353 / 435
連載
#313-1 ミノリの誕生日①
しおりを挟む
沿海州から再び馬車で数日かけて、シュージは蒼天の風へと帰ってきていた。
そうなると、当然シュージと共にやってきたムウに注目が集まり、メンバー達はムウの事をたくさん可愛がってくれた。
もうシュージが不思議な生き物を連れて帰ってくることにはもう皆んな慣れたようで、受け入れられるのもあっという間だったのはありがたい事なのだろう。
そして、帰ってきた日はのんびりと過ごし、一夜明けた本日は、あるメンバーの誕生日という事で、豪華な夕食の準備をしていた。
「クー」
「ムウは料理しているところを見ているのが好きなんだな」
そんな夕食の準備が行われている厨房では、シュージとハンスが忙しなく動き回っているのだが、ムウはその様子を邪魔にならないようにシュージ達の頭の上にふよふよ浮かびながら眺めていた。
「どういう原理で飛んでるんですかね?」
「魔法とも違う力みたいですよ。 詳しいことは分かりませんが」
「へぇ、さすが神獣ですね」
ムウ本人がとてものんびり屋な性格な事もあり、恐らく地を歩く形だと、いつまで経っても目的地に辿り着かないかもしれないので、むしろこうした移動手段を持っていてくれるのはありがたい事なのかもしれない。
地面をのんびりと歩く姿もそれはそれで可愛らしいとは思うが。
「よし、食材の準備はできたので、あとは仕上げですね」
「了解です」
そんな夕食の準備も仕上げに差し掛かり、シュージとハンスはそれぞれ手頃なサイズの鍋に、切ったにんにくを擦り付けて香りを付け、白ワインを注いで火にかけ、しっかりアルコールを飛ばす。
それが済んだら、つい先日、粉好きのナコルが新たに作り、シュージが買い取ったコーンスターチを塗したチーズを入れて溶かしていく。
そう、今日の夕食は久しぶりのチーズフォンデュで、リクエストしたのは、今日の主役でもあるチーズが大好きなミノリだった。
「良い匂いする!」
と、チーズが火にかけられた事で漂ってきたチーズの香りに誘われ、当の本人であるミノリがカウンター席までやってきた。
「もう少しで出来ますよ」
「ありがと! もう今日一日ずっと楽しみにしてた!」
「クー」
「お、ムウも楽しみみたいだね!」
ミノリと同じく夕食を楽しみにしているムウもカウンター席に降り立ち、ひょいっとミノリに抱っこされていった。
亀はどうしても体表がぬるぬるしてるんじゃないかというイメージがあるが、ムウは全然湿っていたりもせず、甲羅も体表もツルツルなので、抱っこするとひんやりしていて、もふもふのコロやマフとは違った抱き心地の良さがあったりする。
そんな風に夕食をウキウキした様子で楽しみにしているミノリとムウを横目に、シュージとハンスはチーズフォンデュの仕上げを進めていった。
そうなると、当然シュージと共にやってきたムウに注目が集まり、メンバー達はムウの事をたくさん可愛がってくれた。
もうシュージが不思議な生き物を連れて帰ってくることにはもう皆んな慣れたようで、受け入れられるのもあっという間だったのはありがたい事なのだろう。
そして、帰ってきた日はのんびりと過ごし、一夜明けた本日は、あるメンバーの誕生日という事で、豪華な夕食の準備をしていた。
「クー」
「ムウは料理しているところを見ているのが好きなんだな」
そんな夕食の準備が行われている厨房では、シュージとハンスが忙しなく動き回っているのだが、ムウはその様子を邪魔にならないようにシュージ達の頭の上にふよふよ浮かびながら眺めていた。
「どういう原理で飛んでるんですかね?」
「魔法とも違う力みたいですよ。 詳しいことは分かりませんが」
「へぇ、さすが神獣ですね」
ムウ本人がとてものんびり屋な性格な事もあり、恐らく地を歩く形だと、いつまで経っても目的地に辿り着かないかもしれないので、むしろこうした移動手段を持っていてくれるのはありがたい事なのかもしれない。
地面をのんびりと歩く姿もそれはそれで可愛らしいとは思うが。
「よし、食材の準備はできたので、あとは仕上げですね」
「了解です」
そんな夕食の準備も仕上げに差し掛かり、シュージとハンスはそれぞれ手頃なサイズの鍋に、切ったにんにくを擦り付けて香りを付け、白ワインを注いで火にかけ、しっかりアルコールを飛ばす。
それが済んだら、つい先日、粉好きのナコルが新たに作り、シュージが買い取ったコーンスターチを塗したチーズを入れて溶かしていく。
