音楽に合わせて手拍子を始めたりしていた。


「ふふ、可愛らしいですね」


 その中にはグレースもいて、かつての自分と同じ聖女達の姿を、まるで我が子を見るかのような眼差しで眺めていた。

 そんなダンスも気付けばあっという間に終わり、その次には聖女達と神父達が教会に伝わる聖歌を歌い始め、その厳かな歌声に、皆今度はひたすらに聴き入っていく。


「~~……♪」


 そんな聖歌はやはりこの国だと有名なようで、観覧スペースにいるこの国の者達、そしてグレースもその聖歌を口ずさんだりしていた。


「……皆様、お越しいただきありがとうございました」


 やがて、聖歌が終わりを迎えると、ステージの上にはこの国の教皇であるティナが上がり、締めの挨拶を取り行っていく。


「今年もこうして大事なくこの祭りを迎え、そして終えられる事に感謝を。 ……今回の祭りでは、我々が敬愛してやまない女神ソフィア様からのありがたいお言葉もいただけました。 それもこれも、普段から皆様が女神様への感謝を忘れていない証拠でしょう」


 ティナのその言葉に、この場にいる者達は皆誇らしげな表情を浮かべていた。


「ただ、だからといって、我々が先人達より優れているかと言われたらそんな事は決してありません。 むしろ、先人達の女神様に対する想いが積み重なり、我々の代でありがたい事に女神様が顕現してくださったのだと思います。 ですから、我々はこれまでと変わらぬ信仰を捧げ、この想いを未来へと繋げていく事が何よりも大事です。 そして、また来年もこうして楽しい祭りが迎えられるよう、一人一人が大義を持って過ごしていきましょう」


 ティナがそう締め括ると、この場にいる者達は全員が盛大な拍手を打ち鳴らし、これにて祭りは終わりを迎えるのであった。


「いやー、楽しかったですね」

「そうですね。 本当に来て良かったです」

「この後はどうしましょうかね?」

「でしたら、閉会式は終わりましたが、まだしばらく屋台は出ていると思うので、軽く屋台を巡りましょうか。 お父様もお母様もよろしいですか?」

「もちろんだ」

「一緒に楽しみましょう」


 という事で、シュージ達はその後も皆で屋台巡りをし、最後まで教国の祭りを楽しみ尽くすのであった。
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