マッチョな料理人が送る、異世界のんびり生活。 強面、筋骨隆々、非常に強い。でもとっても優しい男が異世界でほのぼの暮らすお話

かむら

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#313-1 ミノリの誕生日①

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 沿海州から再び馬車で数日かけて、シュージは蒼天の風へと帰ってきていた。

 そうなると、当然シュージと共にやってきたムウに注目が集まり、メンバー達はムウの事をたくさん可愛がってくれた。

 もうシュージが不思議な生き物を連れて帰ってくることにはもう皆んな慣れたようで、受け入れられるのもあっという間だったのはありがたい事なのだろう。

 そして、帰ってきた日はのんびりと過ごし、一夜明けた本日は、あるメンバーの誕生日という事で、豪華な夕食の準備をしていた。


「クー」

「ムウは料理しているところを見ているのが好きなんだな」


 そんな夕食の準備が行われている厨房では、シュージとハンスが忙しなく動き回っているのだが、ムウはその様子を邪魔にならないようにシュージ達の頭の上にふよふよ浮かびながら眺めていた。


「どういう原理で飛んでるんですかね?」

「魔法とも違う力みたいですよ。 詳しいことは分かりませんが」

「へぇ、さすが神獣ですね」


 ムウ本人がとてものんびり屋な性格な事もあり、恐らく地を歩く形だと、いつまで経っても目的地に辿り着かないかもしれないので、むしろこうした移動手段を持っていてくれるのはありがたい事なのかもしれない。

 地面をのんびりと歩く姿もそれはそれで可愛らしいとは思うが。


「よし、食材の準備はできたので、あとは仕上げですね」

「了解です」


 そんな夕食の準備も仕上げに差し掛かり、シュージとハンスはそれぞれ手頃なサイズの鍋に、切ったにんにくを擦り付けて香りを付け、白ワインを注いで火にかけ、しっかりアルコールを飛ばす。

 それが済んだら、つい先日、粉好きのナコルが新たに作り、シュージが買い取ったコーンスターチを塗したチーズを入れて溶かしていく。

 そう、今日の夕食は久しぶりのチーズフォンデュで、リクエストしたのは、今日の主役でもあるチーズが大好きなミノリだった。


「良い匂いする!」


 と、チーズが火にかけられた事で漂ってきたチーズの香りに誘われ、当の本人であるミノリがカウンター席までやってきた。


「もう少しで出来ますよ」

「ありがと! もう今日一日ずっと楽しみにしてた!」

「クー」

「お、ムウも楽しみみたいだね!」


 ミノリと同じく夕食を楽しみにしているムウもカウンター席に降り立ち、ひょいっとミノリに抱っこされていった。

 亀はどうしても体表がぬるぬるしてるんじゃないかというイメージがあるが、ムウは全然湿っていたりもせず、甲羅も体表もツルツルなので、抱っこするとひんやりしていて、もふもふのコロやマフとは違った抱き心地の良さがあったりする。

 そんな風に夕食をウキウキした様子で楽しみにしているミノリとムウを横目に、シュージとハンスはチーズフォンデュの仕上げを進めていった。
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