マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#223 イザベラの誕生日

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「なんだかこそばゆいねぇ」

「はは。 まぁ、皆さんイザベラさんのことをお祝いしたいんですよ」


 今日は蒼天の風の頼れる学者であるイザベラの誕生日。

 もはや恒例となった誰かの誕生日のために、手の空いているメンバー達は食堂を飾り付けたりしていた。

 当の主役であるイザベラはのんびりと紅茶を飲みながら、シュージ達が厨房で料理を作っている風景を眺めていた。


「もうわざわざ誕生日を祝うような歳でも無いけどねぇ」

「折角の記念日ですから、たまにはいいじゃないですか、こういうのも」

「まぁ、普通に嬉しいよ」


 イザベラは普段から大人な立ち振る舞いをする女性だが、見た目は非常に若々しい。

 それこそ20代前半と言っても通じるレベルではあるものの、以前ふと年齢の話になった時にあっさりと31歳と教えてくれた。

 本人的には別に年齢を知られようがどうでもいいらしい。

 ……世の女性全てがそうでは無いので、あまりシュージは女性に年齢の話はしないようにしているが。

 そんな訳で、今日は32歳の誕生日になるのだが、やはり全く32には見えなかった。


「若々しいですよね、イザベラさんは」

「まぁ、冒険者の活動もちょこちょこしてて動いてるからねぇ。 冒険者をやってる人は結構若々しいのが多いよ」

「確かにそれもそうですね」


 やはり若さを保つためには運動は必要なようだ。


「それにしても、ここにいるとお腹が空いて仕方ないねぇ」

「もう後は仕上げだけですから、すぐ出来ますよ」


 今日のご飯は当然イザベラが好きな料理…… 大まかに言うとワインに合う料理を用意している。

 なので今回は、地球で言うところのイタリア料理系統が多めになっている。

 いろんな種類のピザだったりパスタ、生ハムとチーズをクラッカーに載せたカナッペなど、彩りもとても豊かで非常に美味しそうだ。


「シュージさん、こっちも焼けましたよ」

「お、良い感じですね。 では運びましょうか」


 そして、オーブンで焼いていた今日の目玉である、ラムチョップのローストも完成した。

 ラムチョップというのは、羊の背肉の事を指し、骨付きのとても旨味の強い部位だ。

 今回はスリープシープという羊の魔物のものを使ったので、サイズもかなりの大きさがあった。

 それらの出来上がった料理達を、早速食堂の方へと運んでいき、イザベラには一番目立つ真ん中の席に座ってもらった。


「はい、イザベラ! これ着けてー!」

「えぇ? 着けなきゃダメかい?」

「主役なんだからいいじゃんー!」

「分かった分かった」


 それからイザベラには、渡された主役が着けるとんがり帽も被ってもらった。

 割と面白グッズのはずだが、美人のイザベラが着けると何だか普通に似合っていて、魅力的に見えるのが不思議である。


「あ、早速ですがイザベラさん、こちらをどうぞ」


 そう言ってシュージが取り出したのは、中々に大きめのワインボトルだぅた。

 それをイザベラやお酒を飲める面々のグラスに注いでいく。
 

「おや、見るからに物が良さそうだねぇ」
 
「この前の国際会議での報酬で、いろんな高級な食材とかをまた頂けたんですけど、その中にこのワインもありました」

「王家がわざわざ報酬で? それは期待大だねぇ」


 ちなみにこのワインの銘柄は、国際会議の場で王達にも振る舞われるくらいの高級品で、値段は聞いていないが恐らくかなりの値打ち物だ。
 

「全員グラスは持ったな。 イザベラ、お前は学者、事務、冒険者と色々とやっていて、うちのギルドにとても貢献してくれている。 今後も頼むぞ」

「割と好き勝手やらせてもらってるけどねぇ。 まぁ、役に立ってるなら何よりだよ」

「では、乾杯!」

「「「かんぱーい!!」」」


 それからジルバートの音頭で皆が飲み物の入ったグラスを当て合いながら食事が始まった。

 早速イザベラは、食べやすいように切り分けられたラムチョップのローストをフォークで口に運んでいった。


「うん、美味しいねぇ」


 今回用意したラムチョップは、長時間香辛料などと一緒に置いておいたので、とても香ばしく、しかも元々旨味の強いラムチョップなのに、それに魔物肉特有の強い旨味も加わっており、絶妙な焼き加減も相まってとてもジューシーで食べ応えのある一品になっていた。


「んっ…… はぁ…… このワインも最高だねぇ……♡」


 そして、そのラムチョップの旨味が残っている口の中に、ワインをくいっと注ぎ入れると、それはもう言葉には出来ないくらいの多幸感が体を駆け巡っていった。

 それは普段から余裕げな態度を崩さないイザベラの表情を、うっとりとしたものに蕩けさせるぐらいの破壊力があった。


「このワイン、凄いですねぇ……!」

「ああ、飲みやすいし、香りもとても良い。 間違いなく一級品だろうねぇ」


 流石の王家がわざわざ渡してくるワインなだけあって、本当に極上のワインとなっていた。


「ありがたいことに結構数も貰えましたから、定期的に出しましょうか」

「それは日々の晩酌が捗るねぇ。 飲み過ぎないように注意しないとだ」


 その後も美味しいワインと料理に舌鼓を打ちながら、とても満足そうな表情で誕生日パーティーを過ごすイザベラであった。

 なお、誕生日のプレゼントとして、メンバー達でお金を出したりし合って手に入れた素材を、ジンバやミノリ、シドなどの職人勢が立派な本棚と座り心地の良い椅子に仕上げて、それがメンバー一同のプレゼントとして贈られたのであった。
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