マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#54 パーティーには華やかな料理を

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 ――ガヤガヤガヤ……


 ここはセネルブルグ家の城内にあるとても大きなダンスホール。

 そこには現在、セネルブルグ辺境伯の一人娘である、シュミット・セネルブルグの誕生日パーティーに招かれた貴族達が入場して来ていた。

 今回のパーティーは立食形式となっており、それぞれの手に取り分け用のお皿が渡され、ホールの中心部には料理の取り分けや説明を行うシェフ達が既にスタンパイしていた。


「おおっ! なんだか見たことのない料理ばかりだ!」

「まぁっ、とても綺麗ね!」


 当然、貴族達は料理の方へと一直線に歩いていったのだが、そこには見たことのない料理が沢山並べられていた。

 今回、立食パーティーの形式に決まった際にシュージが考えたのは、まず第一に食べやすさだ。

 立食の状態ではナイフとフォークを使ってとはいかず、良くてフォークだけなので、フォークですぐに食べれたり、爪楊枝やスティックを刺して摘めたり、なんなら手で食べれるような一口サイズの料理を主に用意した。

 それはいわゆるフィンガーフードと呼ばれるようなもので、例えばカナッペという一口大に切ったパンやクラッカーにチーズや野菜、ハムなどを乗せたものや、ミニトマトを半分に切り、その間にチーズやハムなどを挟んだものといった形で、見た目もとても華やかな仕上がりになっている。

 他にも、一口大のじゃがいもや玉ねぎが入ったオムレツに、ローストビーフを丸めて爪楊枝で留めたものなども並べられていて、皆んな早く食べてみたいとその料理達から目が離せなくなっていた。


『皆様、本日はお集まりいただきまして、ありがとうございます。 我らがセネルブルグ家の方々の入場でございます』


 と、参加者全員がホールに集まったところで、司会の者の魔法で拡声された声がホールに響き渡った。

 それからすぐにホールの上座にあたる場所から、セルゲイ、ミリア、そして本日の主役であるシュミットが姿を見せた。

 すると、会場からは盛大な拍手が鳴り響き、皆んな笑顔でシュミットの誕生日を祝福してくれていた。


『本日は我が愛娘、シュミットの誕生日パーティーにお集まりいただき、心より感謝申し上げます。 本日は我が家のシェフ達が腕によりをかけた料理を用意致しましたので、ぜひご堪能ください』

『皆様、本日は私、シュミットの祝いの場に集まっていただき、ありがとうございます。 こんなに大勢の方に祝われて、私はとても幸せでございます。 なのでどうか、私達のもてなしも楽しんでいってくださいね』


 そんなセルゲイ、そしてシュミットの挨拶が終わると、ホールは再び大きな拍手に包まれた。

 それは形式なものではなく、セルゲイは元より、まだ12歳のシュミットが立派に貴族としての挨拶を行った事による感嘆からきたもので、彼女の事を同じ貴族として誇りに思う気持ちがホール内に広がっていった。

 そんな挨拶も済んだので、貴族達はセルゲイとシュミットの勧めもあり、用意された食事に手をつけ始めた。


「こ、これは美味しい!」

「なんだこれは! 食べたことないものばかりじゃないか!」


 すると、それを食べた貴族達は、皆んな驚きを隠せない様子ですぐに虜になっていった。

 それもそのはずで、見た目だけが華やかな料理はここにいる貴族達も食べた経験はあるが、今回の料理達は味までも完璧だったのだ。

 しかも、香辛料や調味料を使っての無理矢理な味付けではなく、あくまで調味料はその食材達の美味しさを補助する程度しか使われておらず、どれも食材本来の自然な美味しさが口に広がるのだ。

 今まで自分達を食通だと自負していた高位の貴族達ですら、今まで美食だと思っていたものはなんだったのだろうと思ってしまうほど、今回用意された料理はどれも美味しいものだった。


『皆様、お食事のところ恐縮ですが、ここでフローリア第一王妃様、ルビィ第三王女様のご入場でございます』


 と、しばらく貴族達が料理に舌鼓を打っていると、魔法によって拡声された音声が再びホールに流れた。

 その言葉が終わると、来賓用の入場口から他の貴族達とはまた一段と上のオーラを放った美しい女性と、その女性に良く似た少女が、美しいドレスを身に纏ってゆっくりとホールに入ってきた。

 それを見た貴族達は、近くのテーブルにお皿を置き、膝をついて敬礼の姿勢を取った。

 そして、今入場した女性は、セネルブルグ家の者達がいる場所へ歩いていくと、優雅にセルゲイ達に向かって一礼し、言葉を発した。


「楽にして構いません」


 拡声の魔法はまだ使っていないはずだが、その声はやけにホールに響き、それを聞いた貴族達は立ち上がって改めて姿勢を正した。


『第一王妃のフローリア・レア・シルムーンでございます。 本日はこのような素敵なパーティーにお招き頂き、感謝致します。 シュミット様、改めてお誕生日、おめでとうございます』

『だ、第三王女のルビィ・レア・シルムーンでしゅ! あう…… か、噛んじゃった…… あっ、し、シュミット様、お誕生日おめでとうございますっ!』

『祝いの言葉、大変光栄でございます。 王妃様、王女様』

『あまり長々とした挨拶も場が冷えてしまいますから、この辺りで。 何やら、珍しい料理達も見えますし、私達も楽しませていただきましょう』


 そんな風に王妃の挨拶も締め括られ、パーティーは再び先程までの賑わいを取り戻すのであった。



 ※※



 ちょっと物寂しかったので、表紙を美味しそうなご飯にしてみました。

 by作者
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