マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#191 ベヒモスの肉と今後の話

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 アクセルからもらったベヒモスの肉は、とりあえず使いそうな量切り出し、残った分は収納袋に入れた。

 そして、まずは扱いやすい大きさに切り分けていく。

 アクセルに聞いたところ、ベヒモスの肉はバッファロー肉系統の最上位みたいな味という事で、一旦は牛肉だと思って使う事にする。


「何作るんだ?」


 そんな風に厨房で作業しているシュージを見に、アクセルとサキナがカウンター席にやって来た。
 

「せっかく良いお肉なので、シンプルなステーキと、もう一品ちょっとアレンジを加えたものを作ろうかと」

「おー、楽しみだな。 にしても、こうやって調理風景が見れるのはいいな」

「シュージは手際が良いから、何だか一つのショーを見てる気分になるよ」

「僕の故郷では結構そういうのもありましたねぇ」


 前世ではオープンキッチンで炎を派手に立てながら料理したり、バーなどでカッコよく氷を削ってカクテルを作ったり、大きな魚などを解体するショーなど、結構食材を使って魅せる行為は行われていた気がする。

 それもそれでもちろん楽しいが、意外と熟練の料理人がただ料理をしているという光景も、一つのショーのように鮮やかに写るものだったりする。

 今のシュージはまさにそれだろう。

 しかも、シュージはこうしてカウンター席に見に来てくれる人と和やかに雑談までしてくれるので、蒼天の風のメンバー達もよく訪れるのだ。


「そういや、グディノスとか甥っ子達がまたシュージの料理食べたいって言ってたぜ」

「おや、それは嬉しいですねぇ」

「いっそシュージがやってる店とがあれば通えるんだけどなー」

「確かに、こんなに美味しい料理が食べれるお店があったら通ってしまうな」

「うーん、お店をやるのも楽しそうですけど、用務員の仕事も楽しいんですよねぇ」


 好きな料理や掃除などをして、仲間に貢献ができる今の用務員という仕事をシュージはとても気に入っているので、それを捨ててまでお店をやったりするつもりはなかった。


「ただ、アクセルさんみたいにこうしてここのいつもの食事にお邪魔しに来るとかなら全然構いませんよ」

「おっ、マジか。 それなら暇な時とか来てぇな」

「あー、ただ、グディノス様のような王族の方をここに招くのは色々問題ありますかね? ギルドのメンバー方も王族の方が来たりしたら落ち着いてご飯食べれないかもしれませんし」

「んー、なら、ここに来たら身分とかは関係ないって事にすればいいんじゃね?」

「ふむ?」

「ここに飯食いに来たやつは、ただシュージの飯を食いに来るだけ。 そこに政治とか立場とかは持ち込まないっていう事にすれば、ここの奴らも気にはならないだろ? シュージの知り合いが来たなーぐらいに思ってもらえば」

「なるほど…… 確かにそれなら良いかもしれませんね」

「シュージがここに呼んでも良いって思う奴等なら、嫌な奴とかもいないだろうしな。 それに、安全面もここには高ランク冒険者が沢山いるから、めちゃくちゃ安全だし」

「まぁ、そうですねぇ」

「王族とか貴族とかやってると、中々羽を伸ばす機会もないしな。 ここがそういう場になったら、多分皆んなこぞって来たがると思うぜ」

「面白そうですけど、ジルさんとか他のメンバーの方々に相談しないとですね」

「それはもちろんそうだな。 ま、良ければ検討してくれよ」

「分かりました」


 確かに、このギルドはジルバート曰く、人がかなり増えても大丈夫な作りになっているので、実際、食堂のスペースもかなり余っている。

 以前、潮騒の花のメンバーが数十人来ても余裕なぐらいだったので、お客さんを呼ぶのは十分可能だろう。

 シュージ的にも、身分関係なく美味しい食事を楽しめる場があるのは面白そうだなと思う。

 割と知り合いにそういう方々も多いし。

 なので、後でジルバートに少し話してみようと思う。


「って、そんな話してる間にもう出来そうだな」

「私は話より料理に気を取られていたよ」

「はは、ありがとうございます。 では、まずはシンプルなステーキからどうぞ」


 のんびりと話している間にステーキがもう焼き上がったので、ライスと一緒にカウンター席にいる2人にステーキが盛り付けられたお皿を手渡した。

 早速それをアクセルとサキナはナイフとフォークを使って口に運んでいった。


「んお!? 美味いな! 焼き加減が絶妙だ!」

「それもそうだけど、なんというか普通のステーキよりも旨味が凄い気がするよ……!」

「確かに、前にもベヒモスのステーキ食ったことあるけど、その時よりインパクトある気がするな?」

「焼き方の問題かもしれませんね」


 今回、シュージはステーキをじっくり時間をかけて火を通し、少し休ませたりしてから提供したので、肉汁や脂が肉からほとんど出ておらず、それによって噛めば噛むほど肉から旨味が出る仕上がりになっていた。


「良ければこちらのものも味変にどうぞ」

「これはなんだい?」

「スパイスと混ぜた塩と、甘辛いタレ、あと酸味のあるポン酢というものです。 どれも合うと思いますので、試してみてください。 横のライスと一緒に食べるとまた美味しいですよ」


 シュージに言われた通り、アクセルもサキナも思い思いのものをかけて再びステーキを頬張った。

 すると、また先程とは違った美味しさが口の中に広がり、ライスと一緒に食べるとそれはもう口の中が幸せ包まれていった。


「いやー、美味いな! もうこれだけでも来た価値あるわ」

「まだありますよ。 お次はこちらですね」

「お、これは?」

「にんじんと、さやいんげんという野菜を薄切りにしたお肉で包んだものです」

「へー、野菜と肉を一緒にか。 ……お! これも美味いな!」

「獣人国では野菜の需要が高まっているなら、こういう料理も受け入れられそうですね」

「確かにな! サラダだけじゃなく、こういう食べ方もあるのかー」

「あれ、アクセルじゃないか?」

「ん? おー、ディアナ! ジルバートからここにいるって聞いてたけど、本当にいるんだな」


 それからお昼ご飯を食べに蒼天の風のメンバー達も続々と集まってきて、中でもガルやシャロ、ピュイは出身国の公爵で、獣人冒険者の憧れであるアクセルがいて驚いたりしていた。

 その後はアクセルに蒼天の風の若手メンバーが軽く稽古をつけてもらったり、そこにディアナも混ざろうとしてアクセルに断られ撃沈していたりと、和やかな時間を過ごすのであった。

 なお、アクセルと話していた、シュージの知り合いを食事に招いたりするのは良いかとジルバートに聞いたところ、身分とか政治は持ち込まず、こちらがいつも通りに過ごしていても目くじらを立てたりしない人なら全然OKだと言ってもらえ、また少し賑やかになりそうな予感がふつふつと湧いてくるシュージなのであった。

 

※※※



 使ってる執筆アプリが最近バグってるので、何か誤字やら問題あったら遠慮なく教えてください。 
             by作者
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