マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#225 便利な調理器具

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「あ、ジンバさん! お疲れ様です!」

「おう」

「ジンバの旦那! 俺らが時間あったら作った武器見てくれよ!」

「気が向いたらの」


 現在、シュージとジンバは工業国家の職人街にやって来ており、そこを歩き始めるや否や、辺りにいる色んな人がジンバに声をかけてきた。


「ジンバさん、人気ですねぇ」

「この国の職人は腕が全てじゃからな」


 ジンバのその言葉を裏付けるように、周りにいる者…… 特に若手の職人達は皆んなジンバの事を尊敬の眼差しで見ていた。

 ジンバはそれを適当にあしらいつつ、シュージの事を目的地まで案内してくれた。


「ここじゃ」

「おお、立派ですねぇ」


 そうして辿り着いたのは、辺りと比べてもかなり大きめの工房だった。


「あ、お帰りなさい、ジンバさん」


 そこには5人ほどのハーフリングの女性が作業をしており、ジンバの姿を見つけると、すぐに挨拶をしてくれた。
 

「うむ、ご苦労。 ナーナは留守か?」

「いえ、奥で作業してますよ。 製作品の仕上げだとかで集中してます」

「そうか。 シュージ、ナーナの作業が終わるまで、工房でも見るか?」

「お、是非見てみたいです」


 ここへは以前知り合ったジンバの嫁であるナーナを尋ねに来たのだが、まだ作業中らしいので、それが終わるまでは工房の中を見て回る事にした。

 その途中で、出迎えてくれたハーフリングの女性達とも軽く挨拶をしたところ、彼女達はナーナの弟子というかお友達というか、簡単に言えば職人仲間だそうで、ナーナが執り仕切っている店の売り子や売り物の制作をしているそうだ。


「あいつの店は貴族街と城下町に一個ずつ出とるから、それなりに人手がいるんじゃ」

「なるほど」


 ちなみに、貴族街の方では美しい装飾品などを売っていて、城下町の方では戦闘で使える魔道具や、生活の役に立つアイテムを売っているとのこと。

 どうやらナーナもジンバに負けず劣らずの腕の立つ職人のようだ。


「こっちが儂が使っとる鍛冶場じゃな」

「結構こぢんまりとしてますね?」

「昔は広かったが、今は蒼天の風が仕事場じゃからな。 ナーナが使うスペースを広くしたんじゃ。 ここはこの国の依頼で仕事をする時ぐらいしか使わん」


 その後もジンバとナーナの工房を色々と見せてもらったが、シュージも男なのでこういった無骨な造りをしている工房を見ていると心が躍るもので、かなり面白かった。

 あと、工房の裏手にはジンバとナーナが暮らす居住スペースもあり、そこも少し覗かせてもらったりもした。


「お待たせしました、あなた、シュージさん」


 と、あらかた工房を見て回ったところで、ナーナが作業を終えたようでシュージ達の所にやってきた。


「お疲れ様です、ナーナさん。 お邪魔してます」

「すみません、来ると聞いていたのにお出迎えできなくて」

「いえいえ、お気になさらず。 工房を見て回るの楽しかったですし」

「それなら良かったです。 では、こちらへ」


 それからナーナに連れられ、作業場の方へと行くと、そこには色々な道具が並べられていた。


「シュージさんに聞いた道具ですが、とりあえずいくつかを形にしてみました」

「おお、凄いですね」


 その道具達は、以前シュージがナーナに教えた、調理の助けになるような道具達だった。


「まず、こちらが圧力鍋ですね。 ここのおもりで圧力がかかってるか確認出来て、シュージさんに言われた通り、安全装置もいくつか付けてみました」


 まず目を引いたのは、銀色の結構大きいサイズの圧力鍋で、シュージが地球で見たことあるものと見た目はほとんど同じだった。


「こちらの空気孔から圧力がかかり過ぎたらちゃんと空気が抜けるようになっていて、圧力がかかっている間は蓋が開かないように完全固定されます。 あと、もし内部に衝撃が走った場合、強制的に圧力がゆっくり抜けて、鍋の内側が硬質化するようにしたので、内部で食材が爆発したりしても、外部に被害が出ることは無いと思います」

「おお…… すごい機能盛り盛りですね」


 圧力鍋の説明の際に、圧力鍋を使う際の危険なども話したのだが、そこも全部防げるような造りにしてくれたようだ。

 見た目は地球と同じ圧力鍋でも、やはりここは魔法の世界ということで、魔法を組み込んだり魔物の素材を使ったりすれば、それこそ魔法の道具と言うべき便利な道具が作れるという事を再認識させられた。


「次に、こちらがレンジですね」

「おお、レンジも作れたんですか?」

「シュージさんが言っていた、マイクロ波? という原理はよく分からなかったのですが、目に見えない波動を飛ばして対象の温度を上げるという話を聞いて、確かこの辺りにそんな現象を起こす攻撃をしてくる魔物がいたなと思い出したんです」


 どうやら、この辺りに生息しているヒートバットと呼ばれる火を纏った蝙蝠の魔物が、似たような現象を起こす攻撃をしてくるのだとか。

 なので、その魔物の器官を利用し、再現してみたという。


「シュージさんの知っているものとは仕組みがかなり異なるので、これは実際に使ってみてください。 こちらも色々と安全機能は付けておきました」

「ありがとうございます」


 それから、すぐにお湯が沸くポッドや、魔法瓶なども見せてもらったが、どれもほぼ理想通りに再現してくれていた。


「凄いですね、ナーナさん。 侮ったりしていた訳では決して無いんですけど、想像以上ですよ」

「そう言ってもらえると嬉しいです。 私も作っていてとても楽しかったので、感謝していますよ。 どれもとっても便利な道具なので、シュージさんに使ってもらって、少しずつ改良したら、ちゃんと売り出したいですね」

「分かりました。 僕もぜひこれらの道具は世に広まって欲しいので、何かできることがあればいくらでも言ってください」


 工業国家に来て早々とても良い物を手に入れたシュージは、その後も工房を見学させてもらったり、お土産として持ってきたクッキーの詰め合わせをナーナとそのお仲間さん達に食べてもらって非常に喜ばれたりと、有意義な時間を過ごすのであった。
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