マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#172 ネルとコロと教国へ

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「んー、もふもふ。 あったかい」

「季節も季節ですからね」

「わふ~」


 現在、シュージはコロを抱き抱えたネルと一緒に街を歩いていた。

 ただ、街とはいっても、そこは蒼天の風があるヤタサの街ではなく、ネルの古巣である教国の街だった。

 ネルはちょこちょこ転移門を使ってこちらに来ていたそうだが、シュージは初めて教国に訪れた時振りだ。

 元々、今回の訪問は多忙な教皇であるティナや枢機卿のツィーロの予定と相談して、前々から決めていた事ではあるのだが、先日仲間になった神獣のコロについても色々聞きたい事ができたので、渡りに船だった。

 そんなシュージ達は、この国の城でもある大教会に辿り着き、関係者専用の入口から中に入って、以前も来た事がある高位の神官が使うこぢんまりとした教会に向かった。


「お久しぶりです、シュージ様」

「ティナ様、ツィーロさんもお久しぶりです」


 そこには既にティナとツィーロが待っていて、シュージ達を出迎えてくれた。


「あら、ネル? その仔狼は……?」

「最近仲間になったコロちゃん」

「わふ!」

「おや、可愛らしいですね。 ですが、少し不思議な気配が……」

「そうですね。 何となく、シュージ様に似た気配を感じます」

「やっぱり2人とも分かるんだ」


 実はネルやグレースもそうだったが、コロからは何だか不思議な気配が感じ取れるそう。

 獣人が感じる畏れ多さとはまた違う感じで、ネル曰く、以前もシュージに対して言っていた、神気のようなものを纏っているらしい。


 ――キィンッ
 

 そんな挨拶を交わしていると、この部屋にある女神像が光を帯び始め、一際強い光を放ったかと思うと、そこには当の女神本人である、ソフィアが立っていた。


「ふふ、こんにちは皆さん♪」

「ああっ、ソフィア様っ。 また前触れもなく……」

「久しぶり、ソフィア様」

「ネルちゃんは久しぶりね」

「ネルちゃんは? 教皇様は違うの?」

「実はたまに会いに来てたわ♡」

「むぅ、ずるい、教皇様」

「そ、そんな事言われても……」

「神界は退屈なのよー。 だからティナちゃんが手の空いてそうな時とか、他にも大丈夫そうな時にお邪魔してるわ」

「いつの間にかこちらに来てて、食堂で聖女達と普通に話してるのを見た時は、びっくりして腰を抜かすかと思いましたよ……」

「わふわふ!」


 そんな風に話していると、コロがネルの腕から飛び降り、ソフィアの方へ駆けていった。


「あら、神獣ちゃんも久しぶりね」

「わふー!」


 そんなコロをソフィアは優しく抱っこしてあげていた。


「ソフィアさん、コロについてご存知なんですか?」

「もちろんですよ。 だって、神獣ちゃんは私が創った存在ですし」

「えっ、そうなんですね?」

「遥か昔、この世界が誕生し立てで安定していない時代は、まだ魔法とかスキルの概念が確立されて無かったですし、こうして私を崇めてくれる宗教なんかも無かったので、なにか有事の際に私が介入できるよう、橋渡しの役割でこの子を創ったんです」

「神獣はそういう役割があったんですね」

「もちろん、この子にもちゃんと自我はありますから、私の操り人形とかじゃないですよ? 姿を見せるかどうかも、この子に任せてます」

「今回姿を見せてくれたのはどうしてなんでしょう?」

「シュージさんの事が気に入ったんじゃないですかね? 神獣の力は強大ですから、自分が姿を見せることの危険性もこの子は分かってて、その上でシュージさんと一緒にいたいと思ったんだと思いますよ」

「そうなのかい、コロ?」

「わふっ!」


 シュージがそう尋ねると、コロは元気よく声を上げて肯定した。
 

「そうか、それは嬉しいな」

「ぜひ可愛がってあげてください。 昔からこの子は人が大好きでしたから」

「分かりました。 これからもよろしくな、コロ」

「わんっ!」

「あ、そうしたら…… それっ」


 ソフィアはコロを一旦地面に降ろして、頭を指でちょんっとした。


「わふ?」

「これでよし。 何だか今のあなたは一部の種族にとっては畏れを与えちゃうみたいだから、その存在感を抑えたわ」

「ああ、それは助かりますね。 うちのギルドの獣人の人も、慣れてはきたみたいですけど、急に視界に入ったりすると身構えちゃうと言ってたので」

「どうして獣人だけああなってたの、ソフィア様?」

「それは、かつてのこの子が人と交わって生まれたのが獣人という種族だからね」

「やっぱりそうだったんですか。 ちなみに、その時の記憶とかってあるんですか?」

「今のこの子には無いと思いますよ。 そもそも、神獣というのは生物というより概念で、終わりは自分で決められるので。 歴史に残らないぐらい姿を見せず、眠っていたということは、かつてのこの子がそれを望んだからで、その時に何があったのかは私も分からないですね」

「なるほど……」

「でも、こんなに無垢でいい子としてこうして再び現れたという事は、過去に終わりを迎えた時も、決して悲しい終わりではなかったのだと思います」

「わふわふ」

「そうですか。 じゃあ、今世でも沢山思い出を作っていこうな」

「わふ!」


 とりあえず、コロについて聞きたいことはあらかた聞けたので、シュージ達は一旦その場を後にし、移動を始めるのであった。
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