そう、今日の夕食は久しぶりのチーズフォンデュで、リクエストしたのは、今日の主役でもあるチーズが大好きなミノリだった。
「良い匂いする!」
と、チーズが火にかけられた事で漂ってきたチーズの香りに誘われ、当の本人であるミノリがカウンター席までやってきた。
「もう少しで出来ますよ」
「ありがと! もう今日一日ずっと楽しみにしてた!」
「クー」
「お、ムウも楽しみみたいだね!」
ミノリと同じく夕食を楽しみにしているムウもカウンター席に降り立ち、ひょいっとミノリに抱っこされていった。
亀はどうしても体表がぬるぬるしてるんじゃないかというイメージがあるが、ムウは全然湿っていたりもせず、甲羅も体表もツルツルなので、抱っこするとひんやりしていて、もふもふのコロやマフとは違った抱き心地の良さがあったりする。
そんな風に夕食をウキウキした様子で楽しみにしているミノリとムウを横目に、シュージとハンスはチーズフォンデュの仕上げを進めていった。
786
あなたにおすすめの小説
隠れ居酒屋・越境庵~異世界転移した頑固料理人の物語~
呑兵衛和尚
ファンタジー
調理師・宇堂優也。
彼は、交通事故に巻き込まれて異世界へと旅立った。
彼が異世界に向かった理由、それは『運命の女神の干渉外で起きた事故』に巻き込まれたから。
神々でも判らない事故に巻き込まれ、死亡したという事で、優也は『異世界で第二の人生』を送ることが許された。
そして、仕事にまつわるいくつかのチート能力を得た優也は、異世界でも天職である料理に身をやつすことになるのだが。
始めてみる食材、初めて味わう異世界の味。
そこは、優也にとっては、まさに天国ともいえる世界であった。
そして様々な食材や人々と出会い、この異世界でのライフスタイルを謳歌し始めるのであった。
※【隠れ居酒屋・越境庵】は隔週更新です。
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
異世界に召喚されたけど、戦えないので牧場経営します~勝手に集まってくる動物達が、みんな普通じゃないんだけど!?~
黒蓬
ファンタジー
白石悠真は、ある日突然異世界へ召喚される。しかし、特別なスキルとして授かったのは「牧場経営」。戦えない彼は、与えられた土地で牧場を経営し、食料面での貢献を望まれる。ところが、彼の牧場には不思議な動物たちが次々と集まってきて――!? 異世界でのんびり牧場ライフ、始まります!
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
北条新九郎
ファンタジー
三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
父は勇者として、母は大魔導師として異世界で名声を博し、現地人の期待に応えて魔王討伐に旅立つ。またその子供たちも兄は宰相、姉は公爵夫人、弟はS級暗殺者、妹は宮廷薬師として異世界を謳歌していた。
ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
彼の職業は………………ただの門番である。
そして、そんな彼の目的はスローライフを送りつつ、異世界ハーレムを作ることだった。
お気に入り・感想、宜しくお願いします。
『異世界ごはん、はじめました!』 ~料理研究家は転生先でも胃袋から世界を救う~
チャチャ
ファンタジー
味のない異世界に転生したのは、料理研究家の 私!?
魔法効果つきの“ごはん”で人を癒やし、王子を 虜に、ついには王宮キッチンまで!
心と身体を温める“スキル付き料理が、世界を 変えていく--
美味しい笑顔があふれる、異世界グルメファン タジー!
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
底辺から始まった俺の異世界冒険物語!
ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。
しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。
おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。
漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。
この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